4.ただのアクション映画ではないです。 美意識の高い映像の美しさと中国ならではの迫力。奏でられる音楽に酔いしれながら、「動」と「静」が見事に融合した素晴らしい演出。 「剣」と「書」という中国の文化を描きながらも、この映画の根底に流れる平和の思いは、今のこの時代にも相通ずるものを感じさせずにいられない。 この映画の出演者全てが英雄だとは思うが、残剣と秦王こそ英雄の中の英雄だと思う。 残剣が願った飛雪と故郷で平和に暮らせる世であって欲しいという思いとそれがもはや、かなわない夢であるため、死を選んで自分が愛する人に教えるしかないという哀しさ。 また、秦王の為政者としての誰にも理解されない孤独と真の理解者が現れた時の心が晴れた潔さ。 ラストもこれから天下統一を図るためにも自己の制定した法を破れば部下に対しての示しがつかないのを悟り、苦渋の選択をしなければならない姿には感動した。時間が短い割にはこれほど中身が詰まった映画も珍しい。 自分の命を賭しても伝えたいそれぞれの想いに胸を熱くせざるを得ない。 【六本木ソルジャー】さん 10点(2004-06-25 15:47:39) (良:4票) |
3.《ネタバレ》 武侠映画とは強大な悪役がいて、正義の主人公がそれを倒すといったものが定番であるが この映画には悪役は存在しない。
3人の刺客の犠牲を受けて、遂に始皇帝まで10歩の位置にまで近づくことが出来た無名。 「十歩必殺」の剣を持つ彼には殺すことが可能な距離であるが、 始皇帝を殺すことは民衆を救うことにはならないと判断し命を奪わなかったのである。 また明瞭な始皇帝も無名を処刑することを躊躇するが 「法」という個人の感情を超えた存在があるが故に、彼を助命することは出来なかったのである。 【郭嘉】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2009-11-02 12:57:04) (良:1票) |
2.映像はすばらしい。迫力もありました。でも僕が何よりいいと思ったのはストーリーです。巷では単純という話も聞きますが、全くそんなことはないと思いました。最近テンポのいい台詞だけでストーリーを進めていく安易な作品が多い中、台詞のない部分で多くのドラマを語る上質な作品でした。一流の人間が対峙した時の紙一重の世界が非常によく描かれていたと思いました。 【りゅみぇ~る】さん 10点(2003-10-20 16:49:40) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 アクションや衣装や映像も確かにほんとにすごかった。でも、私はストーリーにめいっぱい入り込めたので、「本当の英雄とは?」ということをバンッ!と目の前に叩き付けられた気がして、それだけでもう十分観てよかったと思っています。刺客がたどりついた悟りが「殺してはいけない」というのが身震いがします。死を覚悟でそれを秦王に伝えに行った無名。その無名を断腸の思いで殺せと命じた秦王。まわり誰も泣いてなかったけど、私泣きました。人がいなかったらもっと泣いてました。無名の心を表情をあまり変えずに表現したジェット・リーは、アクションだけの人ではないなと思います。そして大好きなマギー・チャン。やっぱり最高です。トニー・レオンの残剣も思わず惚れ込んでしまいました。チャン・イーモウ監督、今まで私とは相性よくなくて悲しい思いをしていましたが(みんないいって言うのに私はあまりいいと思えなかったので)、今回は心からすばらしいと思いました。 【きょうか】さん 10点(2003-09-04 14:56:51) (良:1票) |