7.「生まれてきてよかったんだ、と子供にエールを送るのが児童文学」 (by 宮崎駿 岩波新書「本へのとびら」より)
これは個人的な感想なのだが、高畑監督はご自身が監督するアニメに関して 理念というのか伝えたいテーマを予め立てた上、そこから逸脱しない様に 気を使いながら作品を手掛けられた方なのではないか、と思う。 例.「ハイジ」=「アニメ的な大自然の風景描写+魂の救済」、「母を訪ねて~」=「国境と貧困」、 「赤毛のアン」=「女性の社会進出」、「ホルス」=「神話の創造」 (その点キャラクターと基本的なプロットを設定した後は多少の逸脱をも 気になさらずに進めていた宮崎監督とは異なる制作アプローチだった気がする)
で、原作/脚本宮崎駿のこの作品に関して高畑監督が心がけたのは 「アニメーションによる児童文学の再現」。 大人には理解できない、子供の突拍子もない創造力や行動を描写している児童文学。 真面目な高畑監督はその再現をこの機会に真摯にとりくんだ、そこが私は好きなのだ。
この映画をスクリーンで見たのは2008年のリバイバル上映時。 今回レビューを書くために改めて見直したが、大人の自分にはこの面白さは もう理解できない。一抹の寂しさを感じると同時に制作50年を迎えるこの映画が ちゃんと今でも手軽に見れる事に感謝。 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 6点(2021-08-06 17:55:18) (良:2票) |
6.《ネタバレ》 時代背景からいえば、第二次大戦後の国共内戦で大陸を追われた国民党勢力が、台湾島と附属島嶼だけの状態で国連安全保障理事会の常任理事国として「五大国」の扱いを受けていたが、1971年に諸国の思惑がらみで代表権を失って国連を去り、1972年には日本も国交を断絶した(来年で50年)。代わりに国交が生じた大陸側から記念としてパンダ2頭が送られて来て、1972年11月から上野動物園で公開が始まり大人気になったが、そのような情勢のもとでこのアニメが作られたことを今回再認識した。 明らかに国家戦略のために使われているにもかかわらず、パンダ自体は現在も絶対善のように思われているようだが、それはこの時代に形成された国民意識の影響かも知れない。国民一億総panda huggerということだ(言いすぎか)。
当時は自分も見たのかどうかわからないが、3つ下の従妹が見て大喜びして、歌の冒頭部分をやかましいほど繰り返し歌っていたことは憶えている。何が面白かったのか不明だが、部外者なりに考えると、主人公の少女が父親に甘える立場と、小さい子に甘えられる立場の両方を兼ねるのが豪華な設定だったかも知れない。 序盤の幸せな時間も長くは続かず(全体で30分しかない)、やがて大人社会からの脅威が及んで来て、最後は別れの寂しさを残す終幕だろうと予想していたら、意外にも奇想天外な結末だったのには驚かされた。完全に現実を度外視してでも、見ている子どもらの期待を裏切るまいとする制作姿勢だったらしい(感動的だ)。 そのようなことで、今回見てもそれほど悪くない映画だとは思った。なお主人公の少女が、昔のアニメにしては表情豊かで躍動感もあるのはさすがということか。得意の逆立ちをする時に、ちょっと溜めてから伸びる場面があったのは芸が細かい。 【かっぱ堰】さん [インターネット(邦画)] 6点(2021-05-01 08:50:36) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 ミミ子の声がハイジ、ミミ子のポジティブさ、泥棒に会ったら大変だと警官に言われても、私、泥棒に会った事ないから楽しみみたいな事を言う。自分よりも大きなパンダを全く怖がらず、蒸しろ、パパって呼んで良いと、全く警戒せずに付き合うミミ子の健気さ、ミミ子がまるでハイジの様だ。高畑勲監督と宮崎駿監督の共同作品として、全く説教臭さが無くて、安心して見れるのか良い。トトロを思わせる作品であるが、それと同時にやっぱりアルプスの少女ハイジをも思わせる作品として、高畑勲監督、宮崎駿監督の二人にとっての原点と言っても良い映画です。 【青観】さん [DVD(邦画)] 7点(2020-11-23 16:03:46) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 東宝チャンピオンまつりで観ました。お目当てだったゴジラより印象に残りました。「特に竹やぶがイイ」を何度も繰り返すパパンダに、お行儀が良い優等生アニメとは一味違った捻りを感じていました。久しぶりに観たのですが、パパンダの胸に抱きつく(というか、くっ付く)パンちゃんやミミ子に「トトロ」の原型が窺えます。上手いなぁと思うのは理屈をすっ飛ばす部分と拘る部分の明快な使い分け。例えば、全く垣根を感じさせずにパンちゃんと仲良くなるミミ子の突破力と、パパンダの巨体が椅子を押し潰すような写実性の対比です。エンディングの弁証法的解決は格別の和み具合です。 【アンドレ・タカシ】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-08-14 01:36:38) (良:1票) |
3.宮崎駿にはまたこれくらい分かり易い映画を作って欲しいと願う。本当に心から。。。 【カイル・枕クラン】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-10-31 14:31:30) (良:1票) |
2.確かこれを初めて観たのは、今は無き文芸地下の宮崎駿特集だったと思う。その後、何度か観ましたけど、いつ観ても面白いですね。とてもカンカン・ランラン来日記念便乗企画のやっつけ仕事とは思えない出来です。当時は全然気がつきませんでしたけど、良く見てみれば、本作の舞台は「となりのトトロ」の舞台にも程近い所沢市北秋津。この所沢への思い入れは何だ? そして、現実とファンタジーが近くに存在しつつも、きっちりと分かれていた「トトロ」とは異なり、本作のオチは現実に無理矢理ファンタジーを割り込ませる。この痛快感は「トトロ」では味わえませんよ、7点献上。 【sayzin】さん [映画館(字幕)] 7点(2005-06-27 00:35:22) (良:1票) |
1.確か…「地球攻撃命令ゴジラ対ガイガン」の同時上映だったと記憶している。お目当ての「ー対ガイガン」が余りにサムい出来だったのに対し、本作の優れた出来映えに幼心にも感心したような気が…。今思えば、東映動画をやめて独立した直後の高畑勲・宮崎駿・大塚康生ら精鋭によるフレッシュ極まりない作品であったコトに気付かされる。特に熊倉一郎演じるパパンダのキャラ造形は秀逸で、間違いなく後年のトトロのプロトタイプだろう。コレだけの面子が揃いながら当時のパンダブームに迎合した安易さは当然の如く減点対象だが、水森亜土の”パンダコパンダ、コパンダ♪”の主題歌に幼少時のノスタルジーを掻き立てられつつ…オマケして7点かな。 【へちょちょ】さん 7点(2003-08-01 00:34:05) (良:1票) |