5.もぅ随分昔に観た作品だが、古代フランスから継承されているギロチンという処刑儀式の在り方に異を唱えた作品として、永く記憶に残っている。それは本人に知らされないまま、或る日突然やってくる。深夜、眠っているところをいきなり起こされたA・ドロンの凍りついた表情を尻目に、余計な感情が芽生えぬよう、粛々と準備にかかる関係者たち。その無表情さ。やがて真っ白なワイシャツに着替えさせられ、この世で最期に口にする一服の煙草と一口の酒を飲まされた後、首を剥き出しにする為、ワイシャツの襟をハサミで切り取るという念の入れよう。そして今まさに舞台が始まろうとしているかのように、正面の幕がさっと開けられると、そこには断頭台がそびえ立つ。足が竦みながらも、両脇を抱えられて向かう彼が一瞬振り返りざまに見たのは、彼の保護観察司であるJ・ギャバンの眼。なんという切ない眼だろうか。それは、更生を誓った男を、恩赦も適わず社会の誤解や偏見から守ってやれなかった一人の人間としての無力感を指し示す眼である。罪を犯した者の社会復帰が如何に難しいかを改めて問い正した秀作。 【ドラえもん】さん 8点(2004-07-08 00:24:08) (良:4票) |
4.私もこの邦題は酷いと思う。出演者からしてギャング映画か犯罪モノだと思っちゃうじゃない。せめて「街角の男たち」位にしといてくれれば良かったのに…(原題は誰にでも起こり得ることを示唆してる筈)。で、この映画の実際の姿は、ジョゼ・ジョバンニらしく、警察権力の横暴と犯人に対する情状酌量、そして死刑制度と執行方法を取り上げた重いドラマ。元死刑囚の監督(凄いプロフィールだ…)としては死刑制度自体よりも、その前の、警察が犯罪者を作り上げていくプロセスと、偏見によって情状を考慮されない不条理に主眼を置いてるんだと思う。最近我が国でも保護監察中の再犯、そして保護観察制度が話題となりました。本作の「ふたり」は理想的な関係でしたが、前科に対する偏見というのも難しい問題です、6点献上。 【sayzin】さん [地上波(吹替)] 6点(2005-11-26 00:01:35) (良:2票) |
3.《ネタバレ》 どこが暗黒街なんかよくわかんない、ジャン・ギャバンとアラン・ドロンのイメージだけで付けたような邦題ですがこれがまた、考えさせられる内容。死刑=ギロチンいうつながりがあまりにも酷だしラストショットで見せるドロンの目とギャバンの目がなんとも心が締め付けられました。殺された警部も被害者だけれども先入観だけで犯人扱いされたドロンもカッとなって殺してしまったとはいえ彼もまた被害者、隠された現実にはつらいもんがいっぱいあります。 【M・R・サイケデリコン】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2011-03-09 15:14:51) (良:1票) |
2.4,5年前に一度観たきりです。ドロンが最期にギャバンと一瞬視線を交わすシーンが語る更生する事の厳しさ、罪に対する罰の非情さを嫌と言うほど思い知らされますが、まっとうに生きる事はもっと厳しい事ですので、本作の結末は致し方ありません。二度と観たいとは思いませんが、出会えて良かったと言える作品です。 |
1.《ネタバレ》 タイトルはギャング物っぽいけど、中身はジャン・ギャバンとアラン・ドロンが織り成す友情物。「地下室のメロディー(63)」でお互いにピリピリしていたのが、今度は恩師と弟子みたいな関係になっているのが面白い。それにしても主人公のあまりの不幸っぷりには同情する。前科がある、という理由で罪を償ったにも関わらず執拗に刑事から追い回され、次第に平穏を失っていく。次々と不利な証人が現れるシーンでは怒りすら覚えるし、ショッキングなラストシーンには見ていて胸糞が悪くなった。なので決して良い気分にはなれない映画、観る時にはそれなりの覚悟が必要である。 【かんたーた】さん 7点(2004-07-05 21:21:29) (良:1票) |