《改行表示》 8.《ネタバレ》 面白くもないし、説明不足なのは否めない。 説明がない分、観客は与えられた意味不明な映像に「意味」を求めようとするのだろう。それが数多くの誤解を招き、数多くの議論を産みだす。そういう点において、人を惹きつける魅力をもった映画なのかもしれない。 色々なところで解説されているようだし、小説版なんてのもあるようだけど、そのような知識を借りずに、映画内で描き出された映像のみで自分なりにこの映画を解釈をしてみた。 この映画は、「人類の進化(過去と未来)」をキューブリックが独自に描き出したものだろう。400万年前の人類の祖先はその辺りのイノブタと変わらない下等な動物だったし、強い動物に襲われたりもする弱い動物だった。そんな下等動物がなぜ宇宙船を創り出すまでに進化できたのかという問いに対して、キューブリックは「宇宙人の存在(キューブリックにとっての神)」を考えたのだろう。 宇宙人の高度の知識を得て、ただの動物である猿が知識を有する人類にまで進化したとキューブリックは考えたのではないか。そして、400万年の時を経て、未来の人類は宇宙船を創りだし、月を採掘し、感情を有する機械との戦いを征して、木星にまでに辿りつくことができるようになる。これらができるようになった未来の人類は、さらに宇宙人によって高度の知識をもつ新たな人類(赤ん坊で表現)に生まれ変わるときが来るという「未来」を描いたのではないか。 確かに本作のように説明を省いた映画に対して高得点を与えることはできないと思うレビュワーには同意するし、木星にまで辿りついてワープゾーンで永遠に訳の分からない惑星の誕生シーンを観続けるハメになったときには正直うんざりしたけれども、やはり映画というものは、小説などとは違い全てをセリフや文字で表現するというような野暮なものではないとも思う。この映画は多少行き過ぎた点があるとは思うけれども、本作のようなぼんやりとした描き方によって、観た者に「あれはどういう意図をもって描いたのだろう?」と思わせるような演出の在り方には賛同したい。 【六本木ソルジャー】さん [DVD(字幕)] 6点(2006-06-24 00:27:04) (良:3票) |
《改行表示》 7.題して「すべて予想していたら恐ろしいキューブリックの迷作映画」 この映画は素晴らしいのでしょうか?なぜかよく分からないけど、意味無く落ち込んだ。シャム猫撫でながら「風流ですな」と。映画で哲学っすか、先輩。 この映画についての解釈はいいでしょう。「猿人」「モノリス」「宇宙」「HAL」「スター・チャイルド」・・・・。これはあれのオマージュだ。これはキューブリックのメッセージだ。アンチテーゼだ。おいらが解釈しても申し訳程度のものになってしまいます。唯一つ、俺の解釈。そんな様々な解釈をする映画批評家たちによって書かれたキューブリック研究本、2001年宇宙の旅研究本が書店の映画コーナーを埋め尽くしているところまで、予想していたら・・・キューブリックよ、あっぱれ。 合コンで「A川B子です!趣味は映画鑑賞です。好きな映画は2001年宇宙の旅です。」こんな女と付き合いたくない。 【anz】さん [映画館(字幕)] 6点(2004-11-08 02:06:26) (笑:3票) |
6.《ネタバレ》 映画館でのリバイバルで初めて観たとき、とっても感心したのは猿のメイクでした。着ぐるみかぶった人が演技してるんでしょうが、そう思えなかったんです。洞窟の中で口を大きく開ける姿を見て「え、どうやって作ってんの?」と、そればかり気になりました(笑) 『猿の惑星』とどっちが先か年代を見たら同じ年なんですね! 『猿の惑星』の猿は口が大きく開けられないマスクですが、『2001年宇宙の旅』の猿のマスクは驚嘆します。もしかして特殊メイクではない?? 未だに気になります。着ぐるみつけた人間が演技してるのだったら、ものすごいリアリティだし、本物の猿を使って演技指導したなら、それも驚愕だし。一番印象に残ったのはそれでした。でも、ラストはワケ分からなすぎで決してストーリー的には満足できません。【追記】ここでの過去レビューを読んでいくうちに『スタンリー・キューブリックが後にコメントしているのですが、 「殺す相手がいないので自分で自分を殺し始めた」という事らしいのです。』