6.《ネタバレ》 主人公二人組の魅力や、ギャング二人組のおかしさ(トランクを開けるシーン等々タランティノの「レザボア~」のパクりではあるが)、または〝死ぬ前に海を見たい〟や〝母親にキャデラックを送りたい〟という男の願望には思わず共感してしまいますし、けっこう好きなのですが・・・、この映画が致命的なのはロードムービーであるのにもかかわらず全く移動が感じられないというところです。冒頭はギャングの風俗店ですが、主人公たちが海にたどり着く前に最後に立ち寄るのがこの場所となっているので、位置関係としてはギャングの店が海の近くにあるという事になります。従って病院からギャングの店方面へ向かっているということになるのですが、あの二人組のギャングがちょくちょく主人公たちのもとに訪れてはボスのもとに戻るので、主人公の二人が全く前進せずに同じところをグルグル回っていたように思えてしまい、さっぱり海への道を歩んでいるという感じがしないのです。ただ、ラストシーンとそこにかかる〝天国の扉〟はやっぱり良い! 【ミスター・グレイ】さん [DVD(字幕)] 7点(2008-07-02 18:31:14) (良:3票) |
5.《ネタバレ》 世間は死にゆく人間に対して寛容です。出来るだけ望みを叶えてあげたいと思う。ただし、無制限ではありません。当然ながら度を越した我侭や犯罪はダメ。本作はその設定上のウィークポイントを、コメディ色を強くする事で緩和しています。銃撃戦は派手なのに誰一人怪我さえしない。登場人物たちは、みな憎めないオトボケぶり。“笑って済ませられる”調整が施されています。この匙加減が上手かった。笑いの中から核となるヒューマンドラマが浮き立つ仕組み。ラストは涙涙のエンディングを予想していたのですが、それは軽やかに裏切られます。念願の海にたどり着いた2人の男。想像していたような幻想的な風景も無ければ、期待していた大らかさも感じられない。目の前に在るのは、荒れ狂う海。頬を刺す強風と波しぶき。優しさの欠片もありません。決して夢に描いた海ではなかった。でもそれが、“らしい”と思う。人生は思い通りに行かない。でもゴールにたどり着いただけで上等じゃん。喜びも感動も無く突っ伏す男。その姿に自分を重ねて胸を熱くするのです。 【目隠シスト】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-11-06 19:17:05) (良:2票) |
4.《ネタバレ》 男は単純だ。人生に必要なのは、酒、たばこ、女、車。余命いくばくも無いと宣告された二人。やけになって煙草を吸うし、酒は飲む。あんなところにテキーラがあるのは実に不思議だ。「天国じゃ海の話題が流行っているらしい」「おれはまだ海を見たことがないんだ」「じゃあ、見に行こう」酔っ払った二人は高級ベンツを盗んで出かける。途中でお金が必要となって、ガススタンド強盗と銀行強盗。驚くほどうまくいく。また車のトランクから大金の入った鞄も出てきた。こうして道具立ては揃い、ギャングと警察の追求をうまく逃れて無事海にたどり着けるかの、痛快なロードムービーが始まる。ギャングがトジなのはいいが、警察が間抜けすぎるのは笑えない。やりすぎてはいけないのだ。海を見るのが目的だったが、お金が入ったので予定変更。もうひとつのやりたいことをする。一人はプレスリーの真似をして母にキャデラックをプレゼント。一人は女二人と寝る。ギャングに捕まり、絶体絶命のピンチ。だが大ボスが粋な計らいを見せる。「海を見に行きたいんだろ?行きな」最大のサプライズだった。大ボスの人生ドラマを少し描いておいて欲しかった。銃撃戦があっても弾は人には当たらない。車が崖から落ちても平気。大ボスは許してくれる。本当は二人はすでに死んでいて、天国にいるのだろうか?結局強盗で奪った金は戻し、損をしたのは大ボスだけ。残った金は見知らぬ誰かに送る始末。最後までギャグを忘れない二人。二人は海に辿りつくが、もう終りだと思うと寂しい気分になった。目的があるということが人生を価値あるものにしている。彼らにはもう目的がない。ささやかな目的を達して、彼らは死ぬ。ささやかな人生だけど、つかの間の夢をありがとう。 【よしのぶ】さん [DVD(吹替)] 7点(2009-10-24 02:56:07) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 致命的な重病を患った二人の若者のちょっとオフビートな逃避行。彼らは天国に行く前に海を一度見てみたいと海を目指す。海は数々の映画で絶望の象徴や終着点の暗喩として登場する。最も有名な例はトリュフォーの「大人は判ってくれない」だろうし、北野武の「HANABI」も長年連れ添った夫婦は人生の終わりに海を目指す。恐らく全ての大陸において歩き続けた先に広大な海という終点が広がっているからだろう。本作はその様な象徴として描かれることが多い海を天国への切符、ある意味希望の象徴として描いている点が面白い。主人公二人は海を目指していなければあの病院で自身の望みも果たせぬまま死んでいただろう。海と言う絶望・終着点が皮肉にも彼らを希望へと導いたのだ。ルディは最後にマーチンに「(死ぬのは)怖くないさ」と言う。最後に海を見ることで天国への扉を開けた彼らは雲の上で仲良く駄弁っていることだろう。 【民朗】さん [DVD(字幕)] 7点(2012-07-29 18:38:54) (良:1票) |
2.《ネタバレ》 やっと二人が見ることのできた海が、とてもきれいとは言いがたい荒れた大海原(浜だけど)だったのがすごく印象的。きれいな穏やかな青い海ではなく、あの海だったのがドンときた。 【らいぜん】さん 7点(2003-11-25 22:30:15) (良:1票) |
1.余命わずかな二人が、海を見るために起こす数々の犯罪は最低である・・・。しかし、暗いテーマにも拘わらず、コミカルでスピーディな展開は心地良い。バカな事をしているな、と思いつつも、彼等の純粋な心に、なぜか共感してしまう・・・。ラストの海辺でのシーンが切ない!!。 【sirou92】さん 7点(2003-09-02 02:38:13) (良:1票) |