《改行表示》 8.1981年の作品。この頃のアメリカって、女子プロレスの興行なりタイトルなりはあっても、まだ「女子プロレス団体」ってのは無かったのでは。日本の方が進んでたのです。 というワケで、女子プロレスラー2人とそのマネージャーのオッサン、という3人組が織りなすロードムービー、人間模様。ほとんど、旅芸人みたいな感じ。いや、ちゃんとした団体に所属してたって大変だとは思うけど、完全フリーランスで、これじゃあトレーニングなんてマトモに出来ないでしょ。 客層も何だか下品で、ちゃんと試合をみてるんだかどうなんだか。そりゃま、今ほどハイレベルな試合でもないし、どうしてもイロモノ扱いされる面はあって。意に沿わない泥んこキャットファイトをやらされる屈辱も。 しかし「そんな彼女たちだってリングを降りたら普通の女の子なんです」みたいな描き方はこの映画ではなされていない。時には弱さが垣間見えても、根底にあるのは奇妙な逞しさ。いい加減極まりないようなピーター・フォークもまた彼なりの逞しさを持ってて、何とも言えぬバランスを保ってます。 そしてクライマックスのタイトルマッチ。先にも書いたように、試合のレベルは高くはないのですが、この試合を20分くらいかけて、これでもかと描きまくる。演出も見事ですが、演じ手の熱意も伝わってきて、試合に引き込まれ、圧倒されます。 【鱗歌】さん [インターネット(字幕)] 9点(2022-08-06 18:36:16) (良:3票) |
《改行表示》 7.《ネタバレ》 素敵なロードムービー。(トランクにはバット所持。) 彼女たちはカリフォルニア・ガールズではなく カリフォルニア・ドールズなのだ(お人形さんたちなのだ) そこが味噌なのだ。 泥臭いストーリーから打って変わって盛り上がりを見せてゆくストーリー。ラストの北米タッグ選手権の登場シーンや演出において若干奇をてらい過ぎた感じもあるが、そこは彼女たちが花咲かせる為の場所であり その素敵な計らいには逆に拍手を贈りたく思えてしまうし、なによりラストのマットシーンが必死で ショウスポーツでありながらショウでなく、だがショウを見せるつもりでないのに結果的にはキチンと立派なSHOWとなっていたという、そして終わってみれば立派にエンターテイメントムービーとなっていたという、素敵なファイトムービーであり、素敵なロマンスムービーであり、とても後味良ろしのロードムービーです。なんでもっと早くにDVD化されなかったのだろうか 埋もれてしまっちゃ勿体ナイ。今からでも遅くない 是非とも陽の目を浴びて欲しく思えてしまえる一作だ。 【3737】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2019-01-14 23:38:45) (良:2票) |
6.《ネタバレ》 映画史において「遺作」というのは基本がっかりな物が多い中、これは数少ない「観て損はない遺作」に入れても良いアルドリッチの一作。「漢」の映画を撮り続けた彼にしては扱った素材が女子プロレスというのは?であり、御都合主義でありきたりなストーリーではあるけど最後は胸熱く心躍るいつもの「アルドリッチっぷり(根性あふれるどつきあいを自分はこう呼んでいる)」に楽しくて仕方がなかった。殴られ蹴られ泥だらけでポロリもありの根性入れまくりの主演女優、ドールズ2人もさることながら2人のマネージャーを演じたフォークの演技が素晴らしい。そしてアルドリッチの演出もちゃんと彼彼女らの侘びしさや苦しみを丹念に描写しているので(個人的にはリノの超豪華なホテルでのカジノでドールズ2人がスロットに興じるシーンがつぼ)、ラストのタイトルマッチへの盛り上がり=勝って成功をつかむ、という展開に説得力がついてくると思う。あと日本の女子プロレスリングテクニックは世界一で有ることを知らしめた(最後にこれが効いてくる)ミミ萩原+ジャンボ堀コンビにプラス1点。2015年初ソフト化は、めでたい。ウィ!ウォン!ドールズ! 【Nbu2】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-11-28 15:12:47) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 これはもう念願のDVD化でした。アルドリッチの遺作である、この映画を輸入盤で入手したものの、いつかは字幕できちんと観たかった。ついに観ましたよ~。アルドリッチといえば、ダーティでも「男」を描く監督と思いきや、こんな女性がらみの映画も撮っちゃうんですね。例え、女性が強くとも(しかもこの映画では体格的にも女性が圧倒的に上)、男は女の花道を飾るためにあの手、この手で準備します。すると女性は、ちゃんとそれにこたえるかの如く、ものすごく強くなっちゃう。(プロレスでも・・笑)結局、女性が強くなるには、ハードなトレーニングもまぁ必要でしょうけど、何より俺はちゃんと見てんだぞ~って男の存在なのかもしれない。これはやはり男の映画ですよ。アルドリッチが人望が厚いのも、うなずけます。やっぱり面白かった!輸入盤、買って良かった~! 