6.《ネタバレ》 原作未読。その原作は1938年作、そして本作は1951年製作と、いかにも古のSF作品といった趣です。カーペンター作品とは似て非なる、否、全く異なる作品でした。
今の時代の尺度で捉えてしまうと、全てにおいてチープで雑な1本と思えてしまいますが、それは野暮と言うもの。戦後間もない時代に創り出された作品でここまで描き切ったことに賛辞を贈るべきでしょうね。当時の観客は本作を一体どのような感銘(とは限りませんが)をもって受け止めたことでしょう。そんなところに思いを馳せて鑑賞するのも一興かなと。
異星人が地球とは異なる進化を遂げた植物という発想はユニーク。それが動物(ヒトでもイヌでもいいらしい)の血液成分によって生長するというのも面白いですね。つまりは消化器官は持たないということでしょうか?地球上の植物の知性?について科学者が述べますが、ちょっとズレてるところはご愛敬ですね。昔のSF小説を読んだりSF映画を観たりすると様々な衝撃(良くも悪くも)を受けますが、本作も例外ではありませんでした。登場人物の行動や言動の一つひとつが、ひとことで言えば「面白い」に尽きます。
ただ、核や放射能に対する捉え方だけはいただけないです。ガイガーカウンター振り切って観測不能な状況なのに、防護服なしでグイグイ近付く。全員被ばくです。戦後間もない作品ということは、原爆がもたらす悲劇は承知しているし、核実験を繰り返す中、原爆・水爆の危険性や長きに渡り止むことなく続く放射能汚染の恐怖についての認識も高まりつつあった筈の時代。なにか見て見ぬふり的なご都合主義を感じてしまいます。本作にそんな社会的、或いは政治的メッセージが込められているかは正直なところハッキリとは判りませんが、無知故の愚かしいまでの無防備さと無知故の理不尽な攻撃性の狭間を行ったり来たりしている当時の米国民の標準的な志向を垣間見る思いです。
総じてみれば、様々な観点をもって興味深く、かつ惹き付けられる作品でした。 【タコ太(ぺいぺい)】さん [インターネット(字幕)] 7点(2025-04-04 23:12:32) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 最初に観たのは60年前です。腕が動き出すところとか怖かったのが印象に残っています(犬の血かなんかが付いていたからだっけ)。当時の映画館では小さなガリ版の解説があって、そこでキャンベルの名前と原題(そこにいるのは誰だ?)を知りました。多分最初に覚えた外国SF作家。二人の犠牲者が天井から逆さに吊るされてとかの報告がいかにも恐怖心をあおるもので、それがあっけなく罠にかかって放電を浴びて死ぬのは少し単純すぎるとも思えました。次に観たのは40年前のテレビの深夜番組。リメーク版は多分期待外れだろうと思って観ていません。 【たいほう】さん [映画館(字幕)] 7点(2010-11-16 14:30:44) |
4.ジョン・カーペンターが4歳のときにコレを見て衝撃を受けたことが映画の世界に入るきっかけだったとか。なるほど、たしかに未知への物に対する興味と恐怖をストレートに見せるこの映画は頭でっかちな大人以上に子供の好奇心を刺激するかもしれない。恐怖もさることながら科学者側の見地なんて子供の視点そのもののような気がする。密室劇は恐怖演出以上にストーリーをシンプルに進ませることに一役買っている。その中で強い男がリーダーシップをとってそのシンプルなストーリーを引っぱるといういかにもホークス的な展開がいい。硬派だ。紅一点の女は当然その男に惚れるのだがまわりの男たちも当然そうあるべきのことのように振舞う。女もまたサバサバとしていて硬派なのだ。一人の強いリーダーと一人の美しい女、そして仲間たち、で締めるラストカット気持ちいい。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-06-25 16:30:59) (良:1票) |
3.初見は随分前なんですが、てっきりB級ホラー映画だと思っていたものの、SF映画の名作であったことを後に知りビックリ。しかも、デカい怪人が人を襲うという古典的な演出で恐怖を煽る映画だけに、改めて見直すとやっぱり陳腐。だけど当時としては、発想、映像、特撮等、ショッキングなSF映画ということもあり、観客にはウケまくったんだろうなあ~、きっと。そうそう、ディミトリ・ティオムキンの不気味な音楽は良かったゾ! ! SF映画の古典的名作に敬意を表し、うーん7点。 【光りやまねこ】さん 7点(2004-01-11 17:33:59) |
2.”から”よりもこちらの方が個人的には受け入れられます。白黒なので、”より”のビロビロビローンというグロさはないけれど、もっと心理的な怖さがあるような気がするのですがどうでしょう? 例えて言えば、”より”は「ハイテクに支えられた最新鋭のお化け屋敷」で、”から”は「人間が”わっ”と人を脅かすアナログなお化け屋敷」という感じでしょうか。 【オオカミ】さん 7点(2003-11-20 18:12:55) |
1.《ネタバレ》 J・W・キャンベル・Jr原作の古典SF「影が行く」最初の映画化が本作。可成りアレンジが施されているため原作の有する閉鎖空間での疑心暗鬼という独特のムードが皆無なのが致命的にイタイ。最大のミスは物体Xを単なる怪人に変更したコト。ジム・アーネスが長身を買われて演じているが、チラチラ顔を出す程度で全然ド派手な殺戮行為をする訳ではないので拍子抜け。しかも余り強くない!犬にやられてどーする?まぁ当時は残酷描写に対する規制も厳しかったし、SFXもお粗末だったから苦肉の策であろうが、原作ファンにとって不満なのには変わりない。もう1点は主人公(ケネス・トビー)と研究所の女性とのイチャイチャ恋愛模様。ハッキリ言って邪魔だぁぁぁ~!!!矢張りカーペンターは正しかった。と、愚痴ばかりではチト気の毒なので本作の数少ない見所を挙げると…隊員が罠を仕掛けて待ち構える中、ドアを破って逆光に立つ”X”の勇姿!そして罠に掛かり高圧電流で焼かれつつ徐々に身体が縮んでいくシークェンス。この場面(一説によればプロデューサーのホークスが撮ったらすぃ)だけでも見る価値アリと言っても良い程の秀逸な出来。ま、何だかんだ言っても結局コノ手の映画がむっちゃ好きなので奮発して7点進呈! 【へちょちょ】さん 7点(2003-10-23 20:04:32) (良:1票) |