10.かつて在った国・ユーゴスラビアの歴史を描いた、パワフルでコミカルで、とてもユニークな作品。戦争の滑稽さ、悲哀、残酷さを描くと同時に、憎めないし切り離せないが素直に愛せない故国への憧憬が描かれていた。 国の想いで1つだった過去、チトー亡き後、混迷し分断され…祖国が失われる哀しみが、ジプシー・ブラス音楽の音色にのって、独特のユーモアと哀愁、痛みで彩られていた、とてもとても力強い作品でした。 【泳ぐたい焼き】さん [ビデオ(字幕)] 9点(2009-02-11 10:41:52) (良:2票) |
9.2時間半はアッという間に過ぎ去るのですが、見た後もの凄く疲れる映画。なぜ疲れるかというと、それはこの映画があまりにもパワフルだからです。エゴ剥き出しの描写、戦争による狂気、シニカルな笑いと、もうあらゆる要素が詰まっており、恐らく内容的には4時間モノの映画に匹敵する濃密さ。これを最初から最後まで全力疾走で見せられるのはメチャメチャしんどい。でも、見ている間はそれを感じることなく、見終わった後にグッタリしてしまうのです。また、印象的なシーン、美しい絵になる構図が多く、鮮明に脳裏に焼きつきます。さらにジプシー・ブラス系の音楽も圧巻。もう、この映画を凌ぐ圧倒的なパワーを持った映画に、この先出会うことなんかないんじゃないか、とさえ思わせる、もの凄い映画です。【2011.10.10追加】15年ぶりのリバイバルに馳せ参じたところ、予想に反して大混雑(連休だったからだね、きっと)。小さい劇場とはいえ、なんだか嬉しかった。もちろん、15年ぶりに大画面でまたこの映画を見られたことはもっと嬉しい。何度見ても思うが、見ている最中はゼンゼン長さを感じない。終わった後、心地良い疲れが襲ってくる。そして、何度見ても感動し、面白いと心底思う。こんな映画に、生きている間に出会えたなんて、本当に幸せだと思う。期間限定のリバイバルだけれど、もう一度行っちゃうかも。今度いつスクリーンで見られるか分からないもんね。DVDで見るのとはやっぱり違うんだ。ああ、本当に素晴らしい映画!! 【すねこすり】さん [映画館(字幕)] 10点(2007-08-08 17:14:50) (良:2票) |
8.エミール・クストリッツア特集上映「Unza!Unza!Kusturica!2017」にて鑑賞。 本当は本邦初公開の”完全版”(5時間14分)を観たかったのだが、悲しいかな私の地域では”通常版”のみの上映だった。 通常版の2時間50分ですら長いのに、そこから2時間半近くも上乗せされているなんてヤバい、狂ってる。でも観てみたい!
さて、こっから”通常版”のレビューですが、何というか一言では言い表せない作品だ。 色んな部分で狂気を感じるし、クストリッツァ独特の演出は他の作品と併せて観れば観るほどハマってしまう中毒性がある。 はっきり言って訳がわからない内容なんだけど、鮮烈に印象に残る場面がいくつもある。 特に彼の作品には多くの動物が登場し活き活きと活躍していることも特徴だが、本作では戦争の悲惨さを表す為かやや扱いが酷かった。しかし、そんな中活躍してくれるのがチンパンジーだ。愛らしい表情で和ませてくれるし、時に人間に復讐したりしてなかなか憎い役所だ。彼には演技賞をあげたい。
戦争の悲惨さを時にリアルに描きながらも、寓話的に作られたこの世界では人々は決して悲しみ暮れる事なく、永遠に続くかと思われる宴、いや狂宴に身を投じていくのだった。その宴のテンションは異様で、観る者を圧倒するだろう。ただ、かなり好き嫌いの分かれる作品だと思うので注意は必要。ちなみに、最新作の「オン・ザ・ミルキー・ロード」はこれに似た作品でありながらもかなりマイルドなので、先にそちらを観て気に入ったら本作を観るというやり方もおススメです。 【ヴレア】さん [映画館(字幕)] 9点(2017-10-21 23:43:50) (良:1票) |
