《改行表示》 8.《ネタバレ》 素晴らしい。クラシカルでありながら今観ても全く色褪せない内容です。大きなテーマの一つは“野心”。誰しも持っているこの感情をイヴに託して意地悪く描きます。イヴは一見生娘の様に純粋な女でありながら、結果として大変大きな野心を持つ女だった訳ですが、その魅せ方が実に上手いです。冒頭の賞を受賞するシーンでスティルに映る彼女や、初めてマーゴと会ったときの彼女は本当に良い娘に見える。逆にマーゴの方が明らかに嫌な感じに映り、マーゴ以外の登場人物も同じように思って、どんどんマーゴの居場所がなくなっていく感覚は、ホラー映画としても十分通用する気味の悪さでした。 カレンを脅迫し始める辺りからは、遂に物語の主役がイヴに移り、その上昇志向ゆえに他人を傷つけ、蹴落としても構わない、その恐ろしい思想が描かれます。ここも前半に皆から好かれるイヴを丁寧に描いているからこその恐怖ですね。またその仮面を付けたり外したりするアン・バクスターの演技がすごいです。 一番恐ろしかったのは、最後に新たなイヴが出現するシーン。賞を受賞した後のイヴの振る舞いは、キャリアの頂点に居たマーゴとなんら変わらず、彼女はこれから若い新人女優の出現に脅かされる日々を送るのでしょう。一瞬の愉悦と、その直後に来る不安。恐ろしいものですね。イヴのコートを着て合わせ鏡に無数に映る新たなイヴは、いつでもどんな時代でもイヴは生まれ続けるという意味かなと思え、最後まで考えさせる内容でした。はっきり言ってホラー映画ともいえる様なこわーい映画でした。 【民朗】さん [映画館(字幕)] 8点(2014-10-03 23:41:11) (良:2票) |
7.スーパー腹黒いけど、若くて可愛いから許せる。 【ケンジ】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-09-08 12:38:38) (良:1票) |
6.《ネタバレ》 イブの総て、面白い題だと思っていたが、こういうことだったのですね。しかし、こういう計画を考えた者は多いだろう、しかし、ここまで見事に演じきってしまうイブは、根っからの”女優”じゃないかと、ゾクゾクしながら観てましたね。ベティ・デイヴィスの演技と、ラストシーンは素場らしい。 【min】さん [DVD(字幕)] 8点(2013-07-29 22:42:50) (良:1票) |
5.《ネタバレ》 タイトルからは想像もつかないえげつないお話でした。対人関係を苦手とする人が観たら一発で人間不信になりそうな。アン・バクスター健闘してますけど、やっぱりここはベティ・デイビスの老練(は言い過ぎか)な演技に見惚れましょう。“老い”に恐怖する大女優の哀しさ、ほぼ演技ではないのかもしれない。夜中にかかってきた恋人からの電話、段取りをイヴがしていたと知った、その時の微妙な表情。心がざわざわと波立っているのが手にとるようだった。イヴの性根への疑念と、若い子が恋人の前に現れる焦燥感と。みっともないほどに乱れる往年の大女優の様を堂々演じたB・デイビス、言葉もないほどにあっぱれ。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2013-02-14 00:08:16) (良:1票) |
《改行表示》 4.《ネタバレ》 舞台演劇をテーマにした物語であるにもかかわらず実際に舞台で演じるシーンが出てきたのは皆無で、実際の舞台のシーンと言えば幕が下りるシーンを袖から撮った数ショットのみという、何とも特異な映画という気がします。 新旧の女優をはじめ、彼女らを取り巻く人々の舞台裏での人間関係に的を絞って描いており、主演2女優は勿論のこと脇を固める助演陣の演技もオスカーに多数ノミネートされるだけのことはあってやはり素晴らしく、非常に目を見張るものがありました。 自分の好みの観点で言うと、あまり脚本に頼った感のある映画は好きになれないことが多く、更に高飛車な女が皮肉タップリに罵る映画もそれだけで無条件に嫌いになってしまうのですが、これほどの力作となると話は別。 