という情報を知り、これが本当なら作品にひどく幻滅です。バカバカしくて(というか、キューブリックはその場の思いつきで喋ってる気がして冷めてしまった)。ネットで調べていくうちにオリジナルを頼まれた作曲家の扱われ方、リゲティの曲の無断使用の疑惑、クラークが用意して削られたり変更されたエピソードの数々・・・げんなり。原案通りだったら『LOST』なみに面白かったかも。どのみち当時の技術じゃ無理だったろうけど。この映画、時々思うんですけど、ピカソの「アビニョンの娘たち」みたいな扱いに思えます。本気であの絵に「美的に」価値があると思ってる人どれだけいるの? みたいな。批評家が祭り上げた末に、鑑賞者たちが自己の解釈に酔って知的になれたつもりを味わうネタにされてる気がしてならないです。それでも天才の絵にいちゃもんつけたところで、ピカソが天才ってことになってるのはずっと変わらないし「分かる人だけ分かればいいんだ」と気取ってみせればすむみたいな。ホントのところは「シャイニング」に近いレベルの原作者冒涜作品なのかも。技術や予算の問題で削りに削ったあげくの「単なる難解」に対して、鑑賞者が、作者が思ってもいなかったgoodな解釈の数々でフォローして名作に祭り上げられただけなのかも。なんかズルい気がしてならない。けど、一度は大きな画面で見る価値ありです。 【だみお】さん [映画館(字幕)] 6点(2010-01-06 19:17:08) (良:2票) |
《改行表示》 5.《ネタバレ》 10/12、国立映画アーカイブにて、製作50周年記念 『2001年宇宙の旅』 70mm版特別上映を鑑賞しました。 んーやっぱり難しい! 実は何度かDVDを借りてみたものの、ウトウトして、気がついたら再生が終わっているという出来事があってから 自分の中で「映画通がおすすめするつまらない映画」の代名詞になっていました。ろくに見てもいないのに。 今回、もう2度と見れないかもしれないフィルム版ということで劇場に行ってみましたが、やはり宇宙ものはスクリーンで見るに限りますね。 そしてもう散々語り尽くされているとは思われますが、50年前の作品とは思えない画面でした。 それが色彩なのか、構図なのか、単純にリマスターされた画質だったからなのかは分かりませんが、今見てもドキドキできました。 キューブリックの映画って解釈が難しいけど、印象に残るシーンが無数に多いんですよね。 『2001年』に関して言えば、猿が骨を武器にするところ、真っ白な宇宙船内、HALの目、デイブがHALを〆るシーン、そして最後は強烈でした。 なんか、最後で鳥肌が立った映画って久しぶりです。 今まで寝落ち映画とか期待はずれとか言っていた自分を恥ずかしく思います。 また、『インターステラー』などがいかにこの作品から影響を受けているかも分かりました。 【アーウーマンデ】さん [映画館(字幕)] 6点(2018-10-13 06:46:05) (良:1票) |
4.観ているこちらも無重力でキューブリックの脳内を漂っているような。猿と石碑。生と死。何かの暗喩なのかもしれない記号が飛び交うけど、それらの解釈は私の手には負えない。ただもう圧倒的な映像と荘厳な音楽に口が開きっぱなしで口腔内が乾くし、それに眠い。宇宙船の内部、それはそれはもう天井から床、椅子、スイッチ一つに至るまで目が潰れそうなまでにスタイリッシュで、点数すべてはこの美術に捧げるものであります。 【tottoko】さん [DVD(字幕)] 6点(2012-11-08 01:02:46) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 映画というのは客からお金を取って成り立つ商売であって、例えば、ピカソのような芸術作品を美術館に行ってお金を払い鑑賞すると、その絵を理解して納得する人は少ないと思いますが、ほとんどの人は満足し、鑑賞に費やしたお金と時間を後悔する人はほとんどいないと思う。さて、この映画はどうでしょうか。 この映画の余りの異質さに、なんでこんな映画が世に出たんだろうと思った。 