5.大河内傳次郎の演技がとにかく凄い!今の役者とはあまりにもレベルが違います。黒澤作品としては唯一?のミュージカル風作品で歌舞伎の勧進帳を元にしてるとか。話の内容は全く知らなかったので、この映画で始めて知りましたが、これがなかなかおもしろくて見応えがあります。ラスト嘘をついていると知りながらも弁慶らを通す富樫の好漢ぶりが熱いですね。 【キリン】さん [DVD(字幕)] 7点(2013-01-30 17:27:21) |
4.腹のすわった立派なサムライと卑屈な庶民の関係って、師弟関係とは別に、黒澤が好んだ設定で、たとえば後年の『隠し砦…』にも通じていく。その最初の登場が本作だ。また「平家物語」の映画化を生涯の夢にしていた監督が、けっきょくその時代近辺を描くことができたのは、この短い一編だけだったわけで、その点でも貴重な作品。富樫がになう役割りを、富樫と梶原の使者との二人に善悪で分割しすっきりさせている。善悪というより、人情的と官僚的か。勧進帳読み上げのシーンは、梶原の使者に登場させ、カットを畳み込んでサスペンスを盛り上げる。ここらへんはホントうまい。富樫の山伏問答ではロングで引き、セリフと音楽で盛り上げる。同じ手を続けない。後段、エノケンは酔って踊り、これまでずっとビクビクしていた庶民の彼が、ここで初めて「立派なサムライたち」に溶け込む。しかし目覚めてみれば独りぼっちで置き去りにされていた。立派なサムライたちの仲間には入れてもらえなかった。サムライたちの末路を暗示しているような、また庶民にとってああいう立派さがそもそも一場の夢であるような、そんなエンディング。以後も黒澤作品ではこの断絶がしばしば描かれ、なにかと引っかかるところではある。大きな夕景のなかに一人でたたずむってのも、これから何度か目にするモチーフ。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2008-11-13 12:17:57) |
3.黒澤映画としては、『羅生門』に次いで好きな作品です。 アクション過ぎる『七人の侍』や、ヒューマン臭が過ぎる『生きる』『赤ひげ』などの世間的評価の高い黒澤作品よりも、本作の方が好きです。 尺も短く、緊迫感が最後まで持続し、見事な出来栄えです。 大河内傳次郎の、迫真の演技も特筆すべき素晴らしさでした。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-09-03 23:41:11) |
2.もう皆さん仰ってますが、やはりエノケンという人物の圧倒的インパクト……!! もう完全に、絶滅保護指定俳優です。そしてまさか、弁慶からアルファ波攻撃を受けるとは……!! 【追記】没後10年黒澤明特集で再見。今回は弁慶から睡魔を貰いませんでした。エノケンの、あのキャラクターがこの世界に紛れるだけで、ここまでおもしろくなるのかとワクワクさせていただきました。6→7点 【ようすけ】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-05-11 22:30:15) |
1.この映画がエノケン初体験です。くるくる変わる表情や、ひょうきんな動きに何度か声を出して笑わさせられました。藤田進の表情が絶品でした。クロサワは、源頼朝のような(肉親に対して愛情を持てない)人間が、いちばん嫌いなんでしょうねえ。 |