12.《ネタバレ》 押入れの整理をしていたら、10年ほど前に録画したビデオテープを見つけたため、あらためて再見してみました。感想は10年前と殆ど変わりませんが、当時、我が家にはインターネットが無く、当サイトに投稿出来なかったので、この機会に明記します。なお、日本未公開になった理由は、私も知らないのですが「ひょっとして…」と思うところはあるので、そのあたりもチラチラっと書いておきます。 イーマについては、他のレビュアーさん達もおっしゃっている通り素晴らしく、ハリーハウゼン氏の愛情がたっぷりと注ぎ込まれているキャラクターだと思います。そして「シンバッド七回目の航海(1958年)のサイクロプスの声は、イーマからの流用だったんだ!。巨大化し、川から濡れた身体で現れるイーマは、タイタンの戦い(1981年)のクラーケンと似ているような…。ひょっとすると、ハリーハウゼン氏は、大好きなイーマを再登場させたくてクラーケンをデザインしたのではないかな」とも思ったりしました。 また、象との格闘も見応えがあると思ったのですが…ただし、当作品が発表された前年・昭和31(1956)年の日本では、某動物園で、象にまつわる事故がありました。そのため、当時、日本での象に対する眼差しが微妙・ナーバスな時期であったかもしれず、そのため当作品も未公開になったのかも…と思ったりもしました。
…と、ここまでは肯定的な意見をお伝えしましたが、実は、私には【引っかかる面】があります。それは当時の社会世相に関連したものであり、脚本上の問題であって、ハリーハウゼン氏のせいではないことを、あらかじめ、お断りしておきます。 【引っかかる面】とは、アメリカのカウボ-イに憧れるペペ少年の描き方です。第二次大戦でアメリカは連合国軍として、日本やイタリアに勝利しました。それだけが要因ではないにしても当作品の公開時、ドルは依然として強く、アメリカの人々にとっては僅かな金額(ドル)でも、イタリアの【リラ】や日本の【円】に換算すると大金になる時代でした。獣医・レオナルド先生にペペがイーマの卵を売るやりとりは【無邪気な子供の小遣い稼ぎ】という程度で気になりませんでしたが…軍人・マッキントッシュ少将とペペとのやりとりからは【敗戦国の少年達は、優れた我が国に憧れを持っている。その少年にご褒美としてのお金を施し、憧れの思いを満たしてあげることは、大変、良いことなのだ】とでもいうようなニュアンスを、私は感じてしまったのです。そして「もし当作品の舞台が日本で、少年が日本人だったら、この場面を見て、当時の日本の観客は、いい気持ちはしなかっただろう」と思うのです。これが未公開になった最大の理由かも…と思ったりしています。ましてや、イタリアの人達は、この場面を見てどう思ったのでしょうか?…もちろん映画の本筋というわけではないし、当時の脚本家や監督にも悪意は無かったでしょうから、私の考え過ぎだとは思いますが…ハリーハウゼン作品に限らず【現代劇】という括りの過去の作品には、こうした当時の世相で引っかかってしまうことが、私にはときどきあります。 その点、その後のシンドバッドシリーズなど【神話・ファンタジー系の作品】は、こうした面を感じなくて済み、時代を越えて愛される普遍性を獲得していると思います。ハリーハウゼン氏が【現代劇】から路線変更してくれて、ありがたく思っています。 さて採点ですが…イーマ自体は素晴らしく10点を献上したいのですが、上述の通り、社会世相絡みで私には看過できないものがあります。同じモノクロ作品の原子怪獣現わる(1953年)に7点をつけたので、それよりも面白いという意味でプラス1点、そして些末的な面に引っかかってしまう自分の小ささを自戒してプラス1点、計9点を献上します。 【せんべい】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2017-08-12 21:42:43) (良:1票) |
11.《ネタバレ》 序盤で子どもが出るので、この子どもが最後までつきまとって煩わしい映画に違いないと思っていたら、金をせしめた後は出なくなったのがドライな印象だった。代わりに外人男女が親密になっていく様子が描かれていたが、事件が終了したとみた途端に2人でどこかに消えてしまったのは無責任で好きになれない連中である。またラストで科学者の博士が意味不明瞭な教訓を述べていたのはわが国の怪獣特撮にも見られる特徴である。 劇中ではアメリカ軍が執拗に金星竜を捕獲しようとしていたが、これは金星の大気中で人類の活動を可能にする秘密を探るためとのことだった。そのために最後は死人まで出てしまったようで、ここは人間の功利的な態度が手痛いしっぺ返しをくらったというように理解したいところである。しかし実際はその前に科学者連中が一定の成果を出してしまっており、結果的には人間(と金星竜)の生命を犠牲にしてでも欲しいものは獲った、という形になっていたのは共感しがたいものがある。 ただシチリアの現地警察があくまで人命保護を優先し、アメリカ軍への協力を拒否して独自に行動していたのは、人類の進歩を一人で先導しているかのような顔の傲慢な大国に対して一定の意地を見せていたといえなくもない。
