4.こういう、美しく凛とした人間の尊厳を見せ付けられた作品に関しては、うまく言葉が出ないです。どんなに貧しく生活が悲惨であろうとも、あの家族には「気高さ」がある、と思う。 【ぐるぐる】さん 8点(2004-09-05 21:27:09) (良:2票) |
3.相対性理論が溢れるシュールな世界。人生というものと本当の意味で戦っている人たちが、今私たちと同じ時間の中にいる。でもそこには相対性理論がある。同じなのに、違う。彼らは私たちとは全く違った時間の中に生きている。酔っぱらった馬の時間の中に生きている。2つの異質な時間の、80分の人為的な邂逅。そして、私たちの時間の為の便宜的なエンドロール。だけれどエンドロールの向こう側で、酔っぱらった馬の時間は、私たちの時間との束の間の邂逅にも気付かず、今も続く。 【ひのと】さん 8点(2004-10-12 05:21:05) (良:1票) |
2.母はお産で死亡、その上父が地雷で亡くなって孤児になった子供達。まだ12歳の次男が兄弟姉妹の生活を支えるため懸命に働く。 食べるだけでも精一杯なのに長男は難病で手術代も欲しいし妹は学校に通わせてやりたいと、危険で過酷な国境越えの密輸仕事をするアヨブはすでに一人前で父親代わり。 恵まれた暮らしの子供とは比べものにならないほどしっかりしてて大人っぽい。
こうした貧しい境遇にもかかわらず病気の兄をみんなが大切にし助け合って暮す優しさに心を打たれる。 【きのすけ】さんも言われてた「人生は苦労ばかり、、」という歌には、過酷な環境に 生まれ合わせた子供達の苦難の運命が見事に唄いこまれている。
これはドキュメンタリーではないけれど、緊張が続くイラン・イラクの国境地帯に暮すクルディスタンの人たちの生活は現実がこのとおりなんだろうと思う。至る所に地雷があって作物も作れず生活を脅かされ、ひいては子供達がこんな厳しい人生を強いられるのだと思うと、争いばかりしている大人ががつくづく愚かしい。 【キリコ】さん 8点(2004-09-10 19:56:44) (良:1票) |
1.イラン映画はその誠実さは伝わるものの堅苦しいところがちょっと苦手なのですが、この作品はマジッド・マジディに代表されるようなイラン映画とはかなり趣が違います。やはりクルドとイランは全然違うんだなぁ(当たり前か)。なんとなく昔見た「路」と言うトルコ映画を思い出しました。グッとこらえた感情が、それでも全身からにじみ出る子供たちの姿はまさにドキュメンタリーのよう。兄弟たちの為に必死で働くアヨブですが物理的に子供にはできないことってあるんですよね。厳しい自然と共に生きるのは彼らの宿命。だけど、紛争や地雷で親を亡くし、子供が急いで大人にならざるを得ないのは納得できません。厳しい生活は見ていてツラい。でもその感情は同情とは全然違うんです。誇り高く美しい彼らの顔を見て、毎日文句たらたらで生きている自分を恥じ入ってしまった映画でした。 【黒猫クロマティ】さん 8点(2004-09-08 14:15:57) (良:1票) |