5.本裁判唯一の戦時国際法学位所持者パール判事の言葉、「時が、熱狂と偏見とをやわらげた暁には、また理性が、虚偽からその仮面を剥ぎ取った暁には、その時こそ正義の女神はその秤を平衡に保ちながら、過去の賞罰の多くにその所をかえることを要求するであろう」。 その暁が訪れるまで残しておく「記録」。 大日本帝國すなわち日本は、まごうかたなき敗戦国である。 しかし、断じて、それ以上でもそれ以下でも、ない。 【とっすぃ】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2005-12-27 03:20:59) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 これは凄い。よくこれほどの作品を撮ったもんだと感心させられる。我々日本人にとっては忘れたくても絶対に忘れることの出来ない。いや、忘れてはならないというべきである事実、戦争によって大勢の人の命が犠牲になった。敗戦国である日本、敗者である立場から勝者へ(に)対する東條英機の発する言葉がもたらした戦争批判、天皇批判、戦争の責任は天皇であるという言葉が東條氏をはじめとするその他大勢の人達まで巻き込んでいく過程、日本人側の立場から見たら絶対に戦争によって敗北した日本は被害者、アメリカが加害者である。両方の国の弁護士の言い分を徹底的に鋭く描いている点に注目して観れば、勝者も敗者も関係ない。どっちもどっちであるとばかり言われているような気持ちにさせられるほどこの作品の持つ恐ろしさ、人間なんて皆、自分勝手で我がままな生きものであることがよく解る。A級戦犯である東條英機と同じく裁判によって有罪となり裁かれる者達、裁かれる者と裁く者とのお互いのやりとりも何ともスリリングであり、あっという間に4時間半もの時間が終わってしまったような気がする。人が人を裁くこととは?戦争によって勝ったから何か良いことがあったのか?負けた悔しさ、悲しさから何かを学ぶことの大切さのようなものを教えられた気がしてならない。とにかくこれほどの力強いメッセージを持ったドキュメンタリー映画、一年に一度はテレビ、勿論NHKか教育テレビで放送で流して欲しいし、一人でも多くの方に観て何かを感じ取って欲しいと思います。 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 9点(2011-09-19 17:30:54) (良:1票) |
3.4時間37分。自分が劇場で観た映画で最も長い作品はこれです。でも、全く長く感じなかった。当時、映画館には数人しか客がいなかったんだけど、まるでその裁判の傍聴を特別に許された人になったような気分で身動きできなかった。それだけスクリーンはメッセージを発し続けていたってことですね。戦後生まれとして、もちろん勉強にもなったし、簡単には感想をまとめられない重い重いドキュメンタリーです。この裁判が抱える欺瞞は多くの指摘を受けているが、もし日本が太平洋戦争に勝利していたら、逆のことを米国に対して行ったのかな、というのが当時の自分が思ったことでした。その場合は、A級戦犯も英雄に翻る訳です。やってしまった事に対しては、何らかの決着を付けないと先には進めない。戦争犯罪を追及することは、その真偽を諮ることが目的ではないのだろう。 【アンドレ・タカシ】さん [映画館(邦画)] 9点(2009-01-13 16:31:11) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 とてもおもしろかった。ただ黙って判決を受け入れるA級の彼らの表情をみていると、目頭があつくなった。ぜひテレビで放映すべきだろう。 【no_the_war】さん [DVD(邦画)] 9点(2006-07-20 00:40:26) (良:1票) |
1.満州事変から支那事変、真珠湾奇襲攻撃で口火を切ることになる太平洋戦争突入とその集結。そして総決算ともいえる東京裁判こと極東国際軍事裁判。佐藤慶の明解なナレーションと共に、激動の昭和史がリアルに力強く明らかにされていきます。この作品では戦争という殺し合いを戦勝国が敗戦国を裁く、という大いなる疑問を見る者に提示します。日本と米英のイデオロギーと価値観の違い、コミュニケーションの壁までが浮き彫りにされる。そんな中、インドの判事パルによる裁判そのものの違法性と全員無罪の主張が説得力を持つ。(それでは誰が何を裁けば良いのか? それとも裁くという発想そのものが意味を成さないのか?) 近代日本の歴史的事実を極めて客観的に捉えており、ドキュメンタリー作品としては完成度も高く見応えも十分。監督小林正樹の集大成ともいえる本作の存在意義は余りにも大きい。 【光りやまねこ】さん 9点(2004-06-05 22:00:36) (良:1票) |