6.《ネタバレ》 野暮ったい演出に加えて、空回りするギャグシーンのオンパレードは、最早しょっぱなから駄作の風格満点だ。けれどこの大駄作は、それでもいつしか思いがけず胸の熱くなる怒濤のラブストーリーへと雪崩こんでいく。クァク・ジェヨン監督は、例えるならば80年代の大林宣彦である。かつての日本で大林宣彦が持ち得た、途轍もなく出鱈目であるがゆえにきらきらと輝くそんな映画の魔法を、ジェヨンは21世紀現在の我々に真っ向から見せてくれる。その魔法は、魔法を忘れて久しい日本人にとっては80年代的遺物であるため、どこか気恥ずかしくもある。本作で唐突に出現するUFO、『ラブストーリー』における作り物めいた蛍、あるいは『僕の彼女を紹介します』の紙飛行機、さらに『僕の彼女はサイボーグ』ではそのものズバリ未来人、といったようにジェヨンが描く子ども騙しな仕掛けの数々。けれどそれらは、魔法を忘れたはずの我々の心にも、それでもストンと落ちていく。彼の映画はいつでも正しい美しさにみちている。猟奇的なはずの「彼女」は、けれどやることなすことすべてが正しい。電車内で年寄りに席を譲るのは当然だし、落書きをしてはならない。援助交際もタバコのポイ捨ても然りだし、ハイヒールを履く女を好む男はハイヒールの歩きづらさをまず思い知るべきなのだ。そして、彼女にとっての「二度め」の薔薇の花を誠実に届け、彼女とつきあう10箇条を語るキョヌもまた、彼女にふさわしく正しい。わざわざ高校時代の制服を着て踊るため、未成年入場禁止のクラブで身分証をきっちりと提示する彼らの毅然とした姿は、まさにその正しさの表れだ。声の届かぬ距離でやっと彼に思いのたけを叫ぶ彼女。清く正しい彼女がキョヌに対してだけまっすぐになれないのは、癒えぬ恋の傷を隠し持つ彼女のそのあまりに正しいまっすぐさゆえであるという逆説が胸を打つ。過去に囚われるそんな彼女が未来人を夢見るのは、キョヌという頼りなくも愛に満ちた未来への切望からだろうか。運命は努力した人にだけ偶然という橋を架ける。その言葉の通り、偶然を必然としてついに未来を掴みとる二人は、ようやく正々堂々と心から向き合えるのだろう。またもや身分証を提示し制服姿でクラブへと乗り込む彼女と彼。彼らのその一点の曇りもない正しさが、力強くそして誇らしげに、愛の勝利を物語る。そう、正しいことは決して恥ずかしいことなどではないのだ。 【BOWWOW】さん [映画館(字幕)] 9点(2009-10-13 21:58:24) (良:2票) |
《改行表示》 5.《ネタバレ》 なんて愛すべき2人なんだろう。こんなにも笑えてそして泣けた 映画って俺の記憶にはちょっとありません。どうしようもなく 感動しました。涙があふれてきました。もっともっとずっとこの 2人を見ていたい気持ちで一杯です。 俺の好きなシーンは、彼女がキョヌに命令して彼を向かいの山に 登らせて、本当の彼女の気持ちを泣きながら精一杯の大きな声で キョヌに向けて張り上げるシーンです。他にも好きなシーン一杯 一杯あります。とにかくすべてが好きです。 なんて素晴らしい映画なんだろう・・・・ 大胆で、そしてワガママで、気のどうしようもなく強い女。 まさしく猟奇的な彼女。。 でもあんな彼女なら自分の方に向いて 欲しい、そして向かせてみたい。そう思う。 彼女のような女性と一緒にいるとホント退屈しないだろうな。。 想像するだけで胸がドキドキ トキメキます。 最後に キョヌさん そして彼女さん 幸せになって下さい・・・ 【アキト】さん 9点(2004-07-29 06:01:37) |
《改行表示》 4.傑作だと思います。ヒロインのルックスと性格のあのギャップ。もしこういう人と出会ったら、「恐い」と思いつつも、きっと惹かれてしまうんじゃないかって思います。男性ってそういうの弱いじゃないですか、強気の女性が弱いところを見せると、グィっと引き込まれてしまうんですよね。 結構、場が激しく動くし、何より飽きない。韓国映画の入門にはかなりお勧めな作品なのではないでしょうか 【葉月】さん 9点(2004-02-11 03:30:45) (良:1票) |
3.予想以上にダイレクトなラブストーリーに素直に感動した。題材だけ見れば1本の映画として昇華するには難しい素材を、笑いとインパクトを加えて非常に秀逸なラブコメに仕上げていると思う。冒頭ではだたの気の強い女だった「彼女」が映画の展開と共に実に魅力的になっていく様が、今作の最大の魅力でもあると思う。「彼女」に対する「彼」のユーモラスな存在感も欠かせないものだった。今作でも見られるような、映画としてのストレートな力強さが韓国映画の最大の魅力であり、日本映画には足りない部分だと思う。 【鉄腕麗人】さん 9点(2004-02-05 18:48:15) (良:1票) |
2.街の雰囲気とか文化とか大学生の感じとか、韓国と言うのは実に日本に似ているなあと改めて思いました。しかし、日本でこれほど傑作のラブコメディはお目にかかったことがない。多分、笑いを言葉で表現するほうに偏りすぎて、言葉の壁を越えた笑いにまで消化されないからでしょう。顔芸とも言うべき主人公の男の子の芝居も、日本人が日本語でやると寒いとか感じちゃうんだよね。あんな弾けた演技をする女優も日本にはいない。やっぱりどこか日本て暗いのかなあ。前半の猟奇ぶりはもう少し見たかった気はするが、とにかく伏線が実に絶妙。延長戦の展開は良く出来た脚本。特に電車の中でのすれ違いのシーンは観客の胸をキュンとさせる見事な演出。私がもう少し若かったら文句なしに名作として心に残る気がしました。 【如月CUBE】さん 9点(2004-01-22 14:45:58) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 素直にほんと良かったです。期待せず観ましたが良い意味で完全に裏切ってくれました。主人公とヒロインの好感度が非常に高くベタなストーリーでもほんと楽しく観れました。内容はほんとストレートといった感じですが、笑うとこ悲しいとこ感動するとこもしっかりあると思います。そして観ていて気持ちよくまた羨ましくもあり、誉めすぎかもしれないけど個人的に最高のラブストーリーでした。あとヒロインの名前が一切呼ばれないのが面白いですね。最後の方に「あれから○○年後・・・」っぽい描写があり2回も騙されました・・・。が、やはりハッピーエンドは最高に気持ちいい!! 【whitecat】さん 9点(2003-12-24 03:37:14) (良:1票) |