4.《ネタバレ》 千石規子さん超当たり役です。ダラけたようなナメたような喋り方が味わい深い。三船敏郎さんはクライマックスの怒涛の長廻しのモノローグが感動的。あの場面の撮影のときは黒澤監督もカメラマンももらい泣きして涙を流しながら撮影したのだそうです。そんなエピソードも頷ける感動的な場面でした。 【藤堂直己】さん [DVD(字幕)] 10点(2006-02-12 03:20:22) (良:1票)(笑:1票) |
3.《ネタバレ》 いかに最近のドラマや映画、小説、アニメが、売上げだの視聴率だのに振り回されて視聴者や読者に媚びているかがわかる。こんなにも力強く、ストイックでヒューマニズムを貫いた作品は久しぶりだ。自己犠牲が偽善的でダサいという風潮がいつから定着してしまったのか。確かに藤崎が婚約者に一切事情を話さないのは彼女にとってはやりきれないだろうが、寡黙で不器用な性格だからこそ人間臭くて、見る者をじれさせるのだ。明日結婚するという恋人を、よくぞ手をつけずに帰したと思う。看護婦の峰岸に肉薄して感情をぶちまけたとき、その怒りや悲しみが見事に彼女に「伝染」したシーンは鳥肌が立った。感情という目に見えないエネルギーが相手(峰岸)に乗り移るさまは、三船の気迫あってこそだ。また昨今の軽いドラマにあるように、秘密を知った者が軽々しく他へ漏らさないことも、抑えが効いていてすばらしい。黒沢作品は、いたる所で舞台劇さながらの生の迫力を感じるシーンがある。視聴年齢を重ねるたびに、作品の深さがわかるようになってきた。 【tony】さん [DVD(邦画)] 10点(2012-04-05 00:38:54) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 軍医が戦地で染された梅毒菌と「静かに闘う」というお話でした。それを婚約者にも明かせず医師を続ける三船の高潔がテーマのようです。静かに闘う相手はスピロヘータ菌であると同時に自らの性欲でもある。悶々です。でも、婚約者の人生を思うが故に明かせないという理屈はあまりに相手をバカにしてますね。情報を開示したうえで婚約者にも選択権を与えないと、彼女の人生にしこりが残ります。さすがに半世紀以上前の作品で、そのあたりの思考経路に隔たりを覚えます。ちょっと調べましたが、スピロヘータ菌は初期に処置しないと現代でも治りにくいみたいです。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2010-10-31 03:28:03) (良:1票) |
1.黒澤の中でわたしのベスト。そもそもわたしはクロサワの時代劇よりも現代劇のほうが断然、好き。話は単純だし、思いっきり勧善懲悪的なんだけど、そんなことはどうでもいい。この強引さこそ、クロサワの魅力。そして「皮膚感覚」にうったえてくる表現力の圧倒的強さ。『野良犬』の蒸し暑さも、この最初のシーンの野戦病院の砂ボコリと息苦しさも、皮膚をとおして感覚に迫ってくる。それから、クロサワ映画では、物語を強引に形づくる登場人物の顔立ちや輪郭がすごく強いです。三船敏郎の顔も、志村喬の顔も、まるで鉛筆でくっきり描いたみたいに線が強い。関係ないけど、『生きる』のときの志村喬の顔なんて、ほとんど手塚治虫のマンガみたいだったし(~~;; 。 【まいか】さん 9点(2004-03-19 14:50:32) (良:1票) |