8.まだ中学生の頃、私は遠い異国の日本人学校に通っていました。日本の友達と別れ、学校にもまだなじめず、映画を観に行っても字幕もないので良く分かりません。
そこには現地の日本人の集まりみたいなものがあって、定例行事として日本映画の日に「男はつらいよ」シリーズを上映していたのです。皆さんは想像できるでしょうか?遠い異国の地で鑑賞するこのシリーズが、どんな想いを異国の日本人に届けてくれたかを。故郷を離れ、みそ汁が懐かしい人々が一同に集まってこの映画を観るのです。どんな映画だろうと、日本語の映画というだけで十分満足なのに・・。私は、「観客が完全に一体となって一つのものに共感する」、という映画鑑賞の最も素晴らしい特質の頂点を、中学生にして味わったというと大げさでしょうか?隣に座っている親父はいつの間に涙でぐちゃぐちゃです。「泣きながら笑う」という新たな、心地よい感情は、この時身に付いたのかな、と思います。また、日本人としてのアイデンディティが、暖かくポジティブなものとしてDNAに植え付けられました。大げさですが。
私にとって、今でも日本人とは、とらやに住んでいる暖かい人々であり、ヒーローとは寅さんであり、美人とは、倍賞智恵子を指します。映画のレビューは思い出と深く結びついているものだから、古い映画程点数が高くなりますよね。当時の私は、この映画とこのシリーズを世界一愛していた観客たと断言できます。数十年後、このシリーズを貫徹で鑑賞したので、今の私としてこのシリーズに冷静に点数を付けたいと思います。あの頃の私に戻って採点したら採点不能となると思うので。 【正義と微笑】さん [映画館(邦画)] 10点(2008-10-04 19:03:50) (良:6票) |
7.日本全国の観衆に感動・誇り・人の心の暖かさ・生きてゆくことへの活力・涙等を約25年間与え続けた上、邦画の低迷期に唯一その存在意味を知らしめたこの長寿シリーズが無ければ多分日本における「映画」文化は没落したであろうし、庶民文化としての「落語」というジャンルは壊滅の道を歩んだものと自分は思っている。そんな愛すべきこの作品にどうして低い評価をつけられようか。そういった点も含めてこの点数。 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 10点(2008-10-18 22:19:24) (良:3票) |
6.ギラギラしてて、ヤクザで、粋がりで、凶暴な、それなのに説明できない郷愁を感じさせる男を、まだ若かった渥美さんが完璧に演じている。水を得た魚のようだ。一見、何の思いやりもないように見えるけど、それだけにマドンナに振られて、泣くだけ泣いた後の、潔いサッパリした寅が、可愛そうになる。とにかくこのシリーズには、どれだけ励まされ、泣かされ、笑わされたことか、それで充分。マンネリ?ワンパターン?それって大勲章。マンネリになる以前に飽きられてしまう映画わんさかあることを考えれば、大衆に、あれだけ支持され、いまだに新たな(それも若い)ファンが増えているという事実で充分。山田監督、スタッフ、渥美さんやキャストのみなさんに「有難うございます」と最敬礼したい。 【ひろみつ】さん 9点(2003-03-01 16:18:38) (良:3票) |
5.作品数においてギネスに登録されているこのシリーズ。何作かは観ているし、レギュラーの配置も理解しているけど、観た作品のサブタイトルは覚えていません。笠智衆の「バター」は記憶にあったので、これは過去に観ていたのでしょう。人情喜劇としてバランス良くまとまっていることは言うまでも無いのですが、やっぱり渥美清という役者の個性と上手さに舌を巻きます。こんなにわかり易いキャラをベタベタに演じていて、ワザとらしくないんですね。それと、兄貴にまったく似ていない倍賞千恵子の健気な可愛さにやられます。この第一作で結婚させなくても良かったと思うのは、結果論の意見ですね。某局で週イチで放送してくれるみたいなので、コンプリートに挑戦です。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2012-04-22 23:56:48) (良:1票) |
4.私は中期の一本を除いてシリーズをほとんど見たことがありませんでした。子供時分、大人たちが笑っているのを横目で見ながら、なぜ面白いのかがまったく理解できませんでした。仕事もせず、遊び呆けて、家に帰っては面倒を引き起こしてばかり。そんな寅さんが嫌いでたまらなかったのです。第一、よくみると目つきだって悪いじゃありませんか。大人になってもこんなつまらん映画見るものかと心の中で思っていました。 ところがどうでしょう。今になってみると、寅さんの世界になんと惹き込まれることでしょう。「そうかそうか、オメエも人情の機微が分かるようになったのか」なんて寅さんに言われてしまいそうですが、笑って泣いて感動する、そんなことを心の底から思えるように。第1作をみて、そんなことを感じました。皆さん、当然ながら若いです。その中でも、さくら役の倍賞千恵子さんの美しさ、可愛らしさが強く印象に残る作品でした。 (2020年1月再見。7点→6点へ減点。もう50年も前の作品になるんですね。 シリーズ中でもこの寅さんは荒っぽいです。ソフトになる前の、荒削りな感じで、おいちゃんおばちゃんじゃなくても「出てってくれ」と言いたくなっちゃいますよ。今ならロクデナシとか人間のクズっぷりがすごいとか叩かれるキャラです。やたら「バカだね〜」と言われているのもいい気分はしません。 さくらと博の結婚にまつわるエピソードと、さくらと寅の再開シーンは白眉と言えるんでしょうが、これじゃ寅さんが人情味はあってもただの迷惑男で終わっちゃいます。弟弟子とケンカしても、ラストで元に戻っていたりするところも違和感が。倍賞千恵子も、最近の老け顔が頭にこびりついていて。いやはや時の流れというものは怖ろしいもんです。) 【mhiro】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2005-08-11 21:06:33) (良:1票) |
3.え?マンネリでワンパターンだぁ?そうだよ、いいじゃないか。それが何か?こんなに続けられたのは、そこに徹すればこそですよ。そんな事より、みなさん若いですね。しかも、毎回登場するお笑いパターンとお涙パターンが、しっかり出来上がっている。解っているのに、ここがポイントだなと思っているのに、結婚式の所は泣いてしまった。兎にも角にも、記念すべき第1作だ。奮発して8点。見所は最初の登場シーン。ネクタイに革靴ですよ。 【パセリセージ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-08-06 23:34:21) (良:1票) |
2.倍賞千恵子の美しさに見とれ、「ヒロシ」の父親が志村喬だったことを知ってびっくりし、寅さんの強引な論法に笑う。やっぱりおもしろい。日本の宝だと思う。 |
1.さくらが寅に結婚の承諾を得るところと、妹の披露宴でひろしの父親に食ってかかろうというのが挫折してしまうところに思わず貰い涙。おいちゃんは森川信以外に考えられません。 |