《改行表示》 14.《ネタバレ》 カウリスマキ作品の登場人物って、ただ「何だかツイてない人」としてそこに存在していて、この映画で描かれるまでの前半生、ってものを感じさせないですね。改めて語るまでもなく、きっと今までもこんな感じの人生だったんだろう、と。「以下同文」的な人生。 この作品の主人公も、まーロクな目にあわない、ツイてない。たぶん、ツイてないことに、自分でも気が付いていないんでしょう。 クルマを出した途端にガレージが崩壊して危機一髪、なんてのは、これはツイてたと言ってよいのかどうか。普通ならそもそも、こんな危機一髪に出喰わすこともまず無いのだけど。 女性と知り合っていい関係になってみたら、実は子持ちだった、というのは、これはどうですかね? ツイてる・ツイてない、一概には言えませんけれど、とにかく色々なことが起こるのです。70分余りという短い作品とは思えぬ盛り沢山の濃さ。 で、刑務所で知り合った男とともに脱獄して、一緒に銀行強盗やっちまって・・・という展開。ギャング映画か、はたまたヤクザ映画か。皮肉のきいたユーモアが作品にまぶされているとは言え、一応はこれ、深刻なお話なのでした。 強盗で金をかっぱらって車に飛び乗ろうとすると、案の定、お金の一部を落としてしまう。脚本通りなのか、本当にミスって落としたのか、そんなことはもうどうでも良くって、この人たちならきっとお金を落とすだろう、と妙に納得してしまう。で、そんなに慌てているにも関わらず、クルマはすぐにエンジンがかからない。やっぱりなあ、と。 なんとか国外逃亡の船に乗り込もうか、というところで映画は終わり、一応はハッピーエンド風だけど、もちろんこの先に幸せが待ち受けていると期待できるほど、現実は甘くない。甘くないけど、でもまあ、希望を胸に新たな親子三人が揃って、、、ということで、少し暖かい気持ちに。 ところで、例によってと言うか、他の作品でも引用されているチャイコフスキーの悲愴交響曲(『愛しのタチアナ』とか『浮き雲』とか)がここでも引用されていますが、それ以外に、ショスタコーヴィチも引用されていて(偽造パスポートを受け取ろうとする場面)、これがまさかの交響曲第9番(第2楽章ですね)。どういう発想なんだか。。。 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 8点(2025-04-30 16:50:47) ★《新規》★ |
《改行表示》 13.監督らしい、堕ちて行く男が淡々と描かれた作品。 他作に比べて彼がイマイチ魅力薄で物足りない。 味わいあるマッティ・ペロンパーとなかなかに趣ある邦題に3点ずつ。 |
《改行表示》 12.《ネタバレ》 勤め先の炭鉱は閉鎖、父親は自殺するわ出てきた都会で強盗に遭うわ、仕事は見つからないトコロに情状を一切酌量してくれない司法によって牢屋にぶち込まれるわ。 こう書き出すと目も当てられないほどに悲惨な主人公の境遇なのに、なぜこんなにユルくて悲壮感ゼロなのでしょう。 不運は呼んでもないのに来る。けれど幸運も「ちょっと気が向いたので」的にやってくるんですなカウリスマキワールドは。 “こんなことがありました”と、ぼそっとエピソードを差しはさんですぐ画面が切り替わる独特のリズム。会話より行間を汲んでコミュニケートする寡黙な人物たち。全部がザ・カウリスマキと呼びたくなる唯一無二の空間。 なんもかもパッとしないのよ。のっけから譲り受けたコンバーチブルの幌は北欧の冬だっていうのに閉じない(!)し。子持ちの彼女と3人でドライブしに出かけた先の海辺も岩場ばっかりの岸に波が愛想無く打ちつけるような映えないロケーション。音楽も絶妙にダサい。 だけどもね。収監された先で出会う妙な先輩マッティ・ペロンパーはもちろんのこと、外でも本を手放さない連れ子の男の子も愛さずにいられない。 人生の上手く行かなさも野暮ったさも何もかもが近しく親密に感じられる、好きすぎる一本。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2024-07-18 18:44:46) |
《改行表示》 11.《ネタバレ》 アキ・カウリスマキ作品をかなり久しぶりに見たけど、やっぱり最高だった〜! フィンランドの寂しくて寒々しい風景がたまらなく魅力的。 長ったらしいカットが無く、ポンポンとスピーディーに場面が転換していくのも良い。 勿体ぶらず、惜しげもなく次の展開を見せていく。 ハードボイルドな世界観とフィンランドの寒々しい風景とが見事にマッチした逸品。 アキ・カウリスマキにしか撮れない、唯一無二の魅力いっぱいの作品だ。 【にじばぶ】さん [インターネット(字幕)] 8点(2023-12-28 20:54:57) |
