4.《ネタバレ》 どこにでもいて、どこにでもあるシチュエーション。 夫婦なら必ずその時が来る別れ。といって彼は、落ち込むかというとそうでもない。 束縛されることなく用を足せる…。なんてな些細な楽しみが出来たからだ。 いやいやそれよりも愛娘が、とても好きにはなれそうにないインチキくさい男と結婚。 娘に話を聞いてくれず、相手にもされない。 苛立ち、寂しさ、哀しさ。 式後、そんな彼に届いたンドゥクからの絵。 人が二人。大きい人、小さい人、手をつないでいる。明るい太陽。ただ・ただそれだけ。 お世辞にも上手とはいえない。 一人はシュミットだろう。手をつながれている小さい方は誰だ? 死んだ奥さん?愛娘?それともンドゥク?
それをみて、シュミットも何もセリフはない。 ただ、顔がアップのシーン。涙がボロボロ。笑っている。
この瞬間にわかる。「あっ。彼は今救われたんだ。」と。
この静寂かつ感動のラストシーンを見せたいが為の映画。 これぞ、映画。 また、10年後に観てみたい。そう思った。 【湘爆特攻隊長】さん [DVD(吹替)] 9点(2012-01-14 14:25:20) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 社会や家庭における立ち位置が無い帰属の消失によるアイデンティティの喪失という深刻な問題も、ジャック・ニコルソンの怪演のおかげで見事にコミカルな描写となっています。ニコルソンがヤケになってカートいっぱいに冷凍食品を積めこんでいるシーンなんぞ最高に可笑しいです。そして始まる旅。このロードムービーの道中の空っぽの田舎町、はっきりしない天候などがシュミットの心象風景のようで悩みや虚無を感じさせます。さらに花婿の実家はシュミットの家とは180度違った色使いであり、到着早々、近所の裸のオヤジがゴミ出しする姿が何気なく窓からチラリと見えます。これが自身に理解不能な別世界へ突入した合図となっていて面白い。加えて奇妙な食事会の風景、ウォーターベッドでの奮闘ぶり、ジャグジーではニコルソンはパンツ履いているのにキャシー・ベイツは豪快ヌードと、畳みかけるような未知の試練がシュミットに迫ってきて悲しいまでの滑稽さについついシュミットに肩入れしたくなる作りが巧いです。ただ、ラストのオチ…言いたいことは分かるのですが子どもの絵とニコルソンの泣き顔アップで締めるのは少々ズルいかなと。確かに堰を切ったように感情が爆発する場面ではあるのですが、もう一歩引いた演出で見せた方が深かったと思いますし、映画にも一貫性があったのではないかと思います。でもそれ以外はかなり気に入っています。 私にとって定年退職なんてまだ想像もつかない先の話なのですが、シュミット化の危険性も孕んでおり胸にグッサリ突き刺さってしまいました。自身が同じ年頃で観ていたらもっと痛い思いをしていたでしょう。 【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-02-25 18:27:40) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 アメリカ社会にも本音と建前が存在しているのだと、改めて認識しました。社会の一員として世の中に貢献してきたと自負していた主人公が、定年退職後、実は自分は何の役にも立たない人間だと感じ始め、ジレンマに悩まされていきます。ジャク・ニコルソンの演技から、そんな悲しさがひしひしと伝わってきました。(自分にとって)納得のいかない娘の結婚をも正してやれない無力感に、壊れてしまいそうな悲しい心をどう癒していくのか、観ていてやりきれない思いでいっぱいになりました。エンディングは多くを語らず、観ているものの想像に任せる形で終わりましたが、優しい余韻にあふれて感動的でした。 【ソフィーの洗濯物】さん 9点(2004-03-11 01:55:11) (良:1票) |
1.くどい演技で辟易させられることの多かったジャックニコルソンが、この映画では実に抑制されたいい演技をしてくれます。こんな普通のおとっつぁんもできる人だったんだと感心。「あんた、やったら出来るがな」と、そのことを突っこみたくなった。ロードムービー好きの僕には嬉しい映画。何もかも上手く行かないんだけど、それでも生きてるのも捨てたもんじゃないよって言われてるようでいいなあ。ラストのジャックの涙には、やはり胸がグッとなった。あの涙が、この映画の言いたいことの全てなんだな・・・・。あんな、ちょっとしたことで、人間なんとか生きていけるんだよ。そうだよな・・・・。 【ひろみつ】さん 9点(2003-12-19 23:42:26) (良:1票) |