12.はっきし言って、「俺ってちょっと変わってるから~」とかホザいてるヤツは好きじゃない。お前な、平凡じゃない自分をそんなにアピールしたいのかと。「特別でありたい」と思うことそれ自体がすでに平凡なんだよ。それに気付けよ。本当に特別な人間はそんなことわざわざ言わなくても、すでに特別なんです。だって「特別」なんだもん。でもそんな人はそうそう滅多にいるもんじゃない。みんな普通で平凡なんだ。かくいう俺も平凡な人間。特別な存在になりたいと常に願い続けてる平凡な人間。その平凡さからほんの少しでも脱却したいから、敢えて「自分は平凡」だと認める俺。平凡な自分を悟り、それをもってして特別たろうとする俺は、結局のところやっぱり平凡な人間なんです。そうやって平凡な自分を悟り、それをもってして特別たろうとする俺は、やっぱりやっぱり平凡なんです。どこまでいっても所詮庶民は庶民。そんな自分の殻を脱いで自由になりたくて、他人に認められたくて、幸せになりたい。でもやっぱり俺にはダメなんです。そんなことを考えている俺にとって、この映画はどこまでも深く傷をえぐってきやがる。その上で、ラストでは我々庶民に一筋の光を示してくれたようにも思える。ケビン・スペイシーのあの恍惚の表情を思い出しながら、俺は今日も願い続ける。特別でありたい。特別でありたい。特別でありたい。皆さんは、どうですか? 【コバ香具師】さん 8点(2004-10-25 13:42:34) (良:5票)(笑:2票) |
11.《ネタバレ》 登場してくる人達に感情移入できるか、そこでこの映画の評価が分かれてくると思う。登場人物は、周りには滅多にいない変人達ばかりに見えるが、実際はそうではない。自分を偽り、表面だけハッピーに見せかけて成功を勝ち取ったかのように振舞う。あるいは、世間では変だと思われること(例えばゲイであること)を公にはしない。自分も含めて、そういった部分を持っている人は決して少数派ではないはずだ。奥さんに隣人、友人に不動産屋…彼らは本当のところでハッピーではない。単なる犠牲者に過ぎない。本当のハッピーを持っている人との表情の差は明らか。ゲイを公にしている男はとてもいい笑顔だ。全てを告白した後のアンジェラは、本当に綺麗に見えた。そして、最期を迎えたレスターは儚くも美しい表情をしている。出演者の好演もこの映画を素晴らしくしている。今作は下品な部分も確かにあるが、ストーリーから逸れた下品さではなく、きちんとしたバックグラウンドのある描写ばかりだ。今作の下品さばかり目に付いてしまう方は、もしかしたら偽りの登場人物たちのように、上品さや綺麗なモノを重視する偽りの仮面を付けているのかもしれない… 【グングニル】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-06-01 18:43:03) (良:4票) |
10.《ネタバレ》 これのどこがコメディーなのか。私はひとつも笑えなかった。これはアメリカの話じゃなく、わたしの、おそらくあなたの話でもある。どこの家も(おそらく)抱えているであろう見栄や虚勢や世間体をこうもリアルに描かれるとは。隠してなんぼの生活をしてるのにまるでかさぶたをはがされるような嫌悪感。ざわざわするような悪寒といやな汗。私は重症か。大佐の奥さんが息子のガールフレンドに「散らかっていて・・」とありがちな言葉を口走ったあとに映される塵ひとつない室内 このシーン ホラーかと思った。もうアメリカには大草原の小さな家は存在しないのか。 【tottoko】さん [地上波(字幕)] 8点(2011-08-04 00:08:21) (良:2票) |
9.《ネタバレ》 吹き替えで観ました。題名どおり、美しく、そして幸福な話である。しかし、その美と幸福は薔薇の花弁に象徴されるような凡庸なものとして表れている。レスター・バーナムが自らレポートに書いたように彼の日常は「地獄に限りなく近い」ものだったのであり、そこに美や幸福は存在しなかった。というよりも彼は日常の中にある美や幸福-寒い日に落ち葉とともに風に舞うビニール袋に象徴されるような-を感得する力を失っていたのである。したがって、彼がアンジェラに魅かれることで取り戻すのはそのような微細なものを見分ける力である。それは観察力というより生命力であろう。ラストで、彼は自分を挑発し続けてきたあばずれの少女が、実は精一杯背伸びをした、虚飾にまみれた普通の少女であったことを知る。レスターは彼女の中に美を見い出す。美は彼方にではなく、この腕の中、この目の前に、いじましい嘘とともにあったのである。彼は驚き、彼女から手を離して、ひとりで幸福にひたるのである。そして頭を打ちぬかれて死に、天に昇りながら美はいたるところにあるのだと説き明かす。設定から人物配置まで実によくできている。素晴らしい映画だと思う。 【h.】さん 8点(2004-03-16 16:04:28) (良:2票) |
