《改行表示》 4.忠臣蔵と四谷怪談がほどよく重なりあう映画構成がすばらしい。特に中盤の「曾我兄弟仇討ち」を舞う赤穂浪士と伊右衛門の祝言で舞うお梅、そしてそれに毒を飲まされたお岩が舞い狂う。この3つの場面を琵琶の演奏でひとつにまとめあげたのは芸術的というほかない。顔の白塗りは最初気色悪かったが、古き時代を幻想的に仕上げるのに効果的で映画によく合っていたと思う。ただお岩さんの扱いがやや弱く怪談にしては物足りないかも、それに対して荻野目慶子のお梅の演技は目を見張るほど圧倒的。それにオルフの「カルミナ・ブラーナ」は効果的かもしれないが、マーラーの「巨人」はどうだろうか、映画と合っていないような気がする。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 7点(2012-08-20 17:21:07) |
3.風に吹き散る桜で始まる。はらはらと散る情緒に対抗するように。また琵琶の響きを入れたことで、話に一歩退いた地点を作れた。少し離れることが出来た。とにかく一つの解釈にはなっている。忠臣蔵と女の争いを対比し、後者のほうにマットウなものを見ようとしている。ドラマを動かすのはお梅、彼女がここまで重要に扱われた四谷怪談はほかにないだろう。荻野目慶子の痴呆ぶり、ちょっとやりすぎかとも思うが、まあ見てて楽しい。この一家をほとんど魔物として描いたわけだけど、ラストで、でも彼らのほうが浪士らよりはマシと見えてくる。本当なら岩は武士のすべて、赤穂がたにも悪さをするべきなのだが、そこまでの裁き手にするとカレンさがなくなってしまうか。前半の伊右衛門のケダモノぶりは、ふと『仁義の墓場』などを思い出させた。決起の宴と結婚の宴とをヤマに持ってきたのは正しい、男の狂乱と女の狂乱、琵琶の響きが二つをつなげる。ラスト、実像となった伊右衛門と岩が、透き通る虚像の浪士たちを眺める場になるのではないか、とちょっと想像してしまった。忠義の世界のウツロさを映像で駄目押ししてもらいたかった。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2010-07-14 12:03:58) |
2.切れたキャラクターと音楽、さすが深作流のおどろおどろしさ。ただ、亡霊となった伊衛門が討ち入り話と絡む後半は、テンション下がり気味。ラストはきれいにまとまったかな。 【Q兵衛】さん [DVD(邦画)] 7点(2008-09-19 16:26:45) |
1.オモロイ訳無いやん!と言う先入観を見事に打ち破られました。お岩のメイクにはチョッと?でしたが、高岡早紀の演技も乳も立派!極めつけはやはり狂喜乱舞の荻野目慶子。渡辺えり子もいい味出てました。魔界転生しかり、深作監督のこの手の妖しい魔界ワールドは面白いですね。もっとこういった映画も撮って良かったんじゃないのかな。 【亜流派 十五郎】さん 7点(2005-01-14 20:10:10) |