10.驚いたのは色彩です。「銀のこし」処理なのか、デジタル補正なのか解りませんが、ここまで色を落とす必要はなかったのではないでしょうか。これは好みの問題なのかもしれませんが、本作の作風からすればもっと色を強調してやった方が絶対によかったと思います。プロットはまずまず。相変わらず行き当たりばったりの即興的なストーリーであることは明白なのですが、これがなかなか面白くて、結構楽しめました。これはもう完全に北野監督の持ち味。ご都合主義的なお話で、3段落ち、いやラストカットまで含めれば4段落ちの結末ですが、エンターテイメントとしては十分成功しているように思います。もちろん勝新の座頭市とは全くの別物。もっとも同じ勝新の座頭市でも大映シリーズと後の座頭市(89)では、すでに趣を異にしていますので、勝新だってこれくらいは許してくれるはずです。タカの剣術稽古のシーケンスは大爆笑。TVドラマなどの時代劇で見られる殺陣の形式主義を見事に皮肉っていますね。言ってみれば、お約束的な笑いなのですが、わかっていても思わず吹き出してしまう笑いの数々。流石です。タップシーンも圧巻。ただ、これらを「斬新」と評するのはちょっと早計のような気がします。すでに戦前においても、伊丹万作、山中貞雄などが時代劇にこうしたユーモアをちりばめた傑作を残していますし、マキノの時代劇『鴛鴦歌合戦』(39)に至っては完全にミュージカルです。これを初見した時の驚きに比べれば斬新という印象はやっぱり薄いです。この映画に対する斬新という形容詞は現在のTVドラマの時代劇に対して当てはまるものであって、映画史的にみれば、決して斬新なものではないのではないでしょうか。伊丹万作、山中貞雄、稲垣浩らの残した傑作時代劇。TVドラマはいざ知らず、映画史的に見れば、これこそ斬新な時代劇だと思うのです。一方ではリアリティを求め、他方ではそんなものは切り捨てる。そして、あらゆるものを詰め込もうとしたこの映画に漂う妙なアンバランスさは、決して観客に対する迎合(サービス)のみに起因するものではないでしょう。勝新の座頭市からは逃れることはできても、北野監督は、日本の伝統的な時代劇の枠組みからは決して逃れることはしなかった。これは斬新な時代劇などではなく、北野監督が愛した先人へオマージュの塊が生み出した映画でしょう。何しろ、北野監督は時代劇の大ファンなのですから。 【スロウボート】さん 7点(2004-04-17 01:28:28) (良:2票) |
9.《ネタバレ》 全体的にテンポもいいし、リズムもいいし、殺陣も勢いがあっていい。スタイリッシュな殺し方、スピードや間や形が相変わらずかっこいい。あと座頭市の最後の秘密、これはオリジナルでしたねぇ。思わずそうきたかと。普通にひとつの作品として面白い。
シナリオもわかりやすい。ただし薄っぺら。もっとも、タケシ作品のシナリオにけちをつけようと思えばいくらでもつけられるけど、タケシの作品なんでしょうがない。そのかわり雰囲気とか流れとかスピードとかユーモアがちりばめられている。無法松とタカはやりすぎだった。軍団の面倒を見すぎ。作品に悪影響。
あとイントロの農作業のダンス化は新鮮だったけど最後のタップダンスは正直言っていらなかった。日常と非日常の差は微差にしておいたほうが、この作品のテイストにはあってる。
北野武は、ある程度制約条件があるほうがいい作品を作るのかもしれない。
時代劇に限らず、文学の古典名作を翻案する形で脚本を作れば、案外いいものができそうな予感。 まだまだ才能を出し切ってないと思う。 初期の才能はソナチネで出し切ったけど、座頭市を見る限りにおいてはまだまだ新しい才能が眠ってるような気がした。才能ののりしろを感じた
アウトレイジでは有名役者を使い始めたけど、シナリオの外注など、さらにレベルアップしてみて欲しい。 タケシテイストはタケシにしか出せないのだから。
