5.実話の映画化というのは、自分の中で反則なんですね~。原案脚本を、いわば神様のストーリーに頼ってるわけでしょ。でもこれは別。作品にみなぎる何かの力は、傑作といえる作品にしかないエネルギー。そしてそして、ケビン・ベーコンは本当に素晴らしい役者だああ!彼がアカデミーをかすりもしなかったことで、私の中でオスカーの権威は地に落ちました。あんなもんもうどうでもいいです。ペンギンにでもくれてやってください。 【あにさきすR】さん [DVD(字幕)] 9点(2005-08-23 10:29:05) (良:1票)(笑:1票) |
4.エンド・クレジットが終わって、画面が真っ黒になるまで反芻出来るする作品なんてものは、数えるほどしかない。本作は、その数えるほどのひとつだった。まず、構成がいい。見始める前は、K・ベーコンが虐待する側の看守役で出ていた「スリーパーズ」みたいに、えんえん身も蓋もない虐待シーンが続いたら嫌だなぁと、半ば覚悟して見た作品は、無論、虐待は描いていたが、虐待の事実は明確に伝えながらも、「もう嫌、消したい」と思うほどの心理的圧迫に至るまでには避け、避けながらも、回想やフラッシュバックを巧みに使って虐待の事実を伝えている構成が、重くて痛い作品を、最後までまじろぎもせずに見せてくれた。心理描写も、見事。「穴蔵」の中で掛け算をして必死に正常を保とうとするヤング、3年ぶりに「穴蔵」から外に出て「初めての殺人」に至るまでのヤングに届く「音」のリアルな「騒音」は、騒音に慣れた都会人が周囲には人工的な音が何もない僻地に行った時に感じる「静けさの怖さ」以上のものだろう。孤島の中で、太陽の光はありますよ、水も食料も万全ですからと言われて、立った一人で置き去りにされたとして、人間はどのくらい耐えられるだろうか。自分の裁判の行方より、現実とは乖離した野球の話に熱中するヤングの、現実を考えたくない、この「楽園」で一時でも忘れたい心理。何より、「女を知らない」ヤングに、女を提供した時には、「ちょっと待ってよ」と思ったが、それがヤングの傷の深さに繋がるに至って、自分の浅はかさに恥じ入った。「あそこに戻るくらいなら死んだ方がマシだ!!」これこそが「告発」で、K・ベーコンの渾身の一作。そして、今の、ブッシュ政権のアメリカと、どうしてもリンクしてしまう。「あいつらは、どうしようもない」「力で分からせるしか更正出来ない」「我々は正しいんだ」。本作がオスカー候補にもならなかったのは、同国人の中で起こったことさえ汚点は見たくない、汚点はあくまで隠蔽したいという理由であれば、アメリカ人という国民の良識には、がっかりするしかないが、日本では、現在進行形で「名古屋刑務所」という実例がある以上、他国のことは非難できない。古今東西、「我々が正義だ」と主張する奴ほど、手に得ない人種はない。ヒトラーも、太平洋戦争当時の日本陸軍も、「我こそ正義」と、叫んだのだから。あとは、映像効果を狙ったんだと思うが、カメラ動き過ぎ。頻繁にパーンされて、ちょっと疲れた。 【由布】さん 9点(2003-05-07 01:41:18) (良:2票) |
3.塀の中には人権が無い・・・この作品は人権どころでは無い、人道が無い。殴る蹴るくらいのことならあるかもしれないし、それなりの理由(暴れた、脱走した)があって短期の独房行きなのも納得はいくが、この作品でその様なことは無い。この副所長のすることは人間で無い他の生き物に対してもしないようなことを平気で人間に出来るところが恐ろしいし、精神的異常があったのはコイツの方だとさえ思う。アルカトラズに戻るくらいなら死んだ方がマシだ、その通りだ。 【taron】さん 9点(2004-07-04 00:09:54) (良:1票) |
2.衝撃的すぎます。思い出すとアキレス腱がいたい(ような気がする)。 【pani】さん 9点(2004-02-18 15:04:17) (笑:1票) |
1.恐怖、怨恨、絶望・・・。映画全体は負の感情に満ち満ち、反動的な力によって支配されている。対抗するは、そのような絶望の最中においてもあきらめずに、最後まで抵抗する主人公のひたむきな姿である。絶対的支配に抵抗するアウトローと呼ばれる者に、ある種の理想像を見出すことが多々あるように、私達視聴者は主人公に対し、絶対的な者からの離脱を要請し、それを成し遂げる主人公から感動を享受し、賛美を贈るのである。この映画をみて、感動したり、面白いと思ったりするのはこうした処に拠っているのではないだろうか。
【ノマド】さん [DVD(字幕)] 9点(2003-06-26 19:59:06) (良:1票) |