マーゴの台詞ですが、よくもまぁあれほどのイヤミを考えつくなぁと感心させられる程の台本ですし、Eveとevilを掛けて貶したりするのも面白いです。イヴに関しても化粧室でカレンを呼び出しての会話なども、イヴの言葉遣いが徐々に変わっていく様(お座りになって→座ったらどうなの)は非常にスリルに満ちたワンシーンで、この辺りからの彼女の本心の出し方などは必見と言えるでしょう。 2点ほどケチをつけさせていただくと、マーゴが実際に演じるシーンがなかった事もありイヴがマーゴを師と仰ぐ理由や背景のようなものが見えてこなかったのと、ガソリンを抜いてマーゴを本番に間に合わなくさせたのが「私は自分の行いを恥じた」という台詞のみであった事が若干説明不足のような気がしてしまいました。 とは言っても、やはり映画の前後半でイヴの印象に驚くほどのギャップが出るように感じさせるシナリオは非常に卓越しており、オープニングのストップモーションの時に感じられた可憐で謙虚なイメージが再度動き出してからのシーンではそれが見事に消えてなくなった代わりに狡猾な悪女のイメージが新たに出てきたのは、女の怖さに他なりません。 「All About Eve」はシンプルでありながらも深みも感じさせ、まさにベストなタイトルですし、邦題も下手にいじらないで大正解。 最後に出てきた女も、彼女の説明する「掃除係がドアを開けたままだったから入った」という説明は到底信じるに足らず。恐らく策を巡らして忍び込んだのでしょう。「一流になりたいのなら彼女にノウハウを聞け」という台詞にドレスを自身に合わせ陶酔する姿でのエンディング。上手い! 【もっつぁれら】さん [映画館(字幕)] 8点(2012-12-28 23:56:38) (良:1票) |
3.「イヴの総て」・・・ 一応タイトルだけは知っていたが、まさかこんなドロドロした物語だとは・・・(クリスマスイブの話かと思っていた) のし上がるために手段を選ばないイヴ、そして彼女が受ける報いとは・・・。本当に良くできた話で楽しめた。イヴがカレンを脅迫するシーンはゾクゾクしちゃったな~。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-10-25 17:31:47) (良:1票) |
2.冒頭の授賞式で普通なら最年少受賞を果たした新進の才能ある女優イヴに拍手喝采が贈られるべきところを複雑な表情でそれを見つめる数人の男女。この冒頭で本作が単なるイヴのシンデレラストーリーではない事が見事に伝わる訳ですが、華やかなショービジネスの世界の裏側をあぶり出すだけにとどまらず、こんなに恐ろしく人間の心理をえぐったサスペンスだとは思いませんでした。登場人物を絞り、それぞれのストーリーの中での配置や役割分担、一つ一つのシーンにおける台詞も演出も見事。話の節目も分かりやすく心理描写も巧みで脚本の素晴らしさが感じられます。あまりドロドロした人間関係を見せる映画は好みではないのですが、それでも長丁場を忘れて見入ってしまう非常に完成度が高い映画でした。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-01-31 16:37:20) (良:1票) |
1.Betty Davisは42くらいだったらしいが、かなり老けて見える。彼女の扮するMargoの「どんなにすごいキャリアを築いても朝起きたら隣に男がいなけりゃ女は女じゃない」という台詞が印象的。Eve(Ann Baxter)は貧困から身を起こしスターの座を射止める役が余りにも合っている。本当は帝国ホテルの建築家(ライト)夫人の家系らしいから家系はいいらしいが。そして、やはりGeorge Sanders扮するAddisonが一番印象的。芸能界を軽蔑を込めた皮肉を混ぜて批評する貴族風のクールな男。彼自身「肥溜めのようなこの世にはもう飽きた」と言って自ら命を絶つ。この映画に出演してから22年後のことだ。 【allen】さん 8点(2003-03-16 22:37:44) (良:1票) |