そうそう、この映画について。 勝新太郎の真似ではないかといわれないようなものを作ったというのが武監督の弁。 まさにその通りの内容だった。このシナリオを勝がやったr、勝の自己否定につながる。 確かに、タケシオリジナルの座頭市でした。 この部分についてはネタバレはしないでおきますが、太鼓判を押します。 【ひであき】さん [DVD(邦画)] 7点(2011-07-22 07:22:06) (良:1票) |
8.《ネタバレ》 カッコイイ映画でしたね。 殺陣が上手いとかそういう問題ではなく北野流の時代劇が見てとれます。 なるほどこいつらが悪者だったのかという一応の意外性ストーリーを含みますがそういのはオマケに過ぎない良くある話ですから。 それでも北野たけしの独特の空気が上映中終始流れています。 市のせりふは全体を通してもおしゃべりなほうではなく黙っていることが多い 服部源之助にしても少ない、この主役二人はあまり喋らないのです、他の脇役が喋り色々な事件が起き、戦う必要の無い何の恨みもない二人が戦うことになります。 実際、服部源之助は奥さんの病気の為に用心棒したりと主役でもおかしくない役どころです、反対に市は特に良い人間ではなく巻き込まれたからやっちゃったみたいなところがあります、きっとそういう正義の味方!っていうのではないただただ強い市が偶然通りかかった村で事件に巻き込まれて組織を潰してしまう!そういうアウトローなところがカッコイイと感じたのですね。 とにかく北野たけし、浅野忠信の二人さすがに上手いですね。 |
7.《ネタバレ》 中盤の2、30分の中だるみ、悪役が台頭してもさほどの危機感を感じさせない展開、所々わざとらし過ぎる血の描写等マイナス点もあるが「北野武が時代劇を撮るとこうなる」という形を見れたので良かったと思う。個人的にはもっとバンバン斬って欲しかった。市が強すぎて圧勝な事はあれでいいと思う。セガールアクションだってほとんど無傷で倒しちゃうし(笑)DVDでも観てますが、テレビでやると色々規制がかかって、賭場で腕フッ飛ばしちゃう所とか「乞食でもいたら試し斬りしてみろ」とかって台詞とか全部カットなんですね。ラストの大親分の目を斬った所も「誰が殺すもんかい・…」で静止画みたいになっちゃって。「一生メクラで生きてろ」ってラストが無いと何だか締まりが悪いなあとか思っちゃいました。盛り上げという意味でのタップダンスはアリでしょう。外人も拍手がしやすかったと思います。大家が本当に三味線弾いてたのでプラス1点。無法松がグルグル走ってる無意味さは「菊次郎の夏」のタコ男レベルのナンセンスさでプラス1点。雨の殺陣シーン。扇家乗り込みのシーンのカッコよさを全てトータルで7点献上。 【まさかずきゅーぶりっく】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-11-08 14:57:39) (良:1票) |
6.お、面白れぇー!時代劇なのになんか現代風チックになってて上手くリメイクしたなあーと思う。普通の時代劇はあんまり見る気はしないけどこの映画は何回でも見たいと思う。座頭市がとにかく格好いい、「逃げな、姉さん」なんて時代劇じゃ定番の台詞も普段「コマネチっ!!」とかやってるオッサンが言い放っちゃうとギャップがあるのかな?なんか格好よく映ります。戦闘シーンもスピーディーで血のしぶき方なんかリアルで「うおぉぉ!」ってなります、個人的には座頭市の切った後の芋虫を噛み潰したような顔、って言えばいいんでしょうか?なんかあの顔見ると、「こいつ、粋!」って感じちゃいます。ラストの祭りのシーンも含めてリズム感がいいのも好きな理由の一つですね。 【8823】さん [地上波(字幕)] 7点(2005-11-06 23:50:39) (良:1票) |
