5.《ネタバレ》 寅さんvsアメリカ人、という、カルチャーギャップ・ネタなんですけども(「外国人に梅干」なんてのは定番ギャグ)、しかしこのアメリカ人を「米国版寅さん」風に描いたのが秀逸で、外国人が珍しくなくなった現在でも古びることのない笑いと感動があります。このアメリカ人、寅さんほど押しが強くはないのですが、まあ、寅さんも口ばかり達者で、さほど商売上手ではない点では似たようなもの。それに、あの帽子、あのカバン、そして大いなる勘違いモード、まさに寅さんそっくりじゃないですか。「アメリカ大っきらい」と言い、アメリカ人批判を繰り広げてはばからない寅さんとは何かと衝突するんだけども(ついには異種格闘技戦へ発展?)、やはり似た者同士、寅さんが未亡人に失恋すれば、アメリカ人マイケルはさくらに失恋。マイケルへの恨み言をつぶやくさくらに、寅さんが「勘弁してやんなよ」と言うのには、グッときちゃいました。失恋した者の気持ちは失恋した者にしかわからない。人生に不器用な者同士が理解し合う瞬間、ですね。早朝の上野での別れのシーンでは何と、寅さんはトレードマークのひとつである、首にさげたお守りをマイケルにあげちゃう。寅さんの罪滅ぼしであると同時に、山田監督とっておきのサービス、ですよね。それにしても、確かに、さくらは複雑な心境でしょうなあ。みなマイケルに好感を持ち、おばちゃんなんか、「ヘタな日本人よりアメリカ人の方がよっぽどいい」などと持ち上げまくってたのに、フタをあけりゃあ、その「ヘタな日本人」とおんなじ、ただの惚れっぽいオッサン。男と言うヤツはどいつもこいつも・・・とは言え、何だか久しぶりのドキドキ感。そういえば、お兄ちゃんは年がら年中、こんなふうにときめいたり落胆したりしているんだ・・・てなトコでしょうか。寅さんに対する彼女の同情は、いつもと一味違ったハズ! ところで、アメリカに帰ってからのマイケル、相変わらず冴えないセールスマンで、今日も車で外回り、途中ガソリンスタンドに寄るのだけど、そこで彼が持っていたのは、さくらの写真。いつの間に入手を・・・いやいやそんなことはどうでもよくて、おおおおっ、このシチュエーション、『ターミネーター』のラストでパクられてたんじゃないか!?何となく、ですがね。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2006-01-08 19:31:10) (良:4票) |
4.さくらはどう感じたんだろう。外国人に真顔で愛を告白され、戸惑いながらも、NOと言い、夫を愛してるとも言った。親切にしてやったのを勘違いされたわけでもなく、寅さんが恋をするのとも若干違う。このアメリカ人の唐突の告白で、我々も改めて、彼女が日本女性の理想像であることに気づく。失恋した二人組みを見送る彼女の微妙な表情が素晴らしい。満男が遊ぶ土手に座りながら、見上げる空には飛行機が去っていく。彼が乗っているなどと知る由もないが。女として嬉しくない訳ではないのだろうが、夫や子に言える話ではない。ずっと胸にしまっておく事だ。これは、さくらのための作品だ。 【パセリセージ】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-01-08 00:11:05) (良:3票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 【アメリカ人もつらいよ 出稼ぎ舞妓篇。 今回のマドンナ:たぶんすっかり忘れてしまいそうかも香川京子さん。】 当時、きっと寅次郎のように〝なにくそ!なにがアメリカ人だ!〟って敵対心むき出しの輩が多かった事は事実でしょうね そんな輩とは正反対で青い目の背高ノッポを物珍しいものを見てるかのようでソワソワしてた女性陣たちの反応、その当時のアメリカ人に対する見方が分かって面白いです。 面白かったといえば、インポ、インポと連呼されてたとらやの一家団欒。寅次郎と大工の棟梁。ブドウ事件。そして意外とポイント高かったのがオープニングソングバックの江戸川河川敷のコメディコントです。テニス部女子に『なによ、アンタ 』とばかりに睨まれ 睨み返して立ち去る寅次郎、再び運動部女子軍団のジャージ脱ぎ脱ぎ短パンルックを目の当たりにしてキャッと立ち去る寅次郎、かなり可笑しかったです 今回のオープニングバックに関して面白さが満点でした。 だがしかし、あの渥美清から始まる日本人ばかりのキャスティング羅列の中にマイケル・ジョーダン じゃなかったハーブ・エデルマンのカタカナ文字がドバーンと出て来た時には違和感アリアリで、何作か前の 協賛:ペプシコーラのカタカナ文字を目にした時のような違和感アリアリだった。なんだか尻がむずかゆくなってしまったほどでした。 そしてどうでもよい情報といたしましては、この度、満男が今まで被っていたジャイアンツ帽から 今回、勝手にヤクルト帽へと変わっていました。 こーの浮気性めが 一体誰に似たんだ ヒロシか寅次郎かタコ社長なのか?!!! てか。 【3737】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2014-04-14 21:13:50) (笑:2票) |
2.《ネタバレ》 冒頭でまずはブドウ騒動で笑わせてくれた後、英語塾から満男が帰ってくるのですが、英語が全く分からない寅さんの「おじさんのことは英語で何と言うんだ?」に満男が「タイガー!」と寅と虎をかける。寅さんはそれを「おじさんの事は英語でタイガーって言うのか」真に受けるという訳ですが・・・。ここはおかしいぞ!寅さんは虎=タイガーだと知っているはずですよ!寅さんは第4作で名古屋の競馬場で車寅次郎という自分の名前と同じだという理由でワゴンタイガーという人気薄の馬に大金を突っ込んでいましたよ!・・・と話がそれましたが、その後とらやには寅さんと同じような鞄1つで現れたアメリカ版寅さんとでも言うべきマイコさんが下宿するのですが、これが仕事にも恋にも不器用な男。恋愛の方は寅さんの恋が全く目立たず、むしろマイコさんの恋と、さくらが主役となっている作品。日米の愛情表現の違いと最後にはマイコさんのよき理解者となった寅さんが絡むのですが、そこにとらやの人々のあたたかさも上手く絡んでいつもとは一味違う味わいがある作品でした。 【とらや】さん [DVD(邦画)] 6点(2010-11-27 23:10:38) (良:1票)(笑:1票) |
1.「アメリカ人版寅さん」が出てくる異色の作品。二枚目でも売れっ子でもなく、「ちょっと足りない」二人の寅さんが醸し出すユーモアと人情と喧嘩と恋が描かれる。日米での考え方の違いが頻繁に出てくるのが面白い。その違いを、寅さんのヒロイン香川京子への「察して知るべし」的な日本的な恋愛と、アメリカ人俳優のさくらへの「口に出して伝える」恋愛を織り交ぜて、うまく表現していた。この作品では、さくらが母でもあり「女であること」が前面に出てくる。それを見事に見終わった後に何とも心地の良い印象を持たせる脚本と、倍賞千恵子の演技が秀逸だった。7点に近い6点献上。 【mhiro】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2009-12-14 10:59:14) (良:1票) |