《改行表示》 5.題名から日常を様式美化した小津風味の作品かと想像したら、とんでもなくて、出てくるのは癖のある人物ばかり。それでもホームドラマに見える理由は「家」の印象が強いからだろう。ホームドラマの主役はほかでもない「家」だと確認した。山崎努が斉藤由貴に言う「この家でまともなのはあんただけ、あいつにはもったいない」このセリフといい、間の取り方といい絶妙。確かに夫の佐藤浩市は苦しい家庭環境で育った反面教師か、ある種の会社信仰を持つ体裁屋。会社員と父親の喧嘩を仲裁するときにとっさに出る言葉が「あなた会社クビになっちゃうよ」。 サラリーマンは背広を着たばくち打ちと暗示し、山崎努の他人からどう思われようが気にしない気持ちよさとか、説明が多過ぎる最近のドラマとは対照的に豊富な行間が味わえる作品。 【michell】さん [DVD(邦画)] 7点(2015-04-09 23:53:02) |
4.人情味あふれる喜劇、といったところでしょうか。悪人らしい悪人は一人も登場しません。平凡な人たちがただ平凡に生きようとしているだけなのに、なぜか誰かと衝突して泣いたり怒ったり。人の人生そのものが滑稽であることを痛切に描いた風刺の映画でもあると思います。人生は思い通りにいかない厳しいもの。でも疲れた時にこそ、一度立ち止まって周りをゆっくりと見渡す余裕を持ちたいところです。日本の風景、巡り巡る季節、新しい命の産声・・。たまには日々の喧騒を離れて、ほっとするもの見つけてみませんか。もっと心にゆとりを持って、のんびり行きましょう(生きましょう)、と相米監督は伝えたかったのではないでしょうか。 【タケノコ】さん [DVD(邦画)] 7点(2015-01-23 18:03:12) |
3.良くも悪くもこのとき相米監督は肩の力を抜いたのだと思う。彼の人の胸倉つかまえ画をぐいぐい突きつけてくるような感覚は無い。 |
2.何となく不思議な感じが漂う。良く言えば家族とは何か?て映画であり、そういう意味では色々と考えさせられたり、しかし、悪く言えば相米慎二監督にしては、普通すぎる。作品全体に力強さが感じられない。タイトルにある「春」の空気とでも言うべきか?は感じられる。家族の再生がテーマなのだろうけど、どの登場人物も人が良すぎる。はっきり言えばお人よしの塊、集団なのである。地味な内容なことは承知の上で、私の好きな相米慎二作品とは違う違和感、上手く言えないのだが、何か違う気がしてならない。個性的な人間、登場人物それぞれの面白さなどはそれなりに伝わるし、つまらない映画でもない。ただやはり何かが違う。その何かはおそらく相米慎二監督自身も感じていたように思えてならない。確かこの作品は相米慎二監督の最後から二つ目の作品である。この映画の中で描かれている「家族」「人間の死」といったものを見て、ひょっして、既にこの時から相米慎二監督は自分が重い病に冒されていたのではないかと?何となくそんな気がしてしまうのは私だけだろうか? 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2010-05-01 17:50:05) |
1.地味ですが、いい映画でした。ちょっと淡々とし過ぎの感もありますが、ストーリーの重さと軽さのバランスがいいんですよね。山崎努を始めとする役者の演技も良かったし、何より、「日常の微妙な空気感」とでもいうようなものの描き方が好きです。 【ぐるぐる】さん 7点(2003-11-16 20:15:16) |