4.《ネタバレ》 ペストの時代から疫病というのは半分社会問題であった。D・サザーランドが「言ってみれば、この人々は名誉の戦死なのだ」という論理。彼が常に口にする「センチメンタル」という批評、ここらへんに一番の怖さがあった。日本にもよく「センチメンタル」で切り捨てる知事がいるでしょ。多数と少数の問題。多数の側に立てば、あらゆる人道的発想はセンチメンタルとして扱われるだろう。小さな町が軍に封鎖されてからが本筋。なあに脅しだけさ、と逃げた車が容赦なく爆破される。不意に少数の側に区分けされてしまった市民、こっちの側に立てば「センチメンタル」などと言ってられないのだ。そうは言っても多数の側に立てば、やっぱり安全を考えちゃうだろうし。そこらへんの問題。多数はこういった少数の集積であるって考えが大事なんだろうね。アメリカ映画でいいのは、主人公が組織の問題児ってところ。勇気ってことも絡んでくる。それと責任ってことか、責任から逃げない。そういう本筋の健全さが偉い。D・ホフマンをつかまえにきた軍に、レネ・ルッソが「背の高い男よ」と教えるところは、もっと笑っていいんじゃないか。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 8点(2010-04-19 12:00:10) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 うちには開けてはならない「禁断のDVDボックス」がある。超駄作とか二度と見たくない作品とかが入ってるんだけど、仕事の空きができてしまった&ゴールデンウィークで外出する気がないので、今日の夕方、パンドラ宜しくついつい開けてしまった。「『アウトブレイク』? 確かエボラ熱の話だったのが、後半いきなり空中戦になるトンデモ駄作だったよなあ…」そんな認識でプレーヤーに突っ込んで見る。40分後、まざまざと蘇る記憶に「ああっ! そういやこれイキヂゴク映画なんだった~ッ!」と大後悔中の自分がいたのでした。ショック映像を極限まで抑えてあるから、なおさら怖い。無骨なペーターゼンが監督したのは、今までは大失敗と思っていたんだけど案外正しい選択だったのかもしれない。以前は「冴えない演技だなー」と軽く見ていたダスティン・ホフマンも、意図的な役作りでああなったのを理解した。伝染病による人の死を星の数ほど見てきて、感覚的に突き抜けてしまった現場肌の頑固な医師。麻痺した感性を補うために、彼は生命倫理と使命感だけで駆動し続けている。プライベートなんて壊れてしまって久しく、愛する家族はペットの犬だけ。最大の武器は自分の死への恐怖をなくしている事だ。そんな人物像を主人公に配し、様々な彩りを持ったキャラクターが巻き込まれ、彼の生き方と対比されて行く…。いいじゃないですか。すっごく! 後半、ヘリで街を出てから、いきなりアドリブ出まくりのシチュエーション・コメディになっちゃうのを除けばね…いやー本当に、キューバ・グッディング・ジュニアとダスティン・ホフマンのかけあい、漫才としては面白いんだよなあ。というワケで、トータルでは何をやりたいのか方向不明な本作ですが、名優たちの演技の深みと素晴らしさ、それが産むドラマを堪能する事はできました。今は「駄作」ではなく「怪作」と呼ぶのが正しいと思えます。●大統領補佐官が閣僚に爆撃の決断を迫るシーンの演説、怒涛の迫力で記憶に残ってたんですが、悪役専門のJ・T・ウォルシュだったとは…なんだこういうキャラでも名演できるんじゃん! 【エスねこ】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-05-04 20:15:16) (笑:1票) |
2.アタシ、この映画見たことあったわ…。 しかも映画館で。 はじめてだと思ってワクワクしながら見たアタシって…ボケてんのかしら?? アタシはモターバ熱より痴呆症に要注意ね。 と冗談はこれくらいにして…公開当時アフリカでエボラ出血熱の感染が拡大してたせいもあって、妙な緊張感を持って見た覚えがあるわ。 しかもやけにタイムリーだったんで余計に怖かったのよね。 映画としての出来は…アタシはいいと思うわ。 最後までハラハラドキドキしたし、キャストも豪華だし。 後半にかけて、いかにもアメリカンなヒーローものに成り下がったのが気に入らないって人も多いみたいだけど、アタシはそんなに気にならなかったわ。 きっとダスティン・ホフマンがヒーローには程遠い顔立ちなせいね(褒め言葉よ)。 それにしても…ウイルスって本当に怖いわね。 最近はSARSとかあったから、アタシたち一般人にとっても身近な問題になりつつあるし。 でもやっぱり一番怖いのは、そのウイルスを細菌兵器にしようとして、モターバウイルスの原型に有効な血清が出来ていたにもかかわらずその存在を隠して、挙句の果てに爆弾で市民を皆殺しにしようとした軍隊(=人間)よね。 地球上のあらゆる生き物の中で人間が最も危険で有害だってのは…ちょっとへこむわ。 【梅桃】さん [地上波(字幕)] 8点(2004-11-06 17:34:45) (良:1票) |
1.超豪華キャストのバイオ・サスペンス・ドラマ。とにかくテンポがよくて、衝撃のオープニングから手に汗握るラストまで、引き込まれっぱなしになる。実際にあってもおかしくはないテーマを描いているので、本能的にリアリティや恐怖を感じ、程よいアクションやサスペンスの要素もストーリーに色をもたせており、鑑賞後の充実感も十分である。目には見えない敵を映画にすることは非常に難しいと思われるのだが、それを見事にやってのけた、お手本のような作品。 【はたらきばち】さん 8点(2004-01-28 23:52:36) (良:1票) |