6.《ネタバレ》 カウリスマキ作品の登場人物って、ただ「何だかツイてない人」としてそこに存在していて、この映画で描かれるまでの前半生、ってものを感じさせないですね。改めて語るまでもなく、きっと今までもこんな感じの人生だったんだろう、と。「以下同文」的な人生。 この作品の主人公も、まーロクな目にあわない、ツイてない。たぶん、ツイてないことに、自分でも気が付いていないんでしょう。 クルマを出した途端にガレージが崩壊して危機一髪、なんてのは、これはツイてたと言ってよいのかどうか。普通ならそもそも、こんな危機一髪に出喰わすこともまず無いのだけど。 女性と知り合っていい関係になってみたら、実は子持ちだった、というのは、これはどうですかね? ツイてる・ツイてない、一概には言えませんけれど、とにかく色々なことが起こるのです。70分余りという短い作品とは思えぬ盛り沢山の濃さ。 で、刑務所で知り合った男とともに脱獄して、一緒に銀行強盗やっちまって・・・という展開。ギャング映画か、はたまたヤクザ映画か。皮肉のきいたユーモアが作品にまぶされているとは言え、一応はこれ、深刻なお話なのでした。 強盗で金をかっぱらって車に飛び乗ろうとすると、案の定、お金の一部を落としてしまう。脚本通りなのか、本当にミスって落としたのか、そんなことはもうどうでも良くって、この人たちならきっとお金を落とすだろう、と妙に納得してしまう。で、そんなに慌てているにも関わらず、クルマはすぐにエンジンがかからない。やっぱりなあ、と。 なんとか国外逃亡の船に乗り込もうか、というところで映画は終わり、一応はハッピーエンド風だけど、もちろんこの先に幸せが待ち受けていると期待できるほど、現実は甘くない。甘くないけど、でもまあ、希望を胸に新たな親子三人が揃って、、、ということで、少し暖かい気持ちに。 ところで、例によってと言うか、他の作品でも引用されているチャイコフスキーの悲愴交響曲(『愛しのタチアナ』とか『浮き雲』とか)がここでも引用されていますが、それ以外に、ショスタコーヴィチも引用されていて(偽造パスポートを受け取ろうとする場面)、これがまさかの交響曲第9番(第2楽章ですね)。どういう発想なんだか。。。 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 8点(2025-04-30 16:50:47) ★《新規》★ |
5.《ネタバレ》 アキ・カウリスマキ作品をかなり久しぶりに見たけど、やっぱり最高だった〜! フィンランドの寂しくて寒々しい風景がたまらなく魅力的。
長ったらしいカットが無く、ポンポンとスピーディーに場面が転換していくのも良い。 勿体ぶらず、惜しげもなく次の展開を見せていく。
ハードボイルドな世界観とフィンランドの寒々しい風景とが見事にマッチした逸品。 アキ・カウリスマキにしか撮れない、唯一無二の魅力いっぱいの作品だ。 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 8点(2023-12-28 20:56:21) |
4.《ネタバレ》 非常に独特な雰囲気の映画ですね。何というか、昔の日本映画風な感じがしました。すごく作りがシンプルで時間も70分ちょっとと短めなんですが、内容はロードムービー、家族物、ラブストーリー、ハードボイルド、犯罪・刑務所ドラマ、社会派ドラマ(日雇労働・炭鉱閉山等)等々様々な要素が詰まっていて非常に充実しています。 マッティ・ペロンパーがいい味出していましたね。 【TM】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-08-25 23:15:45) |
3.ラストは意外にあっさりでしたが、全体的にはとても面白く、クールな主人公には感情移入してしまいました。子供もグッド! |
2.《ネタバレ》 貧乏や不幸が好きなんでしょうね。この監督。でもそれが不幸せに見えないんですよ。何ででしょう。あまりにもご都合主義なんだからでしょうか。この監督の作品を観ると、身の回りの不要なものを捨てたくなります。デカダン的な生活をしたくなるのです。でも日本じゃしにくいですよね。周りの眼が……。メキシコへの船へと向かうシーンで終わりますが、本当は監督さん、この先も考えてたようですね。でもあそこで閉めたほうがよかったとおもいます。明るい望みが射す陰気な雰囲気に満ちた映画です! (ビデオ) 【komati】さん 8点(2004-03-12 00:07:10) (良:1票) |
1.マッティ・ペロンパーが面白いです。登場場面からいきなりぶっ飛んでいます。カウリスマキ作品の中では印象薄めな感じを抱いたんですが、ペロンパーが面白いので良しとしましょう。 【藤堂直己】さん 8点(2004-01-25 16:58:54) |