4.オモチャ箱をひっくり返したような世界、大人のメルヘンとでいいましょうか、でもアイロニーたっぷりで、ただスィートなだけでなく、かなりビターな笑いが含まれています。超一流のお遊びです、ブロカ監督のさじ加減に惚れます。物語の舞台となる村には、君主と貴族、紳士と淑女、さらに聖人もいれば、娼婦もいる…“彼ら”の饗宴の輪の中へと入る夢を、僕は何度、見たことでしょう。その幻想的な光景といったら!きらびやかな宴と、愚かな殺し合い。グロテスクが美と紙一重であることを、あらためて知りました、もうトラウマになりそう。この映画の主人公ならずとも、「また“彼ら”に会いに行きたい…」と、そんな気分にさせられる、不思議な魅力にあふれているのです。 【BUNYA】さん 10点(2003-11-13 05:53:22) (良:3票) |
3.このシュールで皮肉な設定からすればとてつもなく面白くなるはずと期待するのですが、一つ一つの展開がいちいちテンポが悪く、作品のテンションも沈んでしまいました。こういうのは、真剣に戦争を遂行しようとする軍事関係者と、これまた真剣に人生を生きている精神病者の感覚のギャップが面白みを醸し出すはずなのに、どちらも同じトーンで描かれてしまっているので、ポイントがはっきりしないのです。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2009-06-29 01:28:46) (良:2票) |
2.戦争映画としてはすごい斬新。サーカス団の一員のようなジュヌヴィエーヴ・ビジョルドと、王様にまつりあげられて慌てふためくアラン・べイツがキュート☆ファンタジックな世界が描かれているのに、“狂っているのは夢の世界に住むキチガイではなく、戦争をする現実世界の住人では!?”というメッセージが強烈に伝わってくる作品です。 【RITA】さん 8点(2004-05-23 21:44:30) (良:2票) |
1.檻から逃げ出した動物、自転車に乗ったサル、着飾った人々。これらの断片から、街はサーカスを模したものであることがわかります。精神病患者は道化師であり、祝祭への水先案内人と言えましょう。ところで日本大百科全書の「道化」の項目には、祝祭は日常を暗転させた「さかさまの世界」の現出を意図する、という意味のことが書かれています。この言葉が、本作を端的に表現してはいないでしょうか。本作を観賞するとき、我々は擬似的なサーカス、祭典の空間に遊んでいるのです。だからこそ患者たちは、祭典が長く続かないことを自覚しているし、彼らが帰っていくところを見守る我々も、寂しさを禁じ得ないのです。物語のラストにおいて、価値観は再びもとに戻ります。主人公の取った行動はなるほど滑稽でしょう。しかし我々は誰も、腹の底から彼を笑えないに違いない。まぼろしの日々が教えてくれたからです――「戦争をする奴らこそ狂人ではないか」。素晴らしい作品です。ぜひ多くの人に『まぼろしの市街戦』を体験してほしいと思います。 【041209】日本大百科全書からの引用転載を修正しました。 【円盤人】さん 10点(2004-10-06 20:21:03) (良:1票) |