6.もう邦題から凄すぎる、裁かるゝって…。感想はジャンヌ・ダルクが一日で一気に老けたという感じ。最初は呑気にミカンなんか食べながら観ていたのだけど、皮を捨てに行こうにも矢継ぎ早に画面に繰り出されるショットがあまりにも強烈すぎて、リモコンのストップボタンが押せず結局そのまま最後まで観てしまいました。映画というよりは写真を連続で見せられているという印象が強かったけど、ラスト数十分間の流動感あふれる映像はやはり映画ならではのものだと感じました。火刑に処されているジャンヌを見て涙する人々のカットはあまりにも感動的、というか壮絶。壮絶と言えば主演のルイーズ・ルネ・ファルコネッティ、まるで実録としか言いようがないほどの熱演(というかそもそもあれは本当に演技なのか?)。「ジャンヌよ、貴方は一体何を見つめているのですか?」、、今はもうしばらくこの衝撃を噛み締めていたいので一先ず7点で採点します。 【かんたーた】さん 7点(2005-02-06 12:54:14) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 知って驚くしかないのは、この歴史的傑作のオリジナル・バージョンが80年代まで観ることが出来なかったということでしょう。28年製作のフランス映画ですけど試写の段階でカトリック教会の検閲で大幅にカットされ、劇場公開され世界に配給されたのはこの改変版だったわけです。サイレント映画ではよくある事例ですけどその改変版のフィルムも30年代には火事で焼失、80年代にオリジナル版のフィルムが奇跡的に発見されるまで、海賊版バージョンしか観ることが出来なかったんだそうです。 この映画の感想はもう“衝撃の映像体験”の一言ですね。ジャンヌが火刑されるまでの審問裁判のシークエンスでは、バストショットすら皆無のもう俳優たちの顔のどアップの連続、ジャンヌを含めてノーメイクの俳優たちが繰り広げる演技というか顔芸には圧倒されっぱなしです。デジタルの力もありますけど、サイレント映画とは思えないシャープな映像は圧巻です。ドライヤーは本来トーキー映画として製作したかったそうで、サイレントながら俳優たちにすべて脚本通りに演技させたそうですから、現代の眼でも違和感がない。ジャンヌ・ダルクを救国の英雄として描くのではなく、ルーズ・ルネ・ファルコネッティが演じるのはとても19歳には見えないくたびれた田舎の娘としか見えないのもリアル過ぎでしょ。後にはイングリッド・バーグマンやミラ・ジョヴォヴィッチまでもが演じるキャラですが、ファルコネッティは歴代ジャンヌの中ではもっともアレな女優だったんじゃないでしょうか。 ラストの火刑はほんと観ていて辛くなる、まさにトラウマものです、なんせジャンヌが焼けぼっくりになるまで見せるんですから。また刑場となるルーアン城の遠近法を無視したようなセットがまた印象に残ります。美術は『カリガリ博士』のヘルマン・ヴァルムの仕事ですから、納得です。でもこの美術構成は、ケン・ラッセルの『肉体の悪魔』でそっくり再現されており、美術担当デレク・ジャーマンの拘りが感じられます。 【S&S】さん [DVD(字幕)] 8点(2022-06-06 22:08:33) (良:1票) |
《改行表示》 4.【史上最高の映画】は?と聞かれたら私はこの映画を挙げます。 これほど映像が洗練されていると感じた映画はありません。クローズアップはもちろん、バストショットのカットでも背景が白く何も無い。撮られるのはジャンヌ・ダルクと審問官の顔面ばかり。いろんなアングルを駆使しカット割りのテンポも良いですが、画は単調だと思います。 それでも一つ一つのカットの白と黒の美しさ、特徴的な顔立ち、豊かな表情が画面に強く惹きつけます。 この映画と比較すると他の映画の画面構成が無駄だらけだと感じてしまいます。無駄のある映画が無駄の無い映画を越えられるはずがありません。(…と思います。) 【エウロパ】さん [DVD(字幕)] 10点(2012-12-11 00:48:58) (良:1票) |
《改行表示》 3.《ネタバレ》 ストーリーが重い。重すぎて、とてもじゃないけど入り込めませんでした。 また、序盤から同じようなジャンヌのアップばかり。同じような表情、同じようなアングル、しかも司教との問答も特に進展がなく、チョット退屈だったかなぁと・・・。 けど、サイレントだったからまだ雰囲気が出ていて良かったものの、これがもしトーキーだったら・・・ここまで評価される作品にはならなかったでしょう。 クラシック映画好きの自分としても、この映画だけはムリでした。 【もっつぁれら】さん [映画館(吹替)] 5点(2007-09-30 02:04:59) (良:1票) |
《改行表示》 2.言うまでもなく映画史にその名を刻むクロースアップの映画なのだが、問題なのは顔のクロースアップによって構成されているという点にある。裁判という言語的な題材をサイレントで撮る。顔で撮る。表情で撮る。それはけして非言語的ではなく極めて言語的な試みである。精神的事実を、魂を、敬虐に語るには表面的な言語では限界があり、表情という抽象性にこそ術がある。ただの切り返しショットではない。精神性を抉り出すかのようなローアングル、行き交う視線、静観するハイアングル。室内にも拘らずあまりに動的な映像は言語的積極性に溢れており、そのモンタージュによるところの動は火刑にいたって至高のものとなり、情動を与える。その精神性を唯一の術によって顕在化した非のない映画である。 【stroheim】さん [ビデオ(字幕)] 8点(2006-12-29 02:25:41) (良:1票) |
1.髪を切られるジャンヌ。白い布の上にハラハラと落ちる髪の毛。恐怖に独房を歩き回るジャンヌ。処刑場には市が立ち、様々な大道芸人が芸をやっている。その悪夢のような光景。火炙りにされ、炎の中で項垂れるジャンヌ。醜いものを醜く撮った、とことんリアルなアップとカメラ。怖い、すべてが怖い。ああ怖・・・・ああ、怖! 【ひろみつ】さん 10点(2004-05-01 23:09:13) (良:1票) |