《改行表示》 11.《ネタバレ》 物語が重いし、おまけに画面が暗い。いつの時代の話かはわかりませんが、身分や家柄が絶対という世の中で起こる雇い主の娘キャシーと使用人ヒースクリフの恋愛物語。 物心付く前は身分だの家柄だのという基準なんて当然気にするわけもなく、純粋に相手の人柄や外見のみが判断基準となるため、身分違いのままお互いが成長すれば当然周囲から反発を食うことになってしまったり同じ身分の異性に魅かれていったりという事が起こりそうですが、そういった部分の葛藤の気持ちだったり、またはお互いに乗り越えていく様をどのように描くのかというのが、古今東西いつの時代も変わらぬ“身分違いの恋愛モノ”における重要な部分になってくると思います。 自分がこの映画を好きなところは、幼少期と青年期の描き方が素晴らしく、それがストーリーのバックグラウンドにしっかりと根を張っているところです。 丘の上にある大きな岩を城に見立てて、王様とその僕(しもべ)のような台詞回しで愛を誓い合うシーンが非常に美しく、そのため、エドガーと結婚する際やパーティー会場のテラスのシーンなど、心が離れてゆくような描写があっても違和感なく最後まで観る事ができました。 また、パーティー会場にヒースクリフが入ってきてキャシーと出会う瞬間のキャシーの表情の絶妙、そして極めつけの最後、ベッドで寝ているキャシーの元にヒースクリフが現れた時、キャシーがゆっくりと目を開いていく表情は、他にどんな映画を探しても決してあのような印象深いショットはお目にかかれないと思います。 映画の終盤になって回想シーンが終わった後も、依然として暗い雰囲気でありながらもとてもロマンティックな雰囲気で締めくくられ、岩に向かって歩く二人の後姿で幕を閉じるラストシーンが凄く良かったです。 【もっつぁれら】さん [映画館(字幕)] 9点(2011-04-21 23:28:59) (良:2票) |
《改行表示》 10.ワイラーの作品では「黒蘭の女」「孔雀夫人」に次いで好きな作品です。 この映画の何が凄いかと言いますと、原作の復讐劇を完全な恋愛映画にしてしまったベン・ヘクトの恐ろしさです。 原作好きには物足りなく感じる人もいるかと思いますが、私はこういう「嵐が丘」も有りだと思っています。 ローレンス・オリヴィエとマール・オベロンのピリピリした空気、一瞬ながら異常な躍動感に溢れた乗馬シーン(ワイラーは馬で本気出す人)と細かい演出も見所です。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-01-10 19:41:48) (良:1票) |
9.《ネタバレ》 ウィリアム・ワイラーの「嵐が丘」。 ヒロインが語る「ジェーン・エア」と違い、「嵐が丘」はメイドの語りになっているため、プライベートな会話は監督や脚本家の創作による部分も多く、映画によって違う会話が聞けるのが特徴。 小説では思い込みが激しくほとんど破滅的な性格の彼らが、荒野(ムーア)のイメージと一体化し強い個性を生んでいますが、それを映像にするのはむずかしそう。 ローレンス・オリヴィエは野生児ヒースクリフにはあまり嵌っていないように思え、キャシー(マール・オべロン)もエドガーとヒースクリフの間で揺れが大きいので、重要な「私はヒースクリフなの」のセリフに説得力がないように感じます。 前半(一世代)しか描かれておらず、キャシーがヒースクリフの腕の中で息絶えるのは彼らにとり幸せな結末かもしれず、まとまりはよいと思うものの決定版という感じでは… エドガー・リントンのデヴィッド・ニーブンがまだ若々しいのが驚き。 【レイン】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-02-06 07:00:00) (良:1票) |
8.漸く鑑賞することができました、撮影賞受賞だけあって、とても美しい映像と音楽です。キャシーがときに美しく、ときに醜いくらいに見えるのは演技のおかげか、しいて言えばもっと細かいところまでみたかったですが、それでは2、3部作になりますでしょうな。。。 【HRM36】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-05-02 09:58:31) (良:1票) |
《改行表示》 7.《ネタバレ》 ずいぶん昔の戦前の映画であるが、日本で公開されたのはずっと後だったと思う。私は少年時代にこの映画を見、青年期に原作を読んだ。シャーロットの妹であるエミリー・ブロンテの「嵐ケ丘」は当時は評判が甚だ良くなかった。それは余りにも暗い復讐劇であったからである。 このすさまじい長編復讐劇をウィリアム・ワイラーは、半分くらいに縮め(キャシーやヒースクリフ、ヒンドリーの子供たちが登場しない)キャシーとの愛憎劇に作り替えたのである。それはそれで映画としては成り立つのだが、反面キャシーがヒースクリフになびいたり、エドガーに惹かれたり、筋がはっきりしなくなっている。またローレンス・オリビエのヒースクリフも格好良すぎる。 長編小説で同じ年に制作された「風と共に去りぬ」がカラー映画の超大作となったのに較べ、見劣りするのは仕方ないところである。「命なしでは生きられない。魂なしでは死にもできない。」というヒースクリフの台詞にも重みが感じられない。 【ESPERANZA】さん [映画館(字幕)] 6点(2011-04-19 23:24:03) (良:1票) |
