4.いやはや、実にハードボイルドなる一本。「断っておくがワシはマトモな人間ではない」とのたまう狂四郎様。なーにをおっしゃるんですか、シリーズ他作品に比べりゃ相当マトモでっせ。何しろ、全然スケベじゃない。まさか別人、このヒト本当に大塩格之助だったりして、ウヒョヒョ。←というわけで、狂四郎の人違いに始まり、裏には裏のある、なかなかに奥の深いストーリーが、紙芝居のごとき場面転換、モンタージュ風のカット挿入によって、実に小気味よく進められていきます。一方、じっくり見せるところはじっくりと。この緩急の心地よさ、まさに快作と言ってよいでしょう。さて今回の敵は、天知茂演じるところの明智小五郎、じゃなかった、ニヒルなテロリスト・愛染。ちなみにワタシの知り合いで、「眠狂四郎シリーズってたしか、敵役は毎回、天知茂が演じてたんじゃなかったっけ?」などというワケの解らない勘違いをしている人がおりました。こんな勘違いが生じるくらいだから、まさに本作の天知茂はシリーズ屈指の印象深い敵役と言ってよい、のかどうか(???)。円月vs円月という、何かヘンテコな儀式のようなクライマックスに続く、どこか悲しさと虚しさが漂うラスト、脱帽であります。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2005-09-28 23:41:13) (良:2票) |
3.さすがに三隅研次監督。屋根から雨のように落ちる竹の人形、そして炎に妖しく照らされる月・・・。うん、どの瞬間を切り取っても美しい。一揆とか長屋とか江戸の庶民の生活が感じられるのもまたいい。 ただこのシリーズを観たのは二本目、やはり円月殺法の利点が分からない。しかも二人して。 全裸で川にダイブしていった女の姿が脳裏に残る映画。 【紅蓮天国】さん 6点(2003-12-27 13:11:37) (笑:1票) |
2.市川雷蔵が大好きなので「眠狂四郎シリーズ」はほぼ制覇したが、その中でもやはりこの「無頼剣」の完成度が一番高いと思う。時代劇初心者にもまず勧めるのがこの映画。白い塀、家の中の磨き抜かれた木の感触、青い月と瓦屋根、わらべうた。三隅研二の表現する、切り取って飾って置きたくなるようなスタイリッシュで美しい映像の数々。そしてなにより雷蔵演じる眠狂四郎のニヒルな名セリフに「かっっくい~!」と唸りっぱなし。天知茂の悪の魅力にもウットリ。彼らのハードボイルド振りに比べたらサム・スペードなんてまだまだ半熟。但し、原作者の柴錬はいつものお色気を抑えたこの作品が不満だったらしく、試写を見て「これは狂四郎じゃない」と言って途中退席したらしい。へちょちょ星人さん、私も9点つけちゃいます! 【黒猫クロマティ】さん 9点(2003-10-28 12:49:40) (良:1票) |
1.柴田錬三郎の原作「眠狂四郎無頼控」を大映が市川雷蔵の主演で映画化し、好評の為シリーズ化された中での第8作が本作。何故8作目を?それはシリーズ全12作中でも屈指の面白さと完成度だから。MVPは何と言っても、簡潔にして明瞭なシナリオを提供した名匠・伊藤大輔。流石に時代劇に必要な娯楽的要素を知り尽くした彼ならではの名脚本だ。それが三隅研次のタイトでスタイリッシュな演出と絡み、僅か79分という一切贅肉を削ぎ落としたかのようなコンパクトかつシンプルな逸品に仕上がっている。最大の見所は天知茂扮する浪人・愛染と狂四郎が江戸の大火をバックに屋根の上で互いに繰り出す”W(ダブル)円月殺法”だろう。矢張り敵が手強いと弥が上にも盛り上がるというモノだ。第7作から担当し始めた伊福部昭の音楽も(「大魔神」ほどではないが)良し。どうせまだ誰もコメントしてないし、恐らく今後もコメントする方は(殆ど)いらっしゃらないだろうから今の内に高得点にしちゃおうw。よって9点進呈~♪ ↑あ、黒猫クロマティさん有り難う御座いますぅ~!! 【へちょちょ】さん 9点(2003-10-16 00:23:30) (良:1票) |