ドラマ的には以上のような感じだが、撮影技術の面ではさすが侮れないものがある。金星竜の動きが非常に丁寧に作られており、合成も結構上手いと感じられる場面が多い。またゾウの重量で車がつぶれたあたりも実物感がある。そのほか構図の取り方も格好よく見えたりして、映像面では文句をつける気にならない出来だったとはいえる(が、ロケットを絵でごまかしたのは感心できない)。 【かっぱ堰】さん [DVD(字幕)] 5点(2015-06-01 22:12:13) (良:1票) |
10.《ネタバレ》 なかなか見応えがありましたね~。この作品は、なんといっても金星怪獣イーマの魅力、この一点に尽きますよ。イーマ君がね、本当に命を宿っているかのように見えてくるんです。これはもちろんハリーハウゼンの素晴らしい技術によるところが大きいのですが、イーマ君には、観る者に共感を覚えさせるような、そういう要素があるんですよ。風貌は、爬虫類っぽいいかにも怪獣と言う感じなんだけど、二足歩行でスタスタと歩くし、人と爬虫類のハイブリッドみたいなね、そんな感じなんですよ。そして、最初のうちは小さくて可愛らしい声だしてたわけです。それがだんだん大きくなっていった。こういう経緯があるから、不思議と感情移入しちゃうんですよね。イーマ君は、むやみやたらに暴れてるわけでなく、あくまでも襲われてるのを反撃してるだけ。そしていつも脅えてる。人間が脅えるのと同様に、イーマ君もまた脅えてる。内容的にはキングコングの焼き増しだけど、象との闘いや終盤のコロッセオでのアクションなど、アニメーションと実写の合成の完成度が素晴らしいので今見ても十分な迫力を感じる事が出来ます。 【あろえりーな】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-05-15 00:02:29) (良:1票) |
9.《ネタバレ》 ゴジラやキングコング、そしてCGとはまた別のハリーハウゼン独自の味があっていい! 人形に命が宿っている!特にイーマと象の戦いと橋の下から出てくるところは迫力満点です。ストーリーは7割キングコングだね。今回はカラー化したものを鑑賞したのですが、とても白黒で撮った様には見えないクオリティーで、黒白で最初鑑賞された方にとってはまた新しい感覚で鑑賞できるとおもいます。 【みぢこ】さん [ブルーレイ(字幕)] 6点(2011-04-12 10:17:14) (良:1票) |
8. やはり、なんといっても「金星竜イーマ」が秀逸です。昔のお話は非常にシンプルで しかもモンスター・象の動きもユーモラスで、観る方も優しい気持ちになります。 それ以外のヒューマンドラマの部分、即ち軍人と医者の卵の恋愛に関する言葉のやりとりは、「何やっているの?そんないきなりそういう方向に行くかい???」と思ってしまいますが、上演当時(約50年前)この類の映画は単にSFではなく、それ以外の娯楽的側面も持っており(必ずと言っていいほど主人公と相手方の恋愛が描かれる)、どちらかといえば大人をターゲットとしたエンターテイメントな線を狙っていたのでしょう。今のモンスター系のSFはどうかといえば「CGは当たり前、エイリアンも精巧に、バトルもリアルに激しく」という要件を備える事が当たり前になってます。だから「何を観ても同じ」に感じてしまうのですが、そんなときこのような映画を観るとやけに新鮮に感じてしまうのは自分だけでしょうか? 【たくみ】さん [DVD(字幕)] 6点(2007-11-04 20:29:11) (良:1票) |
7.ラストはまるで師匠のウィリス・H・オブライエンが魅せた怪獣映画の金字塔「キング・コング」のよう。なんで名前が「イーマ」なのかは知らんが、世界初!?なのか、象vs金星怪物も見ものです。やられそうで、なかなかやられない。これも「キング・コング」そっくりだしラストのセリフの意味深さもそっくり。ん~、レイ・ハーリハウゼンがもっと好きになっちゃいそうです。 【M・R・サイケデリコン】さん [DVD(字幕)] 8点(2006-08-03 14:57:36) (良:1票) |
