5.《ネタバレ》 男ってのはいつの時代も、可愛い乙女に弱いものです。さぁ喧嘩だ、といざ刀を抜いたらお浪さんが手を怪我して、慌てふためき仲直り。そして朝まで飲みつぶれ。って何て素敵な人間たちだろうか。美しい女性を咲かすため、自らはただ散っていく。そしてその血は静かに流れ・・・。あぁ切ねぇ、だけど少し憧れてしまう。
「あんたは幸せな時代に生まれた」って高齢の人にはよく言われたけど、これだけ凄い映画を見せられたら山中監督の映画をもっと見てみたかった、そう思わずにはいられない。それは叶わずとも日本人はもっと山中監督の映画を観るべき。 「最近の若者は山中貞雄と聞いてどれだけの人が分かるのだろうか」なんていう文章なんかを読んだりするが、大丈夫、俺がいる。 【紅蓮天国】さん 8点(2004-05-10 22:35:48) (良:3票) |
4.すべての登場人物たちが物語を把握することなくすれ違ってゆく。我々観客だけが把握する。終盤にかけて大筋は把握してゆくのだが、細かいところは把握していない。よって娘を助けるという一致した終焉に向かってゆくクライマックスは、けして全てを理解した者同士ではなく、人間味を持ちにくい世の中にあって、汚れを知らぬ光を消し去りたくないという想いであったり、女の意地であったりというそれぞれの想いが交錯しながら進行していく。真相を知らなくても人間としての尊厳や情というものがたったひとつのエンディングへと誘う。人間らしく生きることを選択し散ってゆく者たちに涙せずにはいられない。悲劇でありながら、快活な演出と怒涛のクライマックスが娯楽に富んだ名作へと昇華させている。原節子が身売りを決心するシーンの画面に立ち込める重い空気を今でもはっきりと覚えています。 【R&A】さん [映画館(字幕)] 8点(2005-12-27 13:12:35) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 映画を見てて涙したことはなんべんもあるが、嗚咽が漏れたのは初めて。家で一人で見ててよかった。河内山が「お静は俺の女房だ、河内山の女房だ」と台詞を言い、次の瞬間板戸越しにその台詞を聞いたお静の顔がアップになるシーンです。 【伯抄】さん [DVD(字幕)] 8点(2005-05-06 22:34:34) (良:2票) |
2.『人情紙風船』はあまりに出来過ぎてるので、あえて『河内山宗俊』を。 あまり記憶が定かじゃないけど、いちばんシビれたところは、たしか、中村翫右衛門の最後のセリフと、残した爪楊枝だったと思う。あの「爪楊枝」みたいのの映像だけで、この映画は傑作だと思いました。物語としても、『人情紙風船』よりこっちのほうが面白くて好きかなあ・・。なんか『人情紙風船』て、あらゆる意味で完璧すぎるんだもん。面白いとか面白くないとかじゃないでしょ、あれは。 それから原節子のことですが、原節子って日本映画には大柄すぎて顔もバタくさいと思うけど、この映画のときの原節子は、まだ若くて可憐な感じでいいです。とくに原節子がはじめに横顔で映し出されるシーンは、たぶん歴史的なシーンなんでしょう。 ・・気持ちは9点以上なんだけど、個人的なバランスの問題で8点にしちゃうのを許して。(T_T) 【まいか】さん 8点(2004-03-20 12:57:35) (良:2票) |
1.そこまで尽くすってのが理解しにくいところだけど、それが原節子だったらありえるのかもと思った。10代の原節子はすごいかわいいし、俯いた感じがとても綺麗。お静に罵られて飛び出すシーンが凄いかわいくて。美しさの罪を感じた。 【バカ王子】さん 8点(2004-05-11 21:35:02) (良:1票) |