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6.《ネタバレ》 エミリー・ブロンテ原作、最初の映画版。嵐が吹きすさぶ丘の豪邸を舞台にして復讐に燃える憎しみと純粋な愛を表現。戦前のモノクロ作品ですが深い愛の形が綴られていて現在でも充分楽しめる作品です。 【獅子-平常心】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-12-05 00:10:58) (良:1票) |
5.本来ならドロドロしすぎのホラーぽい感じになるような話なのに、そこはウィリアム・ワイラー監督!そうなる一歩手前の格調高い人間ドラマ、恋愛ものとして見せる所は流石である。けして、ホラーが駄目と言ってるのではありません。このドロドロした話なのにそれを感じさせない上手さ、芸術映画でありながらも娯楽映画としても見せるだけの作品になっている。ローレンス・オリヴィエの野生的な目付きが印象に残る。タイトルにある正に嵐のようなドラマを美しいモノクロの映像によって見せる。まるで西部劇でも観ているような錯覚さえ起こさせる景色の壮大な映像も印象に残る。最後に欲を言えばローレンス・オリヴィエと敵対する相手にいま一つ迫力、凄み、恐さが感じられないのが不満と言えば不満であるが、女優陣に関しては相変わらず魅力的に描く監督さんであるとウィリアム・ワイラーて監督の女優に対する画き方がどの映画を見ても感じられるし、ここでも同じである。 【青観】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-09-27 21:26:58) (良:1票) |
4.これはもうあちらの『忠臣蔵』というか、いろんな版があり、このほかにブニュエルの、吉田喜重の、J・ビノシュのヒロインで坂本龍一が音楽やったの、を観てるが(リヴェットのは未見)、どれも独自の趣向を凝らして面白いけど、何か物足りないのも事実。これ、映画よりも連続ドラマに向いてる話なんじゃないかなあ。ヒースクリフの帰還までにモッタイをつけたいところが、映画だとそれが出来ず、キャシーとヒースクリフの愛憎のごちゃごちゃをこちらでほぐして味わう時間が足りない。キャシーがただのヒステリーに見えてきてしまう。時間を強制されたくないストーリーってこと。それでも多くの名だたる監督たちを魅了してしまう魔が、この小説にはあるんだ。この戦前白黒のワイラー版が余分な解釈のない分、基本の位置を確保していて見応えがある。私はヒースクリフなのよ、って叫ぶあたりはやはりコワい。ロウソクのゆらぎで盗み聞きしていたヒースクリフの退場を知る、なんて演出。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2009-11-05 12:02:27) (良:1票) |
3.『嵐が丘』は小学校の頃「ガラスの仮面」(舞台あらしの章)で何となくストーリーの輪郭みたいなものを知り、次に原作を読み、最後にこの映画を鑑賞という順序です。何回か映画化されているようですが、このウィリアム・ワイラー監督版はとにかく「立派」っていう印象が強いですね。ヒースクリフ=オリヴィエの容貌、演技、立ち振る舞い全てがご立派、全編画面に荒野に風が吹きすさんでいるワイラーの演出もガッチリしていて流石!・・・っと誉めまくりたいのはヤマヤマなんだけど、映画的エモーシャルな興奮度という点では後年の「偽りの花園」「ローマの休日」「大いなる西部」のほうが、より勝っているような気がします。感心はしても感動までは出来ない、みたいな気分。それが文芸有名作品映画化の限界というべきか。 【放浪紳士チャーリー】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2007-07-21 12:48:45) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 この作品の醸し出すモノクロの画像と原作の雰囲気が非常に重なり、ヒースの丘のヒースクリフとキャシーの美しさなどが、たまらなく良かったと思います。ヒースクリフ演じるオリビエの演技も、時に荒々しく情熱的で引き込まれる。しかし、なんといっても、原作の小説の半分までの映画化とあって、怒涛の嫉妬に苛まれる主人公達をここに追い求めると、いささか中途半端。当時の映画化では、恋愛に比重をおいたこの描き方が最も支持されるべきとワイラーが判断したのも致し方ない事かも知れません。ラストの演出の余韻は深く印象を残すので、願わくば、このキャスティングでその後が見たかった気につくづくさせられます。 【popo】さん 7点(2004-02-28 16:58:22) (良:1票) |
1.風と共に去りぬ と同様に気品あふれる作品。こちらはモノクロであることが、嵐が丘の荒涼とした雰囲気を上手く出していると思う。60年以上という歳月を感じさせないのが見事だ。 【ヌリ】さん 8点(2003-01-19 16:33:19) (良:1票) |