4.ジュード・ロウは私にとりまだ評価しにくい、苦手な俳優の一人だが、本作はすばらしかった。イーサンは、これのカメラテスト?か何かで初めてジュードに会い、随分とショックやらプレッシャーやらを受けたらしいが、そんなエピソードも、納得だ。イーサンも主役として「負けてられない」と思ったのでしょうね、ナチュラルな演技でもって、この特異な世界に見る者を引き込む。またもちろん作品全体も素晴らしかった。まず第一に、すべてにおいて大変ユニーク。遺伝子操作がもたらす新たな問題、という、時代を先取りする着眼点もいい。そもそも97年制作、そのさらに前からの企画と考えると、進取の姿勢にも感服である。もう一つのポイントは、SFでありながら人間としての苦悩が描かれていて切ないこと。この両立がすごい。SFに詳しい人なら、そういう作品は案外ありますよ、と言われてしまうのかもしれないが、こんなにバリバリのSFで、サスペンスとしても一級で、しかも哀切に満ちた世界があったなんて、驚きだった。なおかつ映像がクールでスタイリッシュ。無機的な美しさに見事にマッチしているユマの美しさもまた絶品です。 この世界観がやや重たく感じられる人は、深く考えずに画面の美しさにひたるだけでもいいんじゃないか、と思うほど。しかし残念なことが1つある。そもそもこのサイトを知るまでこの秀作の名前の片鱗すら知らなかった。高得点やあらすじを知って興味を持ち、近所のビデオ屋でさんざん探したのに、SFの棚のむちゃくちゃすみっこの、これ以上目立たない場所はない!というところに置かれていたので、見つけるまでにかなり時間がかかってしまった。きっと世間でも本作を知らない人、未見の人は多いだろう。残念。これはまずSFは苦手だ、と思っている人こそ観たほうがよいシロモノです。 【おばちゃん】さん 9点(2003-12-18 10:37:31) (良:2票) |
3.この映画はいつも私に勇気を与えてくれます。 心からの感謝を込めて9点献上。 【棘棘棘棘棘棘棘】さん [DVD(字幕)] 9点(2011-01-23 17:10:07) (良:1票) |
2.SFやファンタジーといっても内容は様々で、ただひたすらおとぎ話のような映像を見せつけて「どうです! すばらしいでしょ!」っていうものが多いのですが、ごくまれに、人間をより深く描くためにSFという設定を利用する映画があります。本作はそうした映画のひとつで、その硬質な画面とあいまって人間が持つ運命の苦しみと悲しみが見る人の心に深く染み入っていきます。おとぎ話的映像を期待すると当てが外れますが、数あるSF映画の中の傑作のひとつです。 【きのう来た人】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-02-21 05:38:25) (良:1票) |
1.医学の高度な発達とともに遺伝子の優劣により、区別と差別が顕在化するという近未来世界についての警鐘というよりも、むしろ、ラストのお抱え医師の台詞に象徴されるように、そんな世の中でも人間の人生を切り開いていくのは弛まぬ努力と夢を信じ続ける意思であるというポジティブなメッセージの方に強く感動した。映像と音楽も大変美しく、また、出てくる車が電気自動車でありつつエクステリアはシトロエンだったりしてディーテイルにもかなり凝っている。 【ダイ】さん 9点(2001-09-02 00:27:33) (良:1票) |