7.淡々と進むストーリーにここまで感情を揺さぶられるとは良い意味で予想を裏切られた。ヒロインの子ども達が年代的に自分の子に重なることもあって、とにかく泣けて泣けて。端から見れば貧しく悲惨な家庭環境であっても、愛する家族を得てささやかな幸せを享受できることが、なんと有り難いことか。思わず自分自身の現況を省みて、この先失う可能性のあるものの大きさに愕然とした。逃れられない運命を受け入れるべく、自分に正直に向き合い、メソメソと惨めに死なない為に精一杯のリストを作り、それをたった一人で遂行していくアンの強さに感動した。私が彼女なら、一人で死んでいく孤独に耐えきれず周りの人間を巻き込んでしまうだろう。そして自分がいない未来に目を向ける余裕などないまま、今の幸せにしがみついて残された時間の短さを嘆いて過ごすのだろうが、それは残される人々を苦しめることでもある。愛する人が余命幾ばくもないと知ったとき、残される者は凄まじい無力感に苛まれることだろう。だからこそ、誰に甘えることなく自力で己の人生を全うさせようとする彼女の潔さは、尊敬に値するものと思える。不倫を責める声も多いようだが、私は死に臨んで自分に正直であることは潔くて良いと思う。アンの夫への愛情の深さはきちんと描かれていたし、残される家族の幸せを願い、そこに自分が居ない運命を受け入れた若きアンにそれぐらいのご褒美はあげたい。 【lady wolf】さん [映画館(字幕)] 10点(2005-01-30 10:50:15) (良:6票) |
6.人生まだまだこれからというときに突然、死を宣告されたら、そのときの、そして死ぬまでの行動って案外この映画のアンのようにジタバタしないものかもしれません。もちろん人それぞれだし、その人の今置かれている環境や立場、これまでどのような人生を送ってきたかによっても変わってくるだろう。でも少なくともアンはそうするだろう、と思わせてくれる。それはアンの家族との関係、生活ぶり、そして旦那以外の男を知らないだとか若くして結婚しているだとか普段は見せない不満だとかをきっちりと描いているから。しかも説明っぽくせずにさりげなく話の流れの中で描いているのがこの映画は素晴らしい。もう一つ大きいのはアンを演じたサラ・ポーリーの自然な演技。子供とじゃれあう姿、子供を嗜める姿がすごく自然で、けして感動を煽る過剰な愛情表現を見せない。だからこそアンならそうするだろうと。そしてだからこそ「死ぬまでにしたいこと」のリストの一番先に書かれた「娘達に毎日愛してると言う」が心に響くのです。 【R&A】さん 7点(2004-11-19 10:59:33) (良:1票) |
《改行表示》 5.この作品を観ながら「メメント・モリ」という言葉を思い出した。ミスチルがアルバムのタイトルにしたりしていたのでご存知の方も多いと思うけれど「死を想え」、すなわち死を感じる事で今生きている事を実感し、充実させよう、という意味(だと僕は思っている)。で、主人公は死の恐怖、独りで死んでいくという孤独感・絶望感に苛まれながらも、余命を自分と、そして周囲の人々を愛する事に捧げようとする。「死」という事実を前にして人は初めて、「本当に大切な事」に気づくのだろうか。こういうことを言うのは気恥ずかしいけれど、やはり「充実した生」とは、どれだけ多く愛し、そして愛されたか、という事なのだと、思う。 【ぐるぐる】さん 9点(2004-07-06 17:32:59) (良:1票) |
《改行表示》 4.死期を悟ってからやりたいことをやろう ってのも哀しいことだ。 何かやるせないな。 美容院の店員の髪型を褒めるシーンがいい。 ささいなことでも、思ったことを口に出すことで周りが幸せになるときもあるのだろう。 【michell】さん 6点(2004-05-23 19:22:49) (良:1票) |
3.まず、自分が余命わずかだったとしたら絶対に黙っていることなんてできない。23歳の彼女は私より年下なのにすごいと思った。特に母としての彼女が見せる鋭いまでの力強い眼には泣かされた。ラストの流れもいい。極力自然に自然にフェイドアウトしていこうとする様に号泣。映画が終わった後もなおじわじわと涙がこみあげてくる映画は初めてだった。賛否両論ある浮気に関しては、私は理解できる気がする。優しい旦那への愛情と違うタイプの男性への恋は、どちらも純粋な感情として両立できるものだと思う。人にもよるけど女とはそういうものだ。 【pb】さん 8点(2004-04-30 10:24:21) (良:1票) |
2.リストアップしていく内容が再婚相手など重要事項から、髪やら爪やらどうでも良さそうなことまで雑多なところに好感が持てます。優先順位はあるにせよ、どの項目も彼女の中では等価値であったように思えますね。旦那さんが凄くいい人だから、浮気はどうかなとも感じるけれど、これまで育児と仕事に追いまくられて、それで23歳で死んじゃうとしたら1回くらいその気になっても仕方がないでしょう。選んだ男性も決して悪い人ではないし。さらに隣にいい人が引っ越してくるし、最後の最後で人の縁には恵まれましたね。あえて、ご都合主義とは言いません。こういうもんだと思います。人生ってのは。 【山岳蘭人】さん 7点(2004-03-28 22:05:08) (良:1票) |
1.「愛している」という言葉が多々使用されているが、結果的に浮気して、旦那と浮気相手の「心」をだまして死んでいく彼女に「未熟」さを感じた。2人の子供がいるにも拘わらず、「大人」に成りきれていない部分も多く、視野の狭さが目につく。この主人公が「男性」だった場合。見るに耐えがたいエピソードになったでしょうね・・・。それに、「若くして死ぬ」=「可哀そう」という見方にも疑問を感じる。人生の「重さ」は「長さ」ではない。彼女より、若くて、病院から出ることも出来ず「死」んでゆく人は沢山います。残された人の事を考えると・・・、などといった涙もこの作品には不要。子供が生まれた時に「いかに今この瞬間が大事であるか」を学ばなかったのだろうか?。とにかく、この作品には「とても大切な事」が抜けている。 【sirou92】さん 2点(2003-11-09 16:13:01) (良:1票) |