4.コルチャック先生は理想を掲げて己の道を突き進む。しかし皮肉にも現実が彼に歩みよって来てくれない。この作品はその理想と現実を少しづつ離していくという構成でラストもこれまた強烈な皮肉で締められる。「一体彼は何がしたかったのだろうか?」と平和な時代に生まれた私にとっては理解できることはないかもしれない。逃げようと思えば逃げれたかもしれないのにあえて”私”を殺して子供達の為に理想へと走った先生はまさに”理想の人”だったのだろう。こういう風に称えるべき人間もいるのであれば昨今宗教家と偽り私欲の為に幼児虐待等をする人間もいるという皮肉な世界。子供には未来があり理想に満ち溢れた心が詰まっている。だからこそその子供達と一緒にいたコルチャック先生はどんなに現実が襲いかかろうとも理想を捨てきれなかったのだろうと思う。 【tetsu78】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2005-04-09 16:59:21) |
3.ワルシャワゲットーの生き証人である「戦場のピアニスト」のシュピルマン氏は、コルチャックを、これまで出会った最高に立派な人物だと評し、その真価は、書いたように生きた事実にあると語っている。あの狂気と悪夢の巣窟と化したゲットーの中で、子供達の安全と日々の糧のために奔走するコルチャックの姿は、まさにその通りであった。安穏な暮らしを享受している私にとって、観るのも辛く、胸が張り裂けそうに。「誇りなどない、200人の子供がいるだけだ」。私が今まで耳にしてきた数々の感動的な台詞も、彼のこの言葉の前では、全て色褪せてしまったように感じられた。 【トバモリー】さん 8点(2004-03-29 17:38:38) |
2.この映画で初めてヤヌシュ・コルチャックという人の事を知りました。ああ、なんて素晴らしい人なんだろう。子供たちの事を一番に理解し、彼らのために全てを捧げて守りぬいた、ほんとうに教育者の鏡のような人でした。とくに印象的だったのは、コルチャック先生が一人の少年と話す場面で、少年は「死んでしまいたい」とコルチャック先生に語る。普通ならなんてバカなことを!と怒鳴って叱りつけるようなところだが、コルチャック先生は違う。「子供にも死ぬ権利はある」とやさしく語りかけるのである。子供だからといって特別扱いするのではなく、一人の人間として見ている。そして、人生とはどういうものなのか、人間であることの意味、生きている事の意味を教えてくれます。あくまで自分と相手は対等な立場として。この、コルチャック先生の子供に対する姿勢が素晴らしいと思いました。この映画を観て、コルチャック先生についてもっともっと知りたくなりました。 【きのすけ】さん 8点(2003-11-14 00:49:54) |
1.実話の映画化というのには(一部の「実話なわけないやろー」という映画を除き)とても弱いのです。ナチスのユダヤ人迫害モノですが、あまり感傷に走らず、むしろ淡々と語ることで、ラストシーンが生きてます。 【鱗歌】さん 8点(2003-05-03 22:30:44) |