6.こんなに身につまされた映画は初めてかもしれない。母親ならば子供を愛することができて当然というのは思いこみなのだ。体を病み、心も病みした時、年齢のわりには未成熟(幼稚)で突拍子もないトラブルを持ちこんでくる子供の存在は、うとましいばかり。どんなにその子にとって理不尽な偶然が重なった上であっても、善意やただの好奇心がもとのほほえましい行動が起こしたトラブルであっても・・・ そういうところまで想像したり、同情したりするキャパシティーがもう残っていない母親も悲しいけれど多くいる。少年はもちろん不幸に違いなく、母親も地獄を見ていた。幸運にも愛すべきいい加減さが息づいている町に送られることで、少年はようやくその残酷さからの生還を果たせたのだと、最後は熱いものがこみあげてきた。子供は弱く保護するべき存在であると同じに、底知れない復元力をも秘めているのだ。 【Rei】さん 8点(2004-01-11 18:41:46) (良:3票) |
5.《ネタバレ》 兄とも折り合いが悪く、母親にもあんまり愛されてなさそうな、ちょっと弱々しいイングマル少年。 彼の毎日はかなりつらそうだ。 望んでもいないのに宇宙に飛ばされたライカ犬よりはマシ、が彼の自己防衛。 そんな彼が大好きな母親と離れて預けられた先が、叔父夫婦の暮らす片田舎なのだが、この町の人々がイングマルの心を解きほぐしていくさまが、とにかく心地よい。 叔父夫婦も、日がな一日屋根に登って修理を続けるおじさんも、イングマルにファッション雑誌を読ませる老人も、スタイル抜群の憧れの女性も、みんな自分の人生を楽しんでいる。 生きている限り、そこに喜びは見つけられるんだ。 そんなささやかな幸せに気づくことを、この映画は教えてくれる。 ハルストレム監督らしい、じんわり心にしみてくる穏やかな映画。 そしてなんと言っても素晴らしいのは、イングマルの相手役のサガ。 まさに宝石のような愛くるしさで、彼女の成長物語としても成立する作りになっている。 男勝りだった彼女がスカートをはき、イングマルと笑い合う場面は、本当に記憶に残るワンシーンになった。 いや、いい映画。 【roadster316】さん [インターネット(字幕)] 8点(2020-08-29 00:47:46) (良:1票) |
4.叔父さん夫婦がまたいいキャラで救われます。「犬のような人生」、の犬はライカ犬と常に比較しているところから、「自分はまだマシ」と思うようにしているイングマルの幼いながらも自己防衛の本能からだろう。お母さんは本当にあの兄弟に手を焼いて早く手放したかったのか、病を移したくなかったのか、、、子供が知りうる限度でのみストーリーが進んでいくのがすばらしい。 || ところで、大人の言うことをそのまま信じてしまう「うぶ」な頃ってあったなあ、と思い出す。自分もいまだにあれはだまされたのかな、と記憶していることがある。。イングマルも本当に犬がまだホテルにいると思っていたのだ。それが嘘とわかったとき、裏切られた思いでいっぱいだったと思うが、それで、本当に大人への階段も上ったのだと思う。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-07-14 15:13:42) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 ラストまできわめて現実的な内容なのにそれをやさしく包み込むような美しいピュアな画面作りがよかったです。ストーリーは家庭に問題を抱えた少年が自分なりの哲学や周りの人々によって、悲しみから解放されて故郷での生活に見切りをつけるまでの話、と考えながら見ていました。火事のシーンは「火遊び」と火事の対比になっている?母親が病気になったとき「お母さんを元気付けないとだめだ」と考えてしまった事が少年の最大の悲劇だったのでしょう。少年の時折見せるどうしようもない失敗がちょっと痛々しかったけれども、それでもすぐに立ち直るところがほほえましいです。ラストの少年の哀しそうな表情が徐々に笑顔に変わっていく演技もとてもいいです。街の人々が喜び合う中、そういった喧騒に見向きもせずにサガと仲良く眠る様子が街に完全に溶け込んだことを意味しているような終わり方(?)で印象的でした。ただ、子供嫌いの人はやっぱりイングマルをうっとおしく思うでしょうね。スウェーデンに子供が主役の映画が多いのはリンドグレーンの存在が大きいのでしょうか? 【マイカルシネマ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2004-11-13 17:00:28) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 あの犬の鳴き声を真似るところは、しつこすぎる。 女性の裸を見るために屋根から落ちて血だらけになってもニヤニヤ笑っている姿はただのエロガキ。 子供とは可愛くて無垢な生き物であるだけではなくて未完成な生き物なんだね。 親だから子供を愛せないと非人間、と思うのはいつも身内ではない第3者の言い分やね。 それに人間が「愛する」ことができる時は、健康なときなんだと思う。頭痛で頭が割れそうなときに好きな人を思い浮かべたりしないだろう、お腹が減って死にそうなときも、好きな人の事を考えない。足を骨折してのた打ち回っているときに息子が側にやってきて愛してくれという態度を示してきても構っていられないはずだ。 なぜなら痛いから。 愛とは高尚なものだ、しかし肉体的な苦痛の前には、愛すること、悩むこと、考えることすらもできない。 【花守湖】さん 8点(2004-05-04 14:33:05) (良:1票) |
1. イングマルを演じたアントン・グランセリウス少年が素人だったコトが本作では吉と出た。巧まざる上手さってヤツで、実に自然で演技臭くないのでイングマルに感情移入しまくりだった。冴えないルックスも逆説的にイイなぁ。ラッセ・ハルストレム監督はコレで初めて知ったけど、ハート・ウォーミングな、それでいて重い作風は流石スウェーデンの伝統だなぁ~と感心してしまった。それにしても…サガ役のメリンダ・キンナマン!!めっちゃ可愛い~!!萌え~♪ 【へちょちょ】さん 8点(2003-01-31 01:15:02) (良:1票) |