4.この黒丸(・)は並列であると同時に、進行でもあるんだろうね。娘と妻と母が形作っている世界であると同時に、娘が妻となり母となっていく世界、って。本作から松山善三が脚本に加わるが、あいかわらず金勘定の話が多いところを見ると、井出俊郎が主だったんだろう。土地の不安定さということもあり、『鰯雲』の都会版と見えないこともない。あれと同じような変動が都市部でも起こってるってこと。娘が一人戻ってくるだけで波紋が広がっていく。それを誰にも偏らず、多極構造を維持したまま進めていく(後半やや原節子に傾いたが、高峰秀子の存在が対象化してた)。嫁と小姑の機微なんかが見どころ。再婚をあまりあからさまに勧めるのも難しい、でも姑は微妙に反応する、ここらへんうまい。宝田明が「兄弟は他人の始まり」と言うと、草笛光子が「いっそ他人ならサッパリしてていいんだけど」と返すのなんか、成瀬作品に共通する感慨でしょうね。「他人でないことによるサッパリしなさ」がこの監督の味なの。家族の情愛を否定するわけではないんだけど、それへの嫌悪も見せてくれる。それはホッとする救いとしてあるんじゃなく、「懐かしい鎖」としてある。新興住宅地風のとこでチンドン屋が舞ってるシーンに思わず息を呑んだ。いったいあんな光景の何が良かったんだろう。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-12-20 09:52:52) |
3.昭和三十年代半ばの典型的な中流より上の家庭ドラマ。今も昔もどんなに仲の良い親兄弟でも、お金が絡むと人はどうしてもドロドロと本性が見え隠れしていやですね。出戻りの原節子さんと孫の男の子だけが無邪気で可愛く一番まともでした。それにしてもこの時代の人は今の大人に比べると少なめに見ても20年は老けこんでるように思います。 【白い男】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-07-12 11:01:42) |
2.オールスターキャストによる成瀬巳喜男監督のホームドラマ。原節子と高峰秀子の共演が見ものなのだが、原節子は「青い山脈」や「お嬢さん乾杯」に比べて少し老けたという印象があるものの、それでも美しさは感じられる。それに対して高峰秀子は精彩のない役で今作では夫婦役で共演している森雅之との「浮雲」コンビもなんだか見ていて物足りない。また映画全体の出来としてもオールスターということが影響しているのか平凡な印象が残るし、明らかに顔見世程度の出演者がいるなど不満も多いが、ラストの三益愛子と笠智衆の公園でのシーンが不思議な余韻を残していて良かったので甘めに7点。杉村春子がまたも嫌味たらしい姑役で出ているが、その嫌味ぶりがなんだか見ていて笑える。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2008-06-21 16:12:30) |
1.古き良き時代の日本が描かれていてとてもよかった。昔と現代の常識がやっぱりかけ離れてきていると再認識させられた。それにしても原節子キレイだなぁ 【りん】さん 7点(2003-04-02 16:37:22) |