6.おもしれ~!と思わずうならされる刑事サスペンス。イタリアでは「自転車泥棒」が出没している頃、日本ではピストル泥棒が発生。暑い暑い最中、暑苦しい顔の刑事(ミフネ)が拳銃を盗まれてしまう。町中を彷徨う刑事(もちろん彼は他人の拳銃に手を出したりはしない、よね?)、その執念が前半描かれるのだけど、手がかりを持っているらしい女性を追い続ける場面の、セリフの無いパントマイム劇が見どころ。このシーンの音楽もなかなか絶妙。この映画、既成音楽の引用も多い(シーンと対比される明るい音楽がしばしば用いられる)のだけど、やっぱり早坂文雄のオリジナルスコアが、見事であります。さて映画後半は、ベテラン刑事(シムラのおっちゃん。結構若い)との捜査が描かれます。拳銃が悪用されるたびに大げさに悩むミフネ刑事の深刻ぶり加減が、良くも悪くもクロサワ映画だのう、と思っちゃうところなのだけど、そういう“舞台的”“戯画的”な部分が、この映画では特に、数多い登場人物の存在感をそれぞれ際立たせ、「うまい脚本だなあ」と思わせられるところです(脚本のウェイトの高さが、黒沢映画の批判を受ける部分かもしれませんが)。野球場のシーン、あるいは安ホテルのシーンでの、無類のサスペンス感覚。クライマックスの対決シーンも忘れられない。子供たちの歌声を背景にした、犯人の呻きは、時代そのものの呻きでもあります。戦後まもないこんな時代によくこれだけの作品を作った、と同時に、この時代でなければ生まれなかった作品、なのかもしれません。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2008-12-09 17:20:59) |
5.皆さんが書かれている通りで今更付け加えることは少ないのですが、とにかく刑事ドラマ(映画)の最高峰であることは間違いありません。刑事モノの全ては直接・間接的にこの映画に影響を受けていると思います。全てが最高ですが、一番印象的なシーンは志村喬の登場シーン、アイスキャンデーと取調室のところでしょうか。よく言う「人間が描けている」という点でこの取調室のシーンは非常に勉強になります。 【Sean】さん [DVD(邦画)] 9点(2007-07-24 13:36:41) |
《改行表示》 4.刑事ドラマの原点といわれる この映画ですが! 暑さを見事に表現していましたね そして雨が降るときは半端なく降る、本当に中途半端な事をしない監督ですね 【月読】さん [映画館(字幕)] 9点(2006-02-10 21:39:15) |
3.この映画はとにかく暑い! クーラーをつけて観てもまだまだ暑い! 特に延々と闇市を歩き回るシーンの暑さは凄まじい。逆にあの暑苦しさがないとこの映画は生きてこないと思う。三船・志村のコンビも非常にいい(この映画のように「動の三船」「静の志村」の組み合わせが好き)。あと出番は少なかったけど、『七人の侍』からは想像もつかないようなキャラを演じた木村功が光ってました。 【とかげ12号】さん [ビデオ(吹替)] 9点(2005-11-20 17:48:55) |
《改行表示》 2.若さゆえ犯人に同情的になってしまう三船とそれを是正する志村…この辺りのバランスが絶妙で良いです。 映像的にも人物と風景の絡みが絵になっているシーンが多く素晴らしいと思います。 【番茶】さん 9点(2003-11-20 22:51:30) |
1.どのシーンも手を抜かないセットで今また重みが増します。夏の熱さをここまで精神状態の表現に利用出来た作品も珍しいのでは。エアコンがない時代の逸品。なんでも戦争のせいにするな、同じ目に合っても真っ当に生きている人もいる、という内容の三船のセリフが教訓になった。 【チューン】さん 9点(2003-10-22 10:06:34) |