5.ラーメン博物館という所がある。そこには人気のラーメン屋がずらり並んでいるらしいのだが、それにもかかわらず行列には差ができるらしい。うまいものでも優劣を付けたくなるのが人間、同じようにこのオムニバス形式の映画も差ができるだろう。どの「ラーメン」が「並ぶ」か。イデアの森の方も参加させてみた。一番待ち時間が長そうなのはジャームッシュとベルトルッチだろう。さっぱりしてるのにダシの効いた親しみやすい味わい。カウリスマキ、ヴェンダースは一品勝負。この店にこの味あり、といったところ。常連客多し。変り種ならシュレンドルフとチェン・カイコー、マイク・フィギス。客層に色が出そうだ。クレームもよく出るだろう。正統派なラドフォード、サボー。冒険するのが面倒なら打率の高いものを、って人に。スパイスの効いたスパイク・リーとクレール・ドゥニ、スパイスの効いたラーメンて何だよ。イジー・メンツェルは深い味わい。まあ濃い味ってこと。ゴダールはそれらを全部つぶして新しい味を作り出そうとしている。その意気買って並ぶもよし。ただハマったら抜け出せなくなるので注意。そしてエリセは、別格。俺がここの博物館のオーナーだったら誰にも食わせない。でもそんなことをしてるから彼は新しいラーメンをなかなか作ってくれないのだ。やべっ、ヘルツォーク入れ忘れた。彼のラーメンは、茹でない。ベビースターラーメンみたいな感じ。 【Qfwfq】さん [映画館(字幕)] 7点(2005-05-21 02:14:07) (良:2票)(笑:4票) |
4.私はジム・ジャームッシュ監督のがお目当て(劇場で観たことないし)だったんですが、他のも良くて得した気分。本命のジム・ジャームッシュの『女優のブレイクタイム』は撮影中の女優の休憩時間を切り取ったもの。モノクロなんだけど画面も質感も何か滑らか、まろやかで他のと違った。 他に特に劇場で観てよかったと思ったのはヴィム・ヴェンダースの『トローナからの12マイル』という作品で、誤ってドラッグを過剰摂取してしまった男が病院へ向かう道中の十分間を描いたもの。一緒にバッドトリップを体験しつつ、車で病院(どこにあるか分からない)を目指しましょうーもう間に合わないかも!という緊迫感の十分。 他、『失われた一万年』も一番、時の重さと時という観念自体の意義を考えさせられます。『夢幻百華』ーこれは北京の都市開発計画により、周辺の小さな村、農家には何とも簡単に「拆」の字が書き込まれ解体が決まる。そして数ヶ月内には新しいビルがそこに立ち並ぶのだ。中国の中心的都市においてはよく見られる光景。その痛み。
人に平等に降る10分の質の差、心理的長さ。のんびりとシートに背を預ける映画マニア達に、緊迫した10分や鳥瞰するような10分、いろいろな10分間を与え、彼らに降る“時の長さ”を変える。これってすごいと思う。 |
3.さてコッチの方は…
「結婚は10分で決める」5点:今回はコレを基準作にしました。 「ライフライン」10点:まさか10分の映画でボロ泣きするハメになるとは~! いつも通りの作風ですが、100分相当の作品として通用します(でも「あと10年は撮らないよ」なんて言わないで下さいね)。 「失われた一万年」4点:あいも変わらず密林ですか…しかも、まんまドキュメンタリーだから、彼独特の狂える迫力が出てない。10分で自分の世界を表現できないからって、投げちゃいけやせんぜ監督。 「女優のブレイクタイム」4点:ジャームッシュに浸るような心の余裕は、オイラにはない。 「トローナからの12マイル」8点:うぉー濃密~。これも、一作分の長編映画に展開できる作品ですなぁ。 「ゴアVSブッシュ」3点:この映画で初めて知りましたが、ゴア君はブッシュたんに向かって一度は敗北宣言したんじゃん。まあアメリカン人でないからどーでもいいですが…。 「夢幻百花」9点:イッセー尾形さん家の引越し(笑)。コレがラストを締めるとは意外でした(ヴェンダース作品の方がよかないか?)が、見応えありました。
そして結果はこのように…。 【エスねこ】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-06-03 22:00:51) (良:2票) |
2.まるで世界の一流シェフの料理を一口ずつしか食べさせてくれない、みたいな「もっと、腹一杯食わせろー!」と言いたくなる感じはあるけど、その分よ~く噛んで味わえば良いわけで(というか、最近は映画でも食べ物でも、「噛まないでも食べられる」ものが多すぎるのだ)、後からじわじわ余韻が来る感じかな。人によってどの作品が良かったかは違うと思うし、またそれを話し合ったりするのも楽しいと思う。僕としてはジム・ジャームッシュ、スパイク・リー、チェン・カイコーの作品が割と好き。でもやっぱ凄い!と思ったのはヴィクトル・エリセのかな。音と映像のリズムがまるで韻律を持った詩の様で、まさにめくるめく映像体験。ちなみにエリセというと10年に一度のペースでしか作品を発表しない作家、というイメージがあるけれど、これは意図的なものでないらしい。実際、前作「マルメロの陽光」以降にもいくつか企画があったらしいのだけれど(恐らくは予算の都合などで)、ポシャってしまったらしい。うむむ、もしどっかの企業がエリセの新作をバックアップしたら、絶対世界中の映画ファンに感謝されると思うけど・・・ライブドアの社長さん、どうかなあ?スペインの物価は分からんけど、きっと10億円くらいあれば充分だと思うし、同い年のよしみでお願いしますよお。 【ぐるぐる】さん 7点(2004-07-31 15:56:13) (良:1票)(笑:1票) |
1.ひねくれ者の私は誰が作ったかを見ないで鑑賞したが、やっぱ分かるもんね。たった10分に込めた様々な監督のそれぞれの想い、短いながらもカラーがしっかり出ているのは流石。「結婚は10分で決める」10秒で誰だかわかる、というか味で過ぎ。「ライフライン」赤ちゃんの鳴き声、人々の笑顔、母の子守唄、いいね。「失われた一万年」野蛮とは現代人であり、幸せな生活とは何だろう。「女優のブレイクタイム」満たされない女優のアイロニー。「トローナからの12マイル」オチは意外なちょっとイイ話。「ゴアVSブッシュ」黒人的にも納得いかないんでしょうがマイケルムーアに任せたら?「夢幻百花」中国の昔話でも見ているようでファンタジックで一番好き。 【亜流派 十五郎】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-03-29 23:53:28) (良:1票) |