4.感情のシーソーゲーム。どちらも相手に対して完全には優位に立てない。男は招待パーティから逃げてしまい、友だちとしてやっていく可能性を封じてしまう。夫の留守に逢引するのは乗ずるようでいやと言っていた女も、その禁を破ってしまう。ひとつひとつ障害となるべき葛藤を破りつつ越えて、破局へ歩んでいく、その道行きの味わい。ひそやかな不倫の緊張が、パーティの席で解き放たれるのは、破局でもあるが快感でもあった。偶然の出会いまでは、それぞれどうにかやっていたわけで、別に死んだような人生だったわけじゃないのに、もうダメ、こうなってから振り返ると、もう後戻りは不可能。この情熱の不合理、心の奥に潜んでいるものの不気味さ。こういう破局の快感でしか、解き放たれない魔があるんですなあ。「隣」と言う曖昧な関係の設定がいいんだな。友人のように深くは立ち入らないが、微妙に付き合っていかねばならない。赤の他人より、他人を意識する関係。そこに最も深く心が関わる人間が据えられてしまったことによる、ひずみ。ヒロインを神経衰弱にしたことは、トリュフォーの好みなんだろうが、ラストを弱めてはいなかったか。 【なんのかんの】さん [映画館(字幕)] 7点(2012-09-23 10:05:21) |
3.破滅に向かって一直線。フランス映画ってこういう展開が多いかなと思う。それはそれでとても美しい。でも、一歩間違えばただのメロメロ。でもいいじゃん。それで。美しければ。もちろん、映画での話ね。現実にこういう展開、単なる迷惑です。 【いのうえ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2007-05-20 23:39:11) |
2.ネタバレ シンプルかつ、インパクトの強い構成。まず決定的な結末があって、そこに向かって全体のエピソードが無駄なく積み上げられているという感じ。そのため、ラストのショックが凄まじい。非常に洗練された、隙のない脚本だと思う。 【no one】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2006-10-26 19:29:55) |
1.ラストのマダムジューヴの台詞がベルナールとマチルドをスバリ言い表しています。空家で体を重ねる二人。何時までも苦しむ恋を続けるのだろうと思った矢先の結末に、側に居て欲しいと切望するときに限って居てもらえない、道ならぬ恋の現実、道ならぬ恋の寂しさを腹に呑み込めない者の行き着く果てを見るようでした。自分はマダムの台詞の逆が幸せなカップル、夫婦、不倫の二人だと思います。 |