4.《ネタバレ》 オムニバス映画といえば、真っ先に頭に浮かんでくる映画「世にも怪奇な物語」。
タイトルがそそりますし、傑作であると思っていました。今回あらためて観直して納得しました。 ストーリーが面白いというよりは、映像や雰囲気がとても素晴らしいんですね。
エドガー・アラン・ポーの原作をロジェ・ヴァデイム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニという名監督がそれぞれ映像化しています。 122分の間に3本の映画を観ることができて、とても得した気分になれます。
第1話「黒馬の哭く館」は、ロジェ・ヴァデイム監督、主演は当時、ヴァディム監督の妻であったジェーン・フォンダ、共演に実弟のピーター・フォンダというゴージャスさです。 いつの時代でどこの国かわかりませんが、お城が出てくるコスプレものです。
それにしても、姉のジェーン・ファンダは、若い頃から晩年まで確執のあった父親のヘンリー・フォンダにそっくりです。 弟のピーター・フォンダは、「イージー・ライダー」でブレイクする前ですので、まだまだ初々しくて若いですね。 ジェーンは性格の悪い館の主で貴族の令嬢を演じていますが、とても憎たらしいキャラなのに美女なので、さほど気になりません。
第2話「影を殺した男」は、ルイ・マル監督、主演はアラン・ドロン。まさに20世紀を代表する世紀の二枚目俳優アラン・ドロン。まさに水もしたたるいい男です。 自分と全く同じ名前の人物が現われ、自分の行動を諫めようとする。とうとう彼は、もうひとりの自分を殺してしまうという物語です。
アラン・ドロンという俳優は、若い頃はルネ・クレマンやルキノ・ヴィスコンティ、ミケランジェロ・アントニオーニといった世界的な巨匠と言われる映画監督の作品に意識して出演していて、今回のルイ・マル監督のようなヌーヴェル・バーグの映画監督たちとは一定の距離を置いていたため、この作品はそういう意味からも本当に貴重な作品になっていると思います。
そして、尚且つアラン・ドロンがホラー映画に出演しているのを観るのもとても新鮮でした。 まあ、ホラーと言ってもホラー度はかなり低いのですが。
第3話「悪魔の首飾り」は、フェデリコ・フェリーニ監督、主演は「コレクター」に出演してエキセントリックな個性が光っていたテレンス・スタンプ。 この第3話が、評判が一番いいようですね。ストーリー性はあまりなく、映像の力でグイグイ引き付けるタイプの映画です。 主人公がアル中で朦朧としているので、映像自体もシュールで意味不明なところが多々あります。 そして、迫力のある怖いラストシーンは、一見の価値があると思います。
3話とも、ストーリーそのものはシンプルなのですが、それぞれの演出が卓越しているので、本当に見応えがあります。 アラン・ドロンが大好きなせいか、私は彼が出演している第2話に一番心惹かれました。
オムニバス映画はあまり観るチャンスがないので、今回再び観れてとても良かったと思います。 この映画のように、不思議でファンタジックで、それでいて怖いストーリーというのは、いつの世にも作りたい、観たいという欲求があるようにも思います。
日本のTVのかの「世にも奇妙な物語」も、この傾向をモロに受け継いでいると思います。ホラー映画が苦手だと言う人も大丈夫な映画で、ロジェ・ヴァディム、ルイ・マル、フェデリコ・フェリーニ監督のファンの人ならば一見の価値ありの映画だと思います。 【dreamer】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2019-04-01 14:53:52) (良:2票) |
3.アラン・ドロンに1票、いや2票。 フェデリコ・フェリーニに 3票、いや4票。 【3737】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-12-03 19:20:11) (笑:1票) |
2.タモリの解説はついていない本作。大物監督がよってたかってポーの小説を元に怪奇モノを撮ってみよう!ってな趣向のオムニバス映画ですが、何しろ、怪奇モノっちゅうと、手練の監督よりも、脳ミソの一部に誤回線がありそうなヒトが撮った方が、変に味があったりしますからね~、さてどうなることやら。で、蓋を開ければ、三者三様の出来栄えではありますが、短編ならではの密度の濃い演出がそれぞれ楽しめて、おお、なかなか面白いんでないの。ま、さすがにトイレ行けなくなるほどの怖さは無いですが。映画化にはなかなか難しい面もあると思います。ポー作品の怖さというと、モンスターが襲ってくるような具体的な怖さじゃなくて、いわば見えない怖さ、抽象的な恐怖感の具象化とでも言いますかね。一方、映画の方は、まず具体的な「映像と音」から出発して、そこから、どこまで抽象的観念としての「恐怖」を引き出せるか。ポー作品を映像化する行為自体が、ポー作品の意義と逆のベクトルを向いているのかもしれない。そこで、ここでは映画なりの工夫が三者三様、なされている訳で。第2話のかなりアブノーマルな味付けされた『ウィリアム・ウィルソン』、構成からオチに至るまでうまくアレンジされ、これぞ「映像化」ではなく「映画化」と呼ぶべきものでしょう。さらには第3話。ははは、絶対、3人の監督の中で一番楽しんで撮ってたのはフェリーニに違いあるまい!と思わせる、独特の世界。このブッ飛び具合、もしや映画の企画の趣旨を理解していなかったんでは?と心配になる程ですが、トリを飾るに相応しいパンチ力。で、第1話はどうかって?あ、あのB級っぽい音楽が、タマリませんでした・・・。 【鱗歌】さん 7点(2004-08-10 23:48:28) (良:1票) |
1.1話目が一番制作費がかかってる?ジェーン・フォンダの美貌だけで保っている作品というような印象も受けたけど、あれはあれでなかなかに中世の独特な世界観を作り上げていて良かった。燃え盛る炎と黒馬が不気味・・・。個人的には最もストレート(?)で分かり易い2話目がお気に入り。監督はルイ・マル、一人の男が自分のドッペルゲンガーの存在に悩まされる。美男子アラン・ドロンの異常なサディスティック振りに注目。そして中でも一番人気の3話目。さすが巨匠フェデリコ・フェリーニといった感じで、冒頭の空港のシーンから明らかに異質な空気を感じる。怖さでも他の二作をずば抜けています。貞子やサマラを見て物足りないと思った方は是非どうぞ。 【かんたーた】さん 7点(2004-05-30 10:06:18) (良:1票) |