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6.《ネタバレ》 おもしろっかたぁ。あんまり特撮とか見ないから新鮮やったんかもしれんけど、すごかった。何がすごいって、イーマの動物っぽい動きがリアルである種の不気味さ放ってる!描写細けぇ!しかも象と対決!やべぇわ。男の子心くすぐられるわぁ。象(地球代表)VSイーマ(宇宙代表)はドキドキする。中途半端な恋愛は要らんかったけど、イーマをコロシアムで見上げるシーンなんか上手いわ。遠近法なんか今さら…やけど、あれで十分なんやもんな。あなどれんな。 【ハッシーふりかけ】さん [地上波(字幕)] 8点(2006-04-18 03:16:13) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 イーマには心臓も肺もない、というよくわからない設定や、御都合主義満載のストーリーや妙にブルーなエンディングはどうでも良くて、ローマーを舞台に選んだ事が秀逸。そしてやはり、イーマと象の対決は胸が躍り、それだけでこの映画を観た価値あり。また、それまで無敵を誇るイーマが象を秒殺するかと思いきや、象に一瞬やられそうになるイーマの仕事っぷりもグッジョブ。 【永遠】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2005-05-27 03:10:43) (良:1票) |
4.ハリーハウゼンの中で最近まで観たことなかってんけど、えー時代やね。こんな古い映画も今じゃ簡単に観れちゃうんやから。でもね、でもね、ちょっと眠いときに無理やり観てもーたから、俺の感想あんまり気にせんといてな~。あのな、正直、少しダルかってん。いや、イーマ竜君が動くとこは、よかってんで。最初はなんかかわいーし。大きくなって暴れるところも、ハリーハウゼンはひょっとして、こっそり本物のイーマ竜飼ってるんちゃう?ってくらい生物感あるし。ただそれ以外の人間ドラマの部分の緊迫感があんま感じひんかってん。やっぱりラブロマンスいれとるし。えーねんけど。イーマ竜君があまりにもかわいそすぎるやんか。一人ぼっちでがんばってるのに、裏でラブラブされたら、暴れ損やろー。謝りなさい!イーマ竜君にあやまりなさい!イーマすぐあやまりなさい! 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 5点(2005-05-07 10:39:27) (良:1票) |
3.この作品は”イミール”という怪獣が1匹しか出てこいので、後の「シンドバットシリーズ」や「アルゴ探検隊」なんかと比べると”やや寂しく感じるかなァ~”なんて思っていましたが、そんなことはまったく無い、満足行く作品でした。その理由としてハリーハウゼンさん、この一匹にとにかく力を降り注いでいる。まず、↓へちょちょ様も書いておられる”イミール”誕生のシーン。とにかく芸が細かいと言うか、本当に生命が宿っている感じだ。しかも何か可愛く感じてきてしまうし。そして↓鱗歌様も書いておられる”イミールと像の一騎打ち!”これがまた迫力満点で見ているこっちが力を入れてしまい疲れますよ(オレだけ?)いや~話は普通でしたが、ハリーハウゼンの仕事っぷりを見るだけでも十分。そしてその素晴らしさを思い知らされた1本でした。 【カズゥー柔術】さん 8点(2004-02-03 02:15:02) (良:1票) |
2.何故未公開に終わったのか?日本では長らく幻の映画扱いだったが、WOWOWで初公開され当然の如く放映当日は万難を排して録画したーよ。イーマ竜の名付け親は意外なコトにハリーハウゼンではなく、日本が生んだ史上初の”おたく”大伴昌司氏である。本作で最も秀逸に感じた場面は”コロシアムでの象との死闘!”ではなくって…ナタデココっぽい卵から誕生するシーン!!最初はちっちゃいのが何ともプリティ♪ 以後だんだん大きくなっていく描写も丹念で完成度は可成り高いように感じた。矢張り怪物が一匹だけだし、対する相手が象だけってのが地味に映ったのかなぁ??取り敢えずハリーハウゼンのグッジョブに敬意を表して…7点! 【へちょちょ】さん 7点(2003-10-25 23:57:51) (良:1票) |
1.『金星怪獣イーマの襲撃』というタイトルで紹介されてるのを本で見て以来、気になってたのですが、BS2で放送してくれたので観ることができました。ありがとう。シチリア島で漁師が漁をしてると突然空から謎の宇宙船がまっ逆さまに墜落。頭から海に突っ込んだ宇宙船へ、漁師が救助に向かう・・・おい、宇宙船はひっくり返ってるのに何で船内は上下ひっくり返ってないんだ?まあいいや。宇宙船は実は金星探検船で、金星の生物を研究のために持ち帰っていたのでした。が、この生物がみるみる巨大化。いよいよハリーハウゼンの本領発揮だ! かなり見ごたえありますね。象との手に汗握る格闘! ちょっと象にしては大きすぎるんでないかい? まあいいです。コロッセウムでの死闘は、さらに迫力満点。ローマを舞台にしたのは正解!って言っても、単にハリーハウゼンがローマに行きたかったから舞台に選んだんだそうですけど。 【鱗歌】さん 8点(2003-08-31 15:53:06) (良:1票) |