10.この映画を嫌いという人の意見はかなり理解できます。演出にメリハリがなく、面白い映画ではありません。でも私はこれが好きなんです。それもたまたま私の生理に合っただけで、世の中の9割の人には嫌われて当然の映画だと思います。編集も撮影も音楽も無機質で、理解も感動も拒むかのようなこの映画。考えてみれば、盛り上げることも、感動させることも簡単にできた題材なんです。しかしエモーショナルな展開になりそうになればブツっとカットが飛び、本当に説明が必要なシーンでセリフが消える。そう、これは行間を読ませるための映画なのです。そう考えて登場人物たちの心理に身を寄せれば、ここでは大変なドラマが展開されていることがわかるはずです。妻の死を悔い、レプリカにその再現を託す夫の悲しみ、自分がレプリカだと知った妻の絶望。言葉で語るにはあまりに陳腐な物語ですが、説明を排して見る者の解釈に委ねたことで、非常に深いドラマに昇華しています。思えばまんま「ブレードランナー」な物語に「2001年宇宙の旅」の語り口がくっつけられたこの作品。その試みは絶対に失敗はしておらず、SFファンなら嫌いにならないでって思いますね。 【ザ・チャンバラ】さん 8点(2004-09-05 16:16:38) (良:3票) |
9.《ネタバレ》 ソラリスの映像、原作、前作とは異なり、美しい色のガスに被われたような惑星・・脳のシナプスのスパークのような、生物が生まれ出ようとしている卵のような、神秘性が感じられた。ストーリーもザックリと削られたものがありますが、このアプローチでいろいろな空想がひろがり楽しめました。・・コピーを愛してもいいんじゃないか?コピーとして生きてもいいんじゃないか?人はカタチを愛すの?自身の記憶の投影である相手なら満足なの?逆に自分が欲するなら、相手が何者であろうと、場所がどこであろうとかまわないんじゃないか?・・etc。一番好きなのは、”客”も、自分の存在に悩むところ。愛する者の形をしたナニカ、というのはSF、ホラー、サスペンスで見ましたが、それ自身の葛藤を見せたのは自分には今作が初めてで新鮮でした。ソラリスの存在や意図も原作に縛られることなく空想できる余地がまたよかったように思います。クルーニーは自分の中ではニヒルで嫌味な優男だったけど、今作の機微ある演技で見直しました。たしかに多くの方が言う通り、ハンディカメラ、ライティングカラーとかで見せるメリハリはソダーバグのパターンかも知れません。でも意図があって使っている演出だし、スタイルも意図もない監督の仕事よりわかりやすく、きれいだと思います。・・ただ、ここの平均点を考慮して、人にむやみに薦めないようにします(笑 【ウメキチ】さん 7点(2004-06-28 14:56:21) (良:2票) |
8.《ネタバレ》 主人公が幻想と葛藤しているときに、私は睡魔と葛藤し、惜しくも敗れてしまいました。 【ソフィーの洗濯物】さん 2点(2004-02-08 15:37:53) (笑:2票) |
《改行表示》 7.《ネタバレ》 本作品は、1972年制作「惑星ソラリス」のリメイクである。旧作ではラストにどんでん返しがあるが、ソダーバーグ版では、旧作がネタばらしになっていることからこれを採用せず、旧作にはなかった、クリスが地球への帰還を断念するシーンを挿入した。私はこれを評価したい。 精神を病んだレイアは、夫に愛されていないのではないかと疑い、堕胎した。クリスはこれに憤り家を出るが、レイアは自殺してしまった。レイアには堕胎した罪の意識があり、クリスには妻を自殺させた罪の意識がある。 あの日に戻りたい、もう一度やり直したいという思いは、誰にでもあるのだろう。だがソラリスは、そんな悲痛な願いをかなえてくれた。死んだレイアを再び登場させてくれたのである。 しかしそれは、クリスの過去の記憶をソラリスが物質化したレプリカである。彼女が反応するのは、クリスの予想を反映しているに過ぎない。二人にとって未来はない。それは永遠に続く過去でしかない。レイアは自分の存在に疑問を抱き、二度目の自殺を遂げる。 地球への帰還船が離脱すると、宇宙ステーションはソラリスの大気圏へと落ちて行く。ここで宇宙ステーションが燃焼するシーンがなかったのは、残念である。クリスが叫ぶ。 「レイア! レイア!」 サミュエル・スマイルズは、「一個の人間は地球より重い」と言った。壊れてしまった愛を取り戻すためなら、生まれた星を棄て、未来を棄て、肉体さえも棄てられるのか。 ここでソラリスによって作られた少年が、クリスに手を差し伸べる。それはミケランジェロの絵画「アダムの創造」で、神がアダムに命を注ごうとするシーンに酷似している。 クリスは、ソラリスの意志により新しい命を注がれたのか。新しい世界では、指を切ってもすぐに傷が癒えてしまう。もはや以前の肉体ではない。 レイアの再生を待つクリスの前に、再びレイアが現れる。彼女はどれだけ本物のレイアなのか。クリスは生きているのか、死んでいるのか。だがもう、そんなことはどうだっていい。生まれた星を棄て、未来を棄て、肉体さえも棄てて、ただ執念だけの存在となって、それでもお互いを求めずにはいられない。壊れてしまった愛の日々をやり直すために。 たとえ狂おうとも正気になり たとえ海に沈みゆこうとまた浮上し たとえ愛する人亡くとも愛は死なず かくて死はその支配をやめる (ディラン・トーマス) 【高橋幸二】さん [地上波(字幕)] 10点(2009-05-25 21:45:54) (良:1票) |