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5.《ネタバレ》 勝新太郎とはまた違った、勧善懲悪だが冷徹非情な座頭市。北野氏監督または出演の作品には、物語の運びに奇妙な「間」がある。起承転結を過剰に演出せず、クライマックスになっても大袈裟なBGMなども使わず、俳優も台詞の言葉も、あっけないほど自然に淡々と筋書きが進んでゆく不思議な「間」だ。この座頭市も、何の為に登場したか判らなかったり、居なくても大して物語に影響が無かったような登場人物が存在する。この北野映画独特の「間」もやはり、表に出ずじまいで自害した武士の妻やサムライごっこの男のような登場人物があればこそなのだと思う。この「間」が個人的には大変好きだ。金髪も変に時代劇口調でない台詞も、話題になった下駄タップも、この映画の北野ワールドに自然に溶け込んでいて違和感がない。観る手の裏をかく悪役の正体、アッとおどろくドンデン返しなど、とても良いエンターテインメントに仕上がっていると思う。個人的には、最後の悪党の頭目達との対決の暗さ、凄みは、あの華やかな下駄タップをBGMに、シーンを交互に進めると良かったなどと思ったが、そんな「過剰演出」は、きっと北野監督の作品には必要ないのだろう。 【six-coin】さん 7点(2004-11-29 00:35:00) (良:1票) |
4.やっぱり武って人は普通じゃないよな。バラエティとかで見る、バカなキャラクターが強く印章に残っていても、フィルムの中ではまるで別人、いきなり格好良くなる。これは故・三船大先生に匹敵する、とまでは言い過ぎにしても、それに次ぐものがある。大体(本物の)お笑い芸人ってのは、頭の回転がずば抜けて速くなくちゃいけないからね、その時点で武氏は今の監督にはない才能がある。以前の座頭市は未見なのでなんともいえないけど、この作品はこの作品で充分面白い。武スタイルの笑いの要素も入っていたり、畑を耕すクワがBGMと共にリズムを刻んだりと色々ニクい演出もあり、かと思えば殺陣はキレがあっていいし。古くからの座頭市ファンは以外に評価に厳しいかもしれないけど、個人的には武の新たなる才能を見ることが出来た作品だと思う。 |
3.画としてみる分には面白い。見せ方・間・バランス・アイデアなど普通の時代劇や邦画にはない面白さがあって北野武の非凡さが窺われる。そういった意味では海外での評価の高さも分かる。ストーリーや脚本といった見てくれ以外のところに関してはちょっと微妙。結構色々な要素が含まれているはずなのに(用心棒の病気持ちの妻や復讐する機会を窺う姉弟とか)結局それが活かされおらず、ずっと一本調子のように思えた。 【よっふぃ~】さん 7点(2004-04-08 17:46:29) (良:1票) |
2.タップしつこいね! 【k】さん 7点(2004-01-28 19:33:02) (笑:1票) |
1.人がバッタバッタ斬られ、血がドバドバ飛びます。やりたい放題。コミカルなシーンもありますが、かなり残酷な映画。食事時に観る映画ではないかも・・。 おしの・おきぬ姉妹の過去の話など、ちょっと中だるみする所もあった気がするのですが、悪をバッサリやって、最後は格好いいタップダンスでキッチリしめているので、後味は良いです。 賭博場で、座頭市がもめごとを起こすシーンは、さすがに「そんな殺生な!」(笑)と思いました。この映画、劇中で何人死んでいるだろう・・。 ビートたけしと浅野忠信が格好いい。浜辺での2人の決闘シーンもいい感じ。「黒幕」も単純ながら、最後まで分からなかったので、おぉ、と思いました。 ヤクザの親分を演じた岸部一徳が本当に悪そうでハマリ役でした。 【ムレネコ】さん 7点(2003-11-22 01:44:16) (良:1票) |