10.淡白な演出で、どんどん話が進んでいく。あっという間に数年進んで終わってしまった。素晴らしい。 【センブリーヌ】さん [インターネット(字幕)] 6点(2023-11-24 18:23:54) |
9.《ネタバレ》 アキカウリスマキの現代おとぎ話。内容は結構、現実的でドンドン容赦なく、社会的に抹殺される方に主人公は流れていくのだが、本人はきょとんとしていて、何も落ち込むことなく、淡々と時間は流れていく。それは彼を愛する人たちが見守っているから。愛があるから。カウリスマキはそれで十分じゃない、と言っているようだ。 【トント】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2013-03-15 10:24:02) |
《改行表示》 8.《ネタバレ》 非常に独特な雰囲気の映画ですね。何というか、昔の日本映画風な感じがしました。すごく作りがシンプルで時間も70分ちょっとと短めなんですが、内容はロードムービー、家族物、ラブストーリー、ハードボイルド、犯罪・刑務所ドラマ、社会派ドラマ(日雇労働・炭鉱閉山等)等々様々な要素が詰まっていて非常に充実しています。 マッティ・ペロンパーがいい味出していましたね。 【TM】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-08-25 23:15:45) |
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7.たんたんと進みながらも、主人公の運命は劇的に進んでいく。短い映画ながらも後味で十分カバーされる。 |
6.ラストは意外にあっさりでしたが、全体的にはとても面白く、クールな主人公には感情移入してしまいました。子供もグッド! |
5.不幸のわらしべ長者とでも言いたくなるほどこの男ドンドン堕ちていきます。落ちた先の刑務所の方が衣食住に仕事の心配もなく幸せなのではないだろうか。でも彼はまだまだ堕ちてゆきます。そんな先にやっと虹がかかるのだが虹の先には未来があるのだろうか。 【亜流派 十五郎】さん 6点(2004-05-26 19:27:25) |
4.《ネタバレ》 貧乏や不幸が好きなんでしょうね。この監督。でもそれが不幸せに見えないんですよ。何ででしょう。あまりにもご都合主義なんだからでしょうか。この監督の作品を観ると、身の回りの不要なものを捨てたくなります。デカダン的な生活をしたくなるのです。でも日本じゃしにくいですよね。周りの眼が……。メキシコへの船へと向かうシーンで終わりますが、本当は監督さん、この先も考えてたようですね。でもあそこで閉めたほうがよかったとおもいます。明るい望みが射す陰気な雰囲気に満ちた映画です! (ビデオ) 【komati】さん 8点(2004-03-12 00:07:10) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 初めはメロドラマか?と思わせておいて、後半になったら犯罪ドラマに転向。ここで登場するマッティ・ペロンパーが良い味出してます、やっぱりこの人はカウリスマキ映画の名俳優。原題の「Ariel」って一体何なんだろう?と思っていると、これが最後に登場する逃亡用の船の名前なんですね。その名もアリエル号。エンドロールを締めくくる「虹の彼方へ」の曲がこれまた素晴らしいです。「真夜中の虹」とはよく考えた邦題だこと、イイ・・・。 【かんたーた】さん 9点(2004-02-29 21:02:37) |
2.マッティ・ペロンパーが面白いです。登場場面からいきなりぶっ飛んでいます。カウリスマキ作品の中では印象薄めな感じを抱いたんですが、ペロンパーが面白いので良しとしましょう。 【藤堂直己】さん 8点(2004-01-25 16:58:54) |
1.うぅ、ふっ、不幸だ…。それでも彼女には愛され、息子はそんな親でも文句もいわずついてゆく…。う~ん、恐るべし、フィンランド魂(うそ、きっと違う)。やっぱりメキシコに行くの? 私はフィンランドに行きたい。 【Bridget】さん 9点(2003-10-22 23:35:16) |