《改行表示》 6.タル版は以前ねむけまなこで観た記憶がある程度なので、ここではあえて比較はしないことにする。 ソダ版はアメリカでの散々な評価、大コケぶりや皆さんの点数のグラフの分布からも分かるようにほぼ駄作と決まりつつあるが、自分はこの幻想的でありまた神秘的(特に音楽が良い)であり、哲学性、倫理性を含みつつも愛した人を忘れられない未練たっぷりで、自分の犯した過ちのために前に進めなくなっている男を描いた本作の雰囲気はとても好きである。 それぞれの乗客にとってソラリスは別の意味があるのかもしれないが、ケルヴィンにとってソラリスとは一言でいえば「自分の過ちを償うチャンスが得られる」場所ではなかったか。 一緒に暮らしていても心を少ししか開いてくれない妻の性格等を理解できなく、お互い愛し合っていても理解しあえず、結局死に追いやってしまったその責任や過ちから解放されて前に進むことが出来る場所がソラリスではないか。 しかし、その過ちを償うことができても地球で二人で昔のように暮らすことはもはや出来ない、 そしてこの狭い宇宙船にもそのような場所はない。 詩が語っていた「愛は死なずに死の支配がない」ような世界、愛の中で永遠に生きる事が許された世界がまさにソラリスなのではないかと感じた。 その世界では二人が犯した過ちが全て許される、そして全く今までとは違う新しい生き方ができる場所なのだろう。 ケルヴィンが選択した二人が暮らしているラストの世界がそのような世界だと思う。 ケルヴィンをソラリスに導いたジバリアンは恐らく精神科医として彼を招いたのではなく、彼が再び前を向いて歩けるようにするため友人として彼をこの世界に導いたのではないかとも思う。 倫理的にも面白い部分はあると感じた。 実際の本人とは違う自己の記憶のみで構成された相手。その自分の記憶が正しかろうが誤ってようが関係なく本人に投影される。 そのため、誤った記憶のなかに自分の不存在を感じ、自己崩壊が生じる姿は面白いと感じた。 スノーのように自分を人間だと思う姿もこれまた面白い。 そして何者であれ、本人ではないと分かっていながら姿、形が同じであれば結局愛することしか出来ない人間の哀しさも描かれていると思う。 【六本木ソルジャー】さん 8点(2004-12-25 20:33:09) (良:1票) |
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5.リメイクものでオリジナルが「惑星ソラリス」、見たのはいいが「未来惑星ザルドス」のリメイクと間違えてみてました。当然、巨大な顔面石像が宙を飛ぶ場面もなく、淡々と話が進んでいきました。なんか草薙くんの「黄泉がえり」みたいなお話でしたがあまり面白くないかと。 【kenz】さん 4点(2004-10-19 22:18:43) (笑:1票) |
4.監督がスティーヴン・ソダバーグ、製作がジェームス・キャメロンだったら普通期待するでしょ?まして宇宙を題材にしてる訳だから、なのに何これ?劇場で見なくてよかった・・・ 【みんてん】さん 2点(2004-06-03 10:54:15) (良:1票) |
3.とても良い映画。結末をロジカルに求めない映画は、バランス感覚が重要。心地よい。 【つちのこ】さん 8点(2004-03-04 00:07:58) (良:1票) |
2.タルコフスキー版より取っつき易い。タルコフスキー版を見る前の「ソラリス入門」としては最適。ただ、初めから分かりきっていることだが、中途半端な作品であることは確か。ハリウッド映画に慣れてしまっている人には退屈、タルコフスキーが好きな人には物足りない。 【STYX21】さん 6点(2003-12-28 21:31:42) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 まず主演女優!あんた花がない。無さ過ぎる!屈強な体格に男性ホルモンすら感じた。けれどこの話は面白い。終盤にかけては観客が想像して物語を補完しないと多分楽しめない。物語を先へと進めていく過程が手探りな感じでたまらない。独特の緊張感を味わえるし不思議な幻想世界に酔いしれることも出来る。完成された物語が全てではないでしょう。世の中は往々にして未完成のままが多いんだから。 【yuua】さん 7点(2003-12-26 17:26:49) (良:1票) |