【トント】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-05-10 19:13:03) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 コロンボ警部でも、孫に物語を聞かせる祖父でもないP・フォークが口八丁のマネージャーを好演、実にしっくりきてます。ほぼ無名の女優二人のプロレスラー、ドールズの懸命さも良く伝わる人物描写のおかげで、ラストの大一番の大会までにはすっかりドールズびいきになってしまう。ここでがぜん輝くのが海千山千のP・フォークの根回し演出。投資とばかりに札びら切って、反則すれすれのヤラセ応援あり、過剰コスチュームあり。いや楽しい楽しい。資金源がイカサマ博打(とカツアゲ)というのもいかがわしくて良いですな。ストーリー展開は王道なれど、茶目っ気あふれる逸品であります。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2014-05-06 00:21:55) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 あの蓮實重彦先生に「R・アルドリッジ映画の最高峰」と言わしめた、スポ根ジャンルの隠れた傑作。男同士のどつきあいを撮らせたら天下一品だったアルドリッジの遺作が女子プロレスのどつきあいの映画になったのは何とも不思議な感じですが、本作の女闘美ファイトは『北国の帝王』でのL・マービンとA・ボーグナインが見せた死闘を、ある意味で上回る迫力です。 それにしても誰が考えついたか知らないけど、P・フォークをあのマネージャー役にキャスティングした時点で、この映画がレジェンドになることを決定づけた様なものでしょう。女レスラー二人とマネージャーの不思議な人間関係も良く描けています。敵役のタッグチーム“トレドの虎”を単なる憎まれ役としなかったのも上手いところ。このチームのマネージャーが見た目は怖いけど実はスポーツマン・シップを重んじる男だったというのも、アルドリッジ映画には欠かせないキャラです。ラストで、負けた“トレドの虎”をドールスに握手に行かせるシーンは、ちょっと感涙ものでした。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2013-03-13 22:46:59) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 全米ランキング3位になっても尚、次のマッチメイクまでは切り詰めに切り詰めて安モーテルを泊まり継ぎ、果ては生活費稼ぎに”泥レス(ポロリ付き)”までせざるをえないカリフォルニア・ドールズ一行に漂う浮き草人生のペーソス。アメリカ女子プロレス界に生きる厳しさ・侘びしさが観る者にひしひしと伝わってくるかのようだ。派手なリング上でのファイトとは対照的な、裏舞台の地味なディテールを手を抜かずにじっくりと描いたアルドリッチの演出が確実にタメを醸成し、ラストの全米女子チャンプ「トレドの虎」とのタッグマッチで一気に爆発する。とにかく、ドサ回りからラストの決戦まで(ミミ萩原の日本ペアとも対戦)彼女らの試合を惜しみなくタップリ見せてくれるサービス精神が嬉しい。見世物ムービーはこうでなきゃ!ドールズ役の二人も激しいプロレス演技は勿論のコト、なかなか夢を実現できない焦りや対戦相手に選ばれる為に興行主に身を鬻ぐ哀愁まで実にうまく演じていたと思う。コロンボ以外での映画出演では余り感心しないことが多いピーター・フォークも今回のマネージャー役はグッジョブ!といって差し支えない名演だった。イケメンの若造じゃアノ味は逆立ちしても出せまい。ハッピー・エンドで後味も爽やかだし、私もスポ根モノでは「ロッキー」より断然こっちだなぁ。ドールズに乾杯!! 【へちょちょ】さん 8点(2004-12-07 03:10:32) (良:1票) |
1.例えば、バート・ヤングが髭をあたっているところにピーター・フォークがやってくる。ボディガードを間に挟む三人の構図とカッティングの冴え。例えば、安モーテルの一室、二人の女子プロレスラーがベッドに横たわって会話するシーンでは陰影の濃い80年代初頭とは思えぬ照明、などなどなどに魅了されていた、いくぶん冷静だった心は、クライマックス、ドールズの登場で一気にヒートアップし我を忘れ、アドレナリンやら脳内麻薬やらがどくどく体を駆け回る。もう言葉がないっす。リチャード・ジャッケルが全く台詞のない役で登場するわ、ピーター・フォークは指をくるくる回し、リング下で右往左往するわ、リングの上では手と手を高く掲げたハイ・タッチ、ジャッケルの目配せ、バート・ヤングの異様な笑い方、すべてが何もかもを超え、ただただただただ盛り上がる。アルドリッチがMGMホテルのリングで繰り広げるのは、全映画人生で会得した技量の粋と、映画が秘める謎の力だ。「単純に面白い映画」とか「理屈抜きに凄い」とは、こういう映画のことを言う。 【まぶぜたろう】さん 10点(2003-12-06 23:45:43) (良:1票) |