4.吸血鬼映画がどうとか、怖さがどうとかの前に、創意工夫の素晴らしさに驚く。90年近く前のサイレントムーヴィー時代に撮られたワケで、CG全盛の現代から見れば機械技術的な表現技法など稚戯に等しい時代である。そんな中、どうすればより不気味に見えるか、より怖く見えるか、を工夫し、影やコントラスト、表情、動きなどで映像的不気味さを演出している。また、吸血鬼を単なる人型のモンスターとせず、ペストという厄疫を運んでくる存在にして潜在的な恐怖を喚起する手法も工夫の一端だろう。いやぁ、ほんっと人間(の工夫)って凄い。w 現代の、何かと言えばすぐにCG頼りの映画製作者どもに100万回くらい見て欲しいね。 【TERRA】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2009-07-06 13:35:36) (良:1票) |
3.数多くのドラキュラ映画の中でダントツに怖い。というよりこれ以外はあまり怖くない。その怖さの要因にマックス・フォン・シュレックの容姿がまず上げられるのは言うまでもないが、その恐怖の容姿を纏った吸血鬼に人を襲わせて怖がらせるようなその場しのぎの恐怖演出などせず、ただ立っている、ただ歩いている、ただ向かいの窓からこちらを見ている、それ以外は想像させることで恐怖を駆り立てる。恐怖の想像を助長する影の演出が効いている。そして他の多くのドラキュラ映画は吸血鬼にスポットが当てられるが、この作品はこれほどの怖い容姿を有しているにも拘らず、人々の恐怖心にこそスポットが当てられる。町中が、国中が、死におびえ、窓を閉めて閉じこもる描写、運ばれる棺の列に見るその恐怖の現実性、ヨーロッパ人のペストの記憶とそれらを吸血鬼に結びつけるストーリー構成。怖い!そして巧い!と唸らされる一本。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-01-22 13:18:35) (良:1票) |
2.今を去ること約80年前に、既に吸血鬼映画、いや恐怖映画の決定版的作品が登場していたという事実に先ず驚かされる。冒頭のこけおどしの音響を使わずに白い文字で映し出させるタイトルにはこれからの出来事を予想させるような恐怖感を煽る効果があるし、いきなり手や顔が飛び出してくるような演出ではなく暗闇の中、白い顔、ギョロリとした眼、長く伸びた爪を持った怪物が淡々と歩み寄るという心理的恐怖を増幅させる演出で、見る者を恐怖の世界へと引きずり込むその演出の素晴らしさ。今の映画に登場する、恐怖の帝王としての威厳を捨て、宙を飛びよくわからん格好をして神に背く事もやめた似非吸血鬼と違い、真に恐怖を植え付け、闇を支配する邪悪の王としての吸血鬼を描いた正に正統派。恐怖映画とはかくあるべきというお手本を見せられた作品であった。 |
1.「超自然」の薄気味悪さがジワジワっと迫ってくる、いやーな雰囲気がよく出てると思います。シュレックがフワ-っと起き上がってくるとこなんかね。説明よりもイメージの世界。 【鱗歌】さん 8点(2003-05-01 22:30:09) |