6.驚いたのは色彩です。「銀のこし」処理なのか、デジタル補正なのか解りませんが、ここまで色を落とす必要はなかったのではないでしょうか。これは好みの問題なのかもしれませんが、本作の作風からすればもっと色を強調してやった方が絶対によかったと思います。プロットはまずまず。相変わらず行き当たりばったりの即興的なストーリーであることは明白なのですが、これがなかなか面白くて、結構楽しめました。これはもう完全に北野監督の持ち味。ご都合主義的なお話で、3段落ち、いやラストカットまで含めれば4段落ちの結末ですが、エンターテイメントとしては十分成功しているように思います。もちろん勝新の座頭市とは全くの別物。もっとも同じ勝新の座頭市でも大映シリーズと後の座頭市(89)では、すでに趣を異にしていますので、勝新だってこれくらいは許してくれるはずです。タカの剣術稽古のシーケンスは大爆笑。TVドラマなどの時代劇で見られる殺陣の形式主義を見事に皮肉っていますね。言ってみれば、お約束的な笑いなのですが、わかっていても思わず吹き出してしまう笑いの数々。流石です。タップシーンも圧巻。ただ、これらを「斬新」と評するのはちょっと早計のような気がします。すでに戦前においても、伊丹万作、山中貞雄などが時代劇にこうしたユーモアをちりばめた傑作を残していますし、マキノの時代劇『鴛鴦歌合戦』(39)に至っては完全にミュージカルです。これを初見した時の驚きに比べれば斬新という印象はやっぱり薄いです。この映画に対する斬新という形容詞は現在のTVドラマの時代劇に対して当てはまるものであって、映画史的にみれば、決して斬新なものではないのではないでしょうか。伊丹万作、山中貞雄、稲垣浩らの残した傑作時代劇。TVドラマはいざ知らず、映画史的に見れば、これこそ斬新な時代劇だと思うのです。一方ではリアリティを求め、他方ではそんなものは切り捨てる。そして、あらゆるものを詰め込もうとしたこの映画に漂う妙なアンバランスさは、決して観客に対する迎合(サービス)のみに起因するものではないでしょう。勝新の座頭市からは逃れることはできても、北野監督は、日本の伝統的な時代劇の枠組みからは決して逃れることはしなかった。これは斬新な時代劇などではなく、北野監督が愛した先人へオマージュの塊が生み出した映画でしょう。何しろ、北野監督は時代劇の大ファンなのですから。 【スロウボート】さん 7点(2004-04-17 01:28:28) (良:2票) |
5.お、面白れぇー!時代劇なのになんか現代風チックになってて上手くリメイクしたなあーと思う。普通の時代劇はあんまり見る気はしないけどこの映画は何回でも見たいと思う。座頭市がとにかく格好いい、「逃げな、姉さん」なんて時代劇じゃ定番の台詞も普段「コマネチっ!!」とかやってるオッサンが言い放っちゃうとギャップがあるのかな?なんか格好よく映ります。戦闘シーンもスピーディーで血のしぶき方なんかリアルで「うおぉぉ!」ってなります、個人的には座頭市の切った後の芋虫を噛み潰したような顔、って言えばいいんでしょうか?なんかあの顔見ると、「こいつ、粋!」って感じちゃいます。ラストの祭りのシーンも含めてリズム感がいいのも好きな理由の一つですね。 【8823】さん [地上波(字幕)] 7点(2005-11-06 23:50:39) (良:1票) |
4.やっぱり武って人は普通じゃないよな。バラエティとかで見る、バカなキャラクターが強く印章に残っていても、フィルムの中ではまるで別人、いきなり格好良くなる。これは故・三船大先生に匹敵する、とまでは言い過ぎにしても、それに次ぐものがある。大体(本物の)お笑い芸人ってのは、頭の回転がずば抜けて速くなくちゃいけないからね、その時点で武氏は今の監督にはない才能がある。以前の座頭市は未見なのでなんともいえないけど、この作品はこの作品で充分面白い。武スタイルの笑いの要素も入っていたり、畑を耕すクワがBGMと共にリズムを刻んだりと色々ニクい演出もあり、かと思えば殺陣はキレがあっていいし。古くからの座頭市ファンは以外に評価に厳しいかもしれないけど、個人的には武の新たなる才能を見ることが出来た作品だと思う。 |
3.画としてみる分には面白い。見せ方・間・バランス・アイデアなど普通の時代劇や邦画にはない面白さがあって北野武の非凡さが窺われる。そういった意味では海外での評価の高さも分かる。ストーリーや脚本といった見てくれ以外のところに関してはちょっと微妙。結構色々な要素が含まれているはずなのに(用心棒の病気持ちの妻や復讐する機会を窺う姉弟とか)結局それが活かされおらず、ずっと一本調子のように思えた。 【よっふぃ~】さん 7点(2004-04-08 17:46:29) (良:1票) |
2.タップしつこいね! 【k】さん 7点(2004-01-28 19:33:02) (笑:1票) |
1.人がバッタバッタ斬られ、血がドバドバ飛びます。やりたい放題。コミカルなシーンもありますが、かなり残酷な映画。食事時に観る映画ではないかも・・。 おしの・おきぬ姉妹の過去の話など、ちょっと中だるみする所もあった気がするのですが、悪をバッサリやって、最後は格好いいタップダンスでキッチリしめているので、後味は良いです。 賭博場で、座頭市がもめごとを起こすシーンは、さすがに「そんな殺生な!」(笑)と思いました。この映画、劇中で何人死んでいるだろう・・。 ビートたけしと浅野忠信が格好いい。浜辺での2人の決闘シーンもいい感じ。「黒幕」も単純ながら、最後まで分からなかったので、おぉ、と思いました。 ヤクザの親分を演じた岸部一徳が本当に悪そうでハマリ役でした。 【ムレネコ】さん 7点(2003-11-22 01:44:16) (良:1票) |