7.悲しい。イデオロギーとエゴ、金欲と愛欲にまみれた狂騒のうちに、それぞれの人生は、はかない幻のように終わってしまう。そして気がつけば、彼らの祖国もまた、まるで儚い人生と同じように、夢のように消え去ってしまう。 この映画の悲しみが、祖国愛を強く喚起するためのものだと解釈することはできます。そして、そういう解釈は政治性を帯びずにはいられません。私は、祖国というものは元来、人生と同じようにもろく儚いものなのだろうと思うけど、かりにそう納得したとしても、それはそれで、また逆の意味での政治性を帯びる。 この映画がはらんだ政治的主題を、日本人の自分がどう受け止めるべきかを考えるのは、正直とても難しいけれど、そういったテーマの難しさは措いたとしても、この作品の脚本の見事さと表現の力強さには感嘆せずにいられません。たんにバルカンブラスを聴かせるだけの映画じゃあなかったです。 【まいか】さん [DVD(字幕)] 9点(2012-10-03 02:37:35) (良:1票) |
6.これは凄い。映画のBGMの半分以上を映画の中を演奏してる映画は今まであっただろうか。今は亡きユーゴスラビアを舞台に50年という間を171分のruntimeに濃縮しまくってるぶっ飛んだストーリーは最初から最後までテンションたけぇ~。そしてみんなハチャメチャしすぎ~(笑)空襲シーンや戦闘シーンの迫力がありすぎで普通にビビったし戦争に巻き込まれた人たちの悲劇なのに見ていて思うのは喜劇なんですねこれが。その辺エミール・クストリッツァの演出といいますか、見事すぎですがその中でもこれはハッピーエンドといってもいいかもしれないクライマックスがまさかの大円陣。みんな同じ所に行ってしまったからこそできるこの終わり方、この映画はやっぱり喜劇かなぁ。 【M・R・サイケデリコン】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-06-06 00:25:30) (良:1票) |
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5. 映像からビシビシ天才が伝わってきて、この変な世界にもっと何時間でも居たくないけど居たいと感じさせるセンスが凄い。 設定や世界観、紛争なども非常に良く作り込まれていて、箱庭的でありながらリアリティがあるという一番難しい見せ方を受け手が気づかないと言う作りには、見終わった後びっくりすると思います。
音楽も秀逸で、完成度も中毒性も高くて世界に引き込まれる。再生ボタンを押す度に勝手に三時間後の未来に飛び込む。それも何度でも。非常に危険な映画だ。 【黒猫クック】さん [DVD(字幕)] 9点(2008-10-19 18:27:42) (良:1票) |
4.爆発的なメッセージ性と爆発的な娯楽を, ジプシーブラスに乗せてどこまでもいく。 これは最高の人間賛美歌だ!!
親友を裏切り, 家族を殺し, 戦争はどこまでも続き, 愛は果てしなく, ジプシーブラスは永遠になり響く... 【突っ込み】さん [ビデオ(字幕)] 10点(2007-08-10 17:05:16) (良:1票) |
3.並の映画を30本集めても、この稀代の名作1本に及ばない。笑い・涙・愛・毒・狂気が怒濤の如く押し寄せてくる壮大この上ないスケール。音楽も最高(当然サントラ買った)。ミリャナ・ヤコヴィッチの美貌と巧さも特筆もの。 【丹羽飄逸】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2007-01-02 09:35:31) (良:1票) |
2.映画館でみて、監督・脚本のエミール・クストリッツァの想像力のパワーに圧倒されました。ユーゴスラビアの現代史を、こんなかたちで描く事ができるなんてと驚愕したことを覚えています。ブラックユーモアと政治的なメッセージの絶妙なバランス。ふざけたマルコのキャラと悲惨な戦争や民族分離のコントラスト、そして美しく印象的なラストシーンまで、「映画」の持つ力を見せつけられました。 【ころりさん】さん 10点(2004-03-08 18:06:14) (良:1票) |
1.一本だけ映画を選べと言われたら、僕はこれを選びます。ユーゴの体制とか祖国崩壊とかも分かる、分かるけどあんまり解説をして欲しくない。人間てどこの国にいても変わらない、悲しくも、愛しく、コミカルなもんです、それを感じればいいんです。なんて、ちょい自己陶酔してしまう程、この映画はすごいんです。 【エミール】さん 10点(2003-01-09 07:51:44) (良:1票) |