4.まさに舞台劇風の映画であり、会話のやりとりは演劇そのもの。それを舞台劇の一視点ではなく、あらゆる角度の映像で映し出すことによって映画の利点を最大限に発揮していると思う。新藤兼人の原作脚本と川島雄三の卓越した映画感覚、それに伊藤雄之助を初めとする役者陣が揃ってこそ可能だった映画に違いない。見事と言う他はないが、私にはまだコメントできる能力がない。またブラックユーモアにしても何処がどういう風にまではわからないので、おもしろさだけの点数かも。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-03-17 16:40:16) |
3.団地の一室二間を舞台としたホームドラマ。工夫を凝らしたカメラワークは飽きさせないもののそれ以上の意味を感じません。「獣」と言うよりは飼育ケースの中の食虫植物のよう。気味が悪くて薄汚いと見るか、種の保存の為の堂々とした営みと見るか、結論が出ません。始終交わされる会話の、お上品ぶって取り澄ましてのご丁寧な言葉遣いであっても、中身は恥知らずの下劣である様子から、監督の軽蔑が「しとやかな」に込められているように思えました。本作に限っては若尾文子は山岡久乃の軍門に下っていました。上には上がいるものです。恐るべし。 |
2.ほとんどが家の中で展開される舞台劇風コメディ? 詐欺ファミリーとダマされる人とダマす人たちのやりとりが面白い。明らかに間違ったことを言ってる夫に対して、飽くまでも夫を立てる奥さんの緊張感のないフォローが素敵だ。良い夫婦だなぁ。 【すべから】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2009-07-26 14:38:07) |
1.基本は団地の一室のみで展開される二幕一場ものの舞台劇(しかも若尾文子が主役じゃない!)。しかし川島雄三は、ありとあらゆる位置からの構図を駆使し、極めて映画的に仕上げてます。上下左右、縦横斜め、窓越しドア越し襖越し、考え得る限りの構図が登場。ビシッと決まる構図の為にはカットの繋がりさえ無視する徹底振り。人物の出入りや立ち位置も絶妙で、狭い団地の一室に無限の広がりを与えてます。その登場人物も全員が腹に一物を持った非情な金の亡者ばかり。「貧しさ」は人を獣に変え、急激に押し寄せる「豊かさ」がそれを正当化する。話は一応「悪の栄えた例なし」という結末を迎えますが、ラスト・カットでは、高度経済成長が無数の「しとやかな獣」を育んでることを雄弁に物語ってました、7点献上。 【sayzin】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2006-11-15 00:01:21) (良:2票) |