10.居合いの達人だと言われる座頭市、「見世物じゃねえや」とつぶやきつつノラリクラリとかわして、なかなかその凄腕を披露しない。披露しなければしないほど我々の期待も高まり、この後でしょぼい居合いシーンなんか見せられたら承知しないぞ、という気分になってくる、そんな中で、勝新がついに見せる、息を呑む早業。あらゆる期待をさらに上回っていて、もうこの時点でシリーズ化決定でしょう(笑)。 座頭市の盲目の眼の向こうにある彼の内面を、我々は決して推しはかることができない。ただその謎めいた横顔から滲み出る、かなーり胡散臭いヒロイズムに、我々は惹かれるんですな。病でこの先いくばくも無いであろう剣豪・天知茂も魅力的で、かつ彼の存在が、座頭市の謎の人物像の側面にスポットライトを当ててみせる。 クライマックスは、敵対する二つの組の間の一大抗争に発展。スピーディな展開がここに極まって、大いに盛り上がるのですが、同時にそれは、できれば避けたかったが決して避けられぬ、天知茂との対決の時でもある訳で。ここまでのゴタゴタをすべて超越した、神秘的ですらある、対決なんですね。ああ、シビレるシビレる、シビレまくり。ここに至り、ついに、あの座頭市からも一瞬、その内面があふれ出すのです。 映画中盤、夜の場面ではきっとそこに炎があり、その揺らめきや、光源の移動が、事細かに描写されたりして。大映らしいロケ撮影もあわせて、いい雰囲気を作ってます。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2017-05-01 11:03:22) |
9.おもしろい
【pillows】さん [DVD(邦画)] 9点(2014-03-31 01:10:40) |
8.名匠三隅研次の技。敵役の天知茂の渋さ。そして何より、勝新太郎の謙虚な演技(勝新なのに!)。あ、忘れてはならないのは伊福部昭の荘重な音楽。ひたすら至芸を楽しむのみ! 【いのうえ】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2007-06-17 14:54:48) |
7.この1作目は、演出の出来といい人間性の深さといいユーモアといい「用心棒」辺りとタメを張れる映画では。個人的に音楽の使い方(風景描写的な民謡)がイイ。当時の邦画界は世界的に有名な黒澤、小津、溝口ばかりでなく、このような幾多の凄い人脈が裾野のように広がっていたのだな…と今更ながら感嘆しました。 【番茶】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-06-16 01:23:19) |
6.やっぱり座頭市は勝新に限ります。そんな勝新座頭市の記念すべき最初の作品として完成度の高さもさることながら何度観ても面白い!勝新の持つオーラ、存在感、全てにおいてたけしの座頭市よりも上です。白黒の画面から伝わってくる勝新のパワーの凄さを存分に味わえる傑作です。 【青観】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-06-02 22:57:47) (良:2票) |
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5.北野版座頭市、勝新版(89)座頭市と観たら、ルーツを知りたくなった。画面の隅々まで緊張感があるし、技術も殺陣も脚本もものすごくレベルが高い。そして勝新の渋みのきいた鋭い演技が抜群。ラストサムライみたいにカット割りで誤魔化さない1カットの居合斬りがカッコ良過ぎる!やはり黄金時代の映画界は逸材が結集していたんだなあと思う。今の邦画界、才能のある人もいるけど、明らかにこの時代より質が落ちてると思わざるを得ないのが残念・・・。 【ロイ・ニアリー】さん 9点(2004-11-05 07:04:04) |
4.日本人の持つ勇ましさ、強い信念、志の高さ、友を労わる心。この作品には現代の日本人が忘れてしまったものがこれでもかとギッシリ詰まっていて、思い出させてくる。まさに教科書のような作品だと思う。しかし、今の日本人ではもうこのような映画は作れないのでしょうか?だとしたら悲しすぎます・・・僕はこれからの日本映画に期待しつつ、この教科書的映画をしっかりと心にしまっておきたいと思います。 【ボビー】さん 9点(2004-07-28 18:51:41) |
3.草鞋を脱いだ組の喧嘩に助太刀をという、話の構図は後の東映は仁侠路線とも重なる。しかし、リアリティは圧倒的。映画って白黒の時代にすでに完成してたんですね。美しいです。 【伯抄】さん 9点(2004-07-19 22:33:01) |
2.昔の時代劇は黒沢ばかりじゃない。 黒沢にはないエンターティメント性、別種の迫力、人間味、かっこよさがある。こういうのは・・・もう今の日本人じゃ作れないだろうな。早すぎる天才の死を悼む。 【うさぎ】さん 9点(2004-01-10 02:13:17) |
1.勝新太郎のハマり役、座頭市。以後、シリーズ化される記念すべき第1作。監督の三隅研次を筆頭に、主役を張る勝新太郎、相手役の天知茂等、この作品にかける意気込みが画面からヒシヒシと伝わってくる。三隅研次の描写が冴えるクライマックスの殺陣のシーンはもちろんのこと、ゾクゾクする見せ場をあちらこちらにちりばめており、見応え十分の時代劇に仕上がっている。また本作は、裏社会という掃き溜めの世界でしか生きてゆかざるを得ない、哀しい男どうしの“友情”を描いた人間ドラマとしても秀逸。勝新太郎の圧倒的な存在感、それに対峙するかの様な死期を察知した天知茂の哀感溢れる演技。伊福部昭の荘厳な音楽も貢献度大。《ネタバレ! ! 》ラスト、座頭市に支えられ息絶える平手造酒。剣に生きる者にしてみれば、至福の幕切れだったに違いない。傑作です。 【光りやまねこ】さん 9点(2003-11-24 15:39:38) (良:1票) |