《改行表示》 8.《ネタバレ》 ごく平凡に見えるアメリカ中流階級の人々が徐々に虚飾を剥がされ、崩壊していく様。 言ってしまえば目新しいテーマではありませんが、それを真正面から、特定の時代のせいにすることもなく、しかも軽快なテンポで描いてみせた傑作だと思います。 死んだような思いで毎日を送っていた主人公が娘の友人に恋し(恋したと錯覚し)、殆ど自暴自棄で意気揚々と仕事を辞め、冷えた人間関係を痛烈に罵倒する。 束の間、彼は(やがて訪れるであろう)破滅と引き替えに、生まれ変わったように見えますが、結局「甘美な破滅」なんてものはやってきません。 暴走する手を止め、我に帰り、隣人をなだめ、幸せだった家族の写真に見入った直後に死が訪れる。 ドラマチックさも甘美さもない、幾つかのくだらない虚飾と誤解が絡み合っただけの呆気なく虚しい最期。 それだけに、主人公が抱いていたささやかな希望、愛情と夢がヒシヒシと胸に迫ります。 冒頭とラストに死後の主人公のナレーションが入る構成。ビデオカメラ越しに世界を見る青年の視点。 常に客観的で醒めた視点が逆に哀しく、印象的でした。 【i-loop】さん [DVD(字幕)] 8点(2012-04-14 01:52:51) (良:1票) |
7.幸せな中流家庭の崩壊。。ならばジャパニーズ・ビューティーが真珠夫人 【くまさん】さん [DVD(字幕なし「原語」)] 8点(2010-10-09 09:28:41) (笑:1票) |
|
《改行表示》 6.《ネタバレ》 【男】本来の自分を見失い、強い脱力感。中年の性に目覚め、昔の青春を取り戻したいと願う。筋トレとジョギングで鍛え、いやな仕事を辞めバイト生活。妄想と麻薬でハイ。あこがれていた車と無線カーを購入。家族に本音を話す。心の解放に成功したがその報酬は高くついた。娘と妻から憎まれ、挙句に死。 【妻】娘時代貧乏だったので、人一倍物質的豊かさにあこがれる。心の潤いをなくしセックスレス。常に成功のイメージを持つ。浮気を経験。家庭を壊す夫を殺そうとする。 【娘】会話のない家庭に嫌気。両親を憎む。自分を変えたいと思っている。思春期の情緒不安定、混乱。豊胸手術のお金を貯めている。自分を変えてくれる誰かを欲している。 【娘の恋人】ジャンキーでヤクの売人。ビデオマニア。死に美を感じる。死は神に近づく瞬間だから。父には従順。家を出る決意をする。娘の孤独さに魅かれる。 【大佐】DV親爺。ナチ崇拝者。ゲイを嫌うが、それは自分の中にゲイの素質があるのを抑圧しているため。息子をしごき育てようとする。 【大佐の妻】夫に従順なだけの生活で、生きる屍。 【娘の友】平凡が大嫌い。特別な自分でありたい。モデルを目指す。遊び人を気取っていた少女が実は処女だった。あるいは処女のふりをした。 【感想】死者が語る物語。死後は美のあふれた世界などと死の礼讃ともとれる。ゲイ、不倫、銃、麻薬、酒、暴力、セックスなどの混沌とした世の中、死だけが荘厳で美しく見えるのかもしれない。高度に発達した文明社会への批判。誰が主人公の男を殺すかというサスペンス仕立てにもなっている。冒頭の「父を殺して」と語る娘のビデオがミスリード。DV親爺による勘違い殺人のオチは納得いかない。播いた種は刈らねばならない方式でないと深みがない。アメリカン・ビューティは虚飾の象徴で、妻が庭に植え、食卓に飾ってあるもの。風に舞うビニール袋は自由な魂の象徴。人は失って初めて自分の持っていたものの価値に気づく。男は自分を「既に生きてない」「人生の敗残者」と思っていたが、自分の家庭、自分の人生は幸福なものであったと悟る。妻は夫を失って号泣。娘の友は処女を失いそうになり、初めて等身大の自分に戻る。娘はヤク中の男と家を去るだろうが、一緒になっても幸福にはなれない。大佐は刑務所行き。計算された映像や脚本はよく出来ていると思いますが、病的な部分が多いので好きになれません。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-06-09 23:31:28) (良:1票) |
