《改行表示》 7.《ネタバレ》 最初の鑑賞時、急に仕事で呼ばれ、ラスト10分を見逃してしまった。―何と言う失態!―というのも、観た方ならお分かりであろう、斬新な映像実験をきっちり90分以内に収めてきたこの映画の、ジ・エンドに向けて加速するスピードに勝負をかけたこの映画の、ラスト10分の「欠かざるべき度」の高さたるや、ユージュアル・サスペクツにおける「あの人」の独白の「クライマックス度」に比するものがあるのだ……。しかし、告白しよう、この「おあずけ」状態の苦しくも何と甘美であったことか!正直な話、ラストを見てしまった今より、想像のつかぬ結末の存在にヤキモキしたこの一週間の方が、ずっとこの映画の魅力を享受できていたように思う。あたかも、銃口を向けられ座ることも立つこともままならなくなった主人公の焦燥感を疑似体験したような、この「おあずけ」状態。下記の一連のレビューを読み、ラストに不満が残ることを危惧される未鑑賞の方には、この「寸止め鑑賞」をお勧めしたい。もしかしたらもしかすると、主人公のように人格すら変えらる衝撃が貴方を襲うかも知れない(ただし、単に欲求不満が爆発するという末路も安易に想像されますので、ご注意下さい)。 【中山家】さん 8点(2004-01-30 08:32:55) (笑:2票) |
6.携帯電話では決して成立し得ない、昨今では珍しい“公衆電話ボックス”という小さな小さな空間から、やがてこの作品世界は際限なくグローバルに広がっていくという、今までにない独自性をまず感じさせられる。無差別犯罪のターゲットにされ、極限状態に追い詰められた男の恐怖を描く本作は、まさに監督J・シューマカーの得意分野でもある。で、およそ映画的スケール感とは無縁の限定された世界の話であり、しかもプロットは極めてシンプルなだけに誤魔化しが効かず、より演出の緻密さが要求される。そういう意味においては、小品だが彼の本領が存分に発揮された佳作となっている。とりわけ分割画面の効果を最大限に生かしている点などは、上映時間の短縮には実に有効だったと思う。また、F・ウィティカー演じる警部を機知に富んだ聡明な人物として配置するなど、バランス感覚にも細やかな配慮がなされている。しかしそれも、全編のほとんどを一人芝居で演じきったC・ファレルの的確な演技があってこそ。世の中はすべて金!といった傲慢で世渡り上手な面がある一方、脅迫で自身の人間性を曝け出すような弱さも併せ持っているという、この何処にでもいるような男=スチュを演じて見応え十分。ただ警察より一枚も二枚もうわ手で、すべてが計算ずくで、ゲームを楽しんでいるような犯人の動機や真の目的が謎である以上、ラストにチラッと姿を見せたのはやはり間違いで、謎は謎のままにしておいたほうが、より不気味さが出たように思う。 【ドラえもん】さん 8点(2003-12-17 17:02:37) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 や、面白かったです。80分の短さで、きりりとやりたいことやった感じ。不条理型の攻撃者は絶対的に強くないとイケナイのだけど、こいつも及第点。正体不明&高層ビルからの攻撃って圧倒的に有利だぁ。うーん不条理だ。追い詰められる主人公が自分の内面と向き合うことになって妻に告白するシーン、人が必死に訴える姿というのは周りの人間にもきちんと伝わるもので、警察も野次馬もそして観客の私もちょっと「しん」、となったりするのでした。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2011-12-27 01:47:26) (良:1票) |
《改行表示》 4.映画としてはたいしたコトなくても、エスねこ的には高い点をつけなきゃならん作品というのがありまして、これなんかはそう、ド真ん中ストレートな「変格」映画ですな。なんかポール・オースターのスッカスカな純文小説をアクション満載で映画化したみたいな感じ。コリン・眉毛・ファレルの演技力で80分保たせ続けるのはチト厳しかったとは思うけれど、フォレスト・お人好し・ウィテカーの演技もいつも通りで飽きるんだけど、そのあたりは監督も犯人も先刻ご承知、いろいろ先手を打ってオイラをハラハラさせ続けてくれました。 この映画は(売り文句とは違って)各キャラのパワーバランスを楽しむ群像劇なので、演技はスタニスラフスキー・システムがよく似合う。役作りが全てと言っていいかも。その意味での本作の見所はエキストラの表情です。普通はエキストラって、ただ引っ張ってこられてバックで歩いてるだけの群衆なワケですけど、この映画での群集は完全に事件にのめり込んでいる。メイキングを見て納得しましたが、コレってある種の擬似イベントとして撮影してるんですね。エキストラは当日撮影分のシナリオしか渡されず、しかも時間順に撮影されたため、全員が事件を実体験してるような一体感があります。観客の代わりにスクリーンに入り込み、事件の展開に呆然とする顔・顔・顔…。これに勝る画は滅多にありやせんぜ。映画好きより演劇好きの方が楽しめるような気がする、B級実験ムービーだったと思うのです。 【エスねこ】さん [DVD(吹替)] 8点(2006-03-15 19:14:24) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 巷に、うようよいる傲慢な人たちもあのくらいのことされたら改心するんだろか。 終盤警官突入時に、電話でコリンが余計なこと言い過ぎ。 でもぐいぐい引きつけられてあっという間に終わってしまった。画面に釘付けになった。 【モフラー】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-03-14 06:34:05) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 あまり期待しないで見たためか非常におもしろかったです。大量資金が当たり前のこの時代で金をかけずともおもしろい映画を作れるんだぞ!ってのが伝わってきました。それと私は日本語吹替版で見ることをオススメします。犯人役キーファー・サザーランドの日本語声優が大塚明夫さんだったのですが、さすが声のプロ!俳優の本人よりかなりいい感じです。是非お試しを! 【ズパック】さん 8点(2004-06-11 16:31:24) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 『SAW』や『SEVEN』に出てきた犯罪者のように、罪を犯した者に罰を与えるというテーマ。「限られたスペースで、これほどスリリングな映画を作れるのはスゴイ」といういうのが率直な感想。ストーリーのテンポもよく、コリン・ファレルの鬼気迫る迫真の演技も良い。また、最後に罪を償った(?)コリン・ファレルを生かしてやるというのも、ただ殺戮を繰り返している犯罪者とは違うのだという点で(まだ)好感がもてる。多少ツッコミたい部分はあれど、細かいことを言いたくなくなるのは、やはりこの映画が純粋に面白いと思える作りだからだろう。ただ惜しむべきは、嘘をつき、人を欺いてきたコリン・ファレルが、そこまで重罪だったのか…という疑問。本人が言うように、もっと裁くべき人がいるのでは…と考えてしまう。そこは強引に、コリン・ファレルは罪を償い、更生するチャンスがあり、不幸にも(?)犯人の目に留まってしまったのであろうと解釈する。もう一点、やはり納得がいかないのが、コリン・ファレルを粛正するために罪もない人(売春婦のツレ・ピザの宅配人)を殺したというところ。コレに関しては、犯人の作り上げたストーリーを完結させるためだけに殺したと言わざるを得ず、「罪を犯した者を裁く」ような大義名文を唱えようとも所詮、犯罪者なのだと感じる。『SAW』の犯罪者も同じように罪のない人を危険にさらすという意味で納得できない。究極的に、罪を犯した自分を裁くという選択肢を作り上げた『SEVEN』の構成には及ばないのが残念である。 【グングニル】さん [DVD(字幕)] 8点(2004-01-11 16:57:18) (良:1票) |