6.《ネタバレ》 ブッチとキッド、ニューシネマを代表する二人のキャラクターにはやっぱりひかれてしまいます。反体制的な若者の映画ですが、実はキッドは泳げないし、ブッチは人を撃ったことがない。ギャングという犯罪者であり、破天荒な二人ながら、弱さ、滑稽さを同時に持った彼等にはついつい共鳴していってしまいます。「おれは実は人を撃ったことがねーんだ」「そりゃ、ありがたいお言葉だ」なんてカッコ良い台詞の数々はゴールドマンの功績でしょうか。二人の素性は最後の最後まで完全には明かされず、こうした気の利いた台詞のベールでうまくかわしていきます。ラストはいろいろな選択肢があったと思いますが、二人を正面から捉えた静止画で止めたことで、エッタの「あなたたち二人の死ぬところは見ませんからね」を実現し、彼等を永遠の存在へと変えていきます。冒頭のブッチが銀行の下見をする場面は、セピア調で情緒があるにもかかわらず、引きの画をさけて大胆にカットを割り、ファーストシークエンスとしては最高の出来。一気に作品に引き込む見事な導入部です。ニューシネマの作品群では特にお気に入りの一品です。 【スロウボート】さん 8点(2004-01-18 18:00:25) (良:3票) |
《改行表示》 5.小学生だった私に三人はカッコ良くてキラキラ輝いて眩しかった。40年以上の時間を経た今の私に三人は瑞々しい若さでキラキラ輝いていて眩しかった。罪と罰を見せつけるラストショットは昔も今も物悲しい。 2022.11.3追記 劇場鑑賞が叶い感慨無量の一時を過ごさせて貰えました。 |
4.《ネタバレ》 この二人、考え浅くてまじめに働くことが嫌だっていう馬鹿野郎ですからね。P・ニューマンの人懐っこい笑顔と、レッドフォードの端整さが無ければこうまで人を魅了しないだろうなあ。刹那的な生き方とも言えるのに、筆致はあくまで軽やか。明るい旋律のrain dropsと、心が開放されるような大平原のショット。馬で駆け抜ける二人の、拘泥するものの無い生き方に憧れすら抱きます。アメリカンニューシネマの人物たる故、破天荒な人生の落とし前は即ち蜂の巣。悲劇的な幕切れではあるけど、画をとめて音のみ残したことと、直前の二人の会話のこの上なく気軽な感じが女々しい感傷を嫌っているようで、最後まで一本気なセンスの良さを感じる演出でありました。 【tottoko】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2014-06-20 19:44:53) (良:1票) |
3.ニューシネマの文脈で語って持ち上げてしまうよりも、いつの時代にも普遍的な、粋で洒落たピカレスクロマン、と言っておく方が、この作品の魅力の本質を伝えられる気がする。セピアカラーの使い方、バート・バカラックの音楽、ブッチとサンダンスの掛け合いのセリフ、西部の自然を鮮やかに映し出すカメラ・・・どこをとっても本当にオシャレ。素晴らしい脚本と演出に支えられ、エバーグリーンな作品になっている。ニューシネマの精神や60年代の時代性がテーマであったなら、こんなに美しく軽やかな作品ではなく、もっと暗く重たい悲劇になっていただろう。そしてその軽やかな印象を大きく左右しているのはサウンド。全編にわたって非常に静かで、無駄な音がしないため、ここぞという時にバカラックの旋律が際立つ。この話を現代を舞台に再現しようとすれば、実写ではリアルになりすぎて、独特のロマンティシズムが薄れてしまう。だから、この作品から多大な影響を受けたであろう我らが「ルパン三世」は、アニメでなければ成立しなかったのだと思う。 【眠い悪魔】さん 8点(2004-03-05 23:24:20) (良:1票) |
2.大金の為なら人殺しをもする強盗二人を、シャレたタッチの青春映画に仕立て上げたジョージ・ロイ・ヒル監督の手腕は見事。そして、その強盗に扮したポール・ニューマンとロバート・レッドフォード。この二人、キャサリン・ロスをまん中に、魅力たっぷりに無法者を演じ切っており、思う存分観客に感情移入させてくれた。有名なバート・バカラックの音楽「雨にぬれても」も素晴らしく、二人で楽しそうに自転車を乗り回すシーンや、哀切を極めたラストシークエンス等を鮮烈に思い出させてくれる。 【光りやまねこ】さん 8点(2003-09-30 10:32:16) (良:1票) |
1.セピア・カラーのオープニングからストップモーションのラストまで、鮮烈な印象を与えてくれた作品。主人公の二人が自由を求める刹那の生き様が爽快であり、そして切なくもある。誰もが一度くらいは耳にしたことがあるであろうB・バカラックの名曲、「雨に濡れても」が流れる、例の自転車のシーンの美しさ。幾たび観ても感動を覚えます。本作品はアメリカン・ニューシネマの代表格として多くの評論を受けていますが、時代背景を考えた時に泥沼化したベトナム戦争の影響を大きく受けたことは想像に難くない。アメリカの大国としての威信は失墜し、精神面でも文化面でも、抱える様々な矛盾や虚構が大きな問題となった。本作品においても、夢や希望、自由といったフレーズが現実には空しい物なのだよと訴えかけているかのようだ。しかし、本作を観終わって心に残る爽やかな感動は一体何だろうか?スクリーンの中の男達は活き活きと輝いている。絶望感や悲壮感は微塵もないではないか。そして映像は余りにも美しい。何かの書評にあったかも知れないが、確かにこれは優れた演出と名優が織りなした、自由という名の下に謳歌した「青春期」への鎮魂劇ではないのだろうか・・・。そういった意味で、本作はいわゆるシニカルなニューシネマというジャンルには収まっていないと、個人的には強く思うのだった。多くの名画を世に送り出したヒル監督のご冥福をお祈りします・・・。 |