《改行表示》 5.《ネタバレ》 タイトルは作中に出てくるバラの品種の名前であり、そして文字通り“アメリカの美点”という両方の意味を備えている。物質的豊かさが顕著になった現代において精神面における不足という新たな問題が生じ、その諸問題に隷属してる主人公がその束縛から解き放たれていく様を見事に描いた秀作である。 追い求めていたものが実は純粋な美しい存在であり、美が実在すると実感するあのシーンは見事な演出だ。 自分の本能のままにありのままに表現していくことの難しさを、現代人の悩める精神的構造をここまで顕著に描いた作品はそうはないだろう。性欲の無限の可能性も感じ取ることができ非常に堪能できた。 アカデミー賞についてはアカデミー賞というものが単に作品の良し悪しで決められてるものではないということ、実に閉鎖的な投票制を用いている事、ユダヤ系の方が多くの投票権を有している事、以上を考えれば、不自然なほど白人を用いアメリカの夢の終焉、否、白人のアメリカの夢の終焉を描いた反白人主義に近い構造をとった本作は納得の受賞、、なのかもしれない。 【きいろのくじら】さん [DVD(字幕)] 8点(2007-11-03 23:29:09) (良:1票) |
4.ちょっと真剣に考えてみよう。マスターベーションと本当のセックス、一体どちらがより幸福だろうか?自己の内面世界を完全に満足させる可能性があるのは前者かも知れない、しかし他者と共有した経験というのは、それだけでかなり美しいことなのだ。レスターの死に顔、キャサリンの喪失感はその事実に改めて気付いたことの証のような気がする。 【トマシーノ】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-04-10 14:34:30) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 ケビンスペイシー扮する主人公が娘の友人でマスをかくってのに嫌悪感を抱く方が多いだろうが、何のことはない、誰だって、恋人や妻が居ても、環境を変えたい衝動がある。 それを極端に書いているだけで、だからわかりやすく、笑えるところもあるし、飽きさせない。 実際、 娘の友人に恋というのも、ただのきっかけだろう。それと解雇の問題などが重なって、もう限界!たががはずれてしまったと。それを証拠に、友人のアバズレ気取りがラスト近くまで、それほど話の中心に絡んでこない。やはり、親子三人、家庭の話であると思う。 個人主義と家庭生活は相反する。社会的人間と自由奔放に生きることは両立できない。だから、会社はもちろん、家庭という社会の単位で建前ばかりで生きている。そのぎくしゃくした関係を、少年のカメラは隣家の窓から第三者の目で克明に映し出す。 (彼女だけを取っていたわけではなく、それがあとで災いになるのだが) 母が父親をたてずまとまりのない家庭と、父親が支配する形だけの家庭。 どちらの夫婦も、子供への希望で何とか存続 しているが、子供は家庭を愛してはいない。 子供を作ることが出来ないゲイカップルが一番幸せ、というのは皮肉な話だ。 このスペイシーの家で起こったトラブルに、結末を用意するのはその家庭の人間ではない。 でもこれは救い?逃げ?どっちだろうね。 それにしても、家庭や会社ですらコントロールできないのに、戦争になると一致団結の度合いが強いアメリカ人は不思議だ。いや、逆か。だからこそ、外に国民共通の敵・目標を作らないと存続し得ないという事か。 【笹】さん 8点(2003-12-05 15:21:01) (良:1票) |
2. 期待せんと見たけどおもしろかった。親と観たんは気まずかった。 【相対性理論2】さん 8点(2002-08-16 09:48:55) (笑:1票) |
1.見終わった後、ガーンとくる映画でした。俳優たちが良かったです。 【roku】さん 8点(2000-05-15 00:01:49) (良:1票) |