この原作を読んだりして、この世界を表現したいと考えたクリエイターは他にもいたかもしれませんが、実際にその方法と資金の両方を持ち得たのは世界でキューブリックただ1人だったということ。この世界を表現してしまったのが、趣味で映像を撮る個人作家やイラストレーターや漫画家ではなくキューブリックだったということでしょう。 映画を見た後に皆さんのレビューを拝見してみると、映画の中に出てきたあの石板の役割や意味が少し理解できたような気がしたので再度鑑賞してみましたが、特に印象は変わることはなかったです。 つまり、面白くないものはどう逆立ちしても面白くないわけであって、原作を読もうが色んな解釈を聞こうが「だから何だ」で終わってしまうことがほとんど。 この映画に限らず、「原作を読んで評価が上がりました」とか「理解できない人は原作を読んだ方がいい」というレビューがあちこちで見受けられますが、映画の評価はあくまでも映画そのもので評するべきだと思います。 この映画の決定的にダメなところが、機械が人間に危害を加えようとするところなんですが、機械に対する考察や知識に欠けていると言わざるを得ません。多くは語りませんが、キューブリックは「ロボット3原則」についてもう少し勉強してからこの映画を作るべきで、それを知っていればHALが人間を陥れようとするくだりはこの映画の中に組み込まれなかったと思いますし、この映画の中でも肝となる部分ですので、ここでのリアリティのない安易な未来観のせいか、どうしてもこの映画に対して安っぽさを感じてしまいます。 それと、細かいところですが、船員二人が球体の中で作戦会議をする時に、スイッチを順々に切るシーンがありましたが、あのスイッチがいかにもアナログ的で笑ってしまった。キューブリックも未来に対しての先見があるようでいて、こんな映画を作って格好つけてはいるけども、やっぱりアナログの時代の人なんだなぁと思ってしまいました。 【もっつぁれら】さん [映画館(字幕)] 6点(2010-08-01 20:05:19) (笑:1票) |
2.《ネタバレ》 以前、確かに見た。けど、正直、この作品で覚えていたのは、映画の冒頭で猿が投げた棒切れが宇宙船になるんだよね。黒い石版がデンと立ってて、で、ラストは、宇宙に胎児が浮かんでたんだよね。って、それだけだった。久し振りに見て、改めて、それしか覚えていないことに納得してしまった。一番緊張するはずのハルの叛乱のシーンさえ、アニメのボトムズのラスト込みで覚えていたようなものだし。いえ、今見れば、それなりに分かる。それなりに知識も増えたし、人生経験も積んだし。でも、今、改めて見ても、やっぱりストーリーは悲しいくらいダイジェストだし、さあ、貴方の知性を試そうってなくらい、抽象的だし。だから、何なの?って、終わり方だし。今は分からないとは言わないけど、ある意味、傲慢な作品だなぁ。ま、ここまで抽象的だと、理解出来ない貴方は無能って言われる気がして、反発する気力も起きないかもね。殆ど、ムンクの叫び的映画。でも、これが68年作っていうのは、やはり凄い。でもって、その後の、日本のSFアニメに及ぼした影響力ったら、ジャパニメーションがマトリックスに及ぼした影響力に勝るとも劣らない。本作無くして、今日の日本のSFアニメはなかったかも。ただ、見る人を選ぶ作品ではあるよね。 【由布】さん 6点(2004-10-04 23:58:51) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 観客を圧倒する映像と、どうとでも解釈できるストーリーが、綺麗なコントラストになって印象的。名作だと思う。しかしテンポがゆっくりなため、ついしょうもないことを考えてしまった私。たとえば、「この猿って、中に人間がはいってるぬいぐるみなんだろうなあ。だとしたら、中に入っている人は大変だったろうなあ暑くて」とか、「キューブリックは赤い椅子が好きなのかなあ」とか、「もし乗組員が風邪ひいて声が出なくなったら、ハルへの指示はどうするんだろうなあ」とか、「冬眠中の人が入る棺桶みたいなのは、身長別にオーダーなのかなあ」とか。みなさんはどうでしょうか?? 【しょりちゃん】さん 6点(2003-09-11 16:26:29) (笑:1票) |