7.《ネタバレ》 これはまた一つ、良いものを見つけた気がする。この映画は始まってから十分間、台詞がありません。その間に映し出される日本海の美しい風景、そんな日本海で海沿いに北上する列車、更には車内の映像、海の景色、空を飛び交う鳥達、そういう映像だけではっきり言って今のテレビドラマばかり観ている人にはかなり退屈と感じるかもしれません。しかし、今のテレビドラマみたいに何もかも台詞に便り、その時の置かれている状況や心理を説明してしまうものとは対照的で台詞に頼らなくてもちょっとした映像と俳優の演技、表情だけで解らせる素晴らしさ、それこそ映画本来の持っている形をここでは少ない台詞と映像だけで見せてくれます。それも偏に女優岸恵子の女としての哀しみ、情念みたいなものを演じることの出来る演技力があればこそ成り立つわけです。強盗犯の罪で刑務所に入ることとなった萩原健一演じる男との二年後の再会の約束をするシーンにおいての男と女の刹那さ、二人のすれ違い、それを映し出す映像も何となく余韻が残る。この監督さん、余韻の残し方が大変、お見事です。それにしてもこの頃と今でもさほど変わらない美しさを維持している岸恵子というこの女優さん、どうしたらあんなにも美しさを保っていられるのか?とこれを見たら男の私でさえそう感じるのだから女の人が見たら間違いなくそう感じるはずです。 【青観】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2007-10-05 22:20:54) (良:2票) |
6.《ネタバレ》 なんともユニークな俳優が出現したと思わせた、萩原健一の本格デビュー作。(本格、というのはその前のグループサウンズ時代のアイドル映画出演があったから。それが演技者になっていくきっかけだったのは想像に難くないところですが。)フランス映画のようなおしゃれさ、ダークさがありつつ、舞台が北陸、というフシギなバランス感覚に、当時すごく興奮を覚えたものでした。萩原がゆきずりの年上の岸に寄せるなつき方、その無邪気な笑顔、過去のある役柄ゆえかそうではないのか、むしろ今より老けた表情だった岸の、しかしシワさえ美しいお顔、ポケットに手を入れて歩くリンとした姿勢、足のラインの美しさ・・どこをとってもホレボレでした。ゆきずりの情熱を瞬時にして燃え上がらせながら、逃避行とはならず、岸が大人としてふるまい、そのことがまた新たなドラマを生んでいく、スリルとテンポがたまらなかったです。まあ解せなかったことも1つや2つはありますけどね。彼女の「過去」の生まれた経緯と、それから「模範囚だから特別許可で肉親の墓参りに行ってよし」なんて規則、聞いたことないけどなあ、ということ。でもまあいいんですよね、これは映画なんだもん。(これを書いた数時間後のTVニュースで知りましたが、日本でも刑務所から一定の範囲で外出、外泊できるようにしましょう、という提言が本日なされたようですね。何という偶然! この映画、とっても新しい人権感覚を先取りしてたんですね) 【おばちゃん】さん 8点(2003-12-08 09:25:19) (良:2票) |
5.《ネタバレ》 オリジナルは韓国映画と聞いていたのだが、何故かフランス映画的な感じを受ける、不思議な映画です。岸惠子だからなのか、うら悲しい日本海の東北だからなのか。萩原健一が最初チャラチャラして、浮いているなと思ったのですが、意外とそれが伏線か、純真な面のギャップもあって岸惠子とマッチしていくのも面白い、色々なテクニックを使って色々な試みがされているのも良いですね。普通に観たのですが、なかなか佳作でした。 【min】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-04-15 20:23:42) (良:1票) |
4.女とおばさん、それに若い男と非常にアンバランスな出だしなのだが、映画が進むにつれて謎が解かれていく。と、このように書けばサスペンスなのだが、どんどん物語に引き込まれてしまう。そして終盤はだんだんと胸がしめつけられるような思いだった。そう舞台は日本なのになぜかフランス風、岸恵子だからかもしれないが・・・。私に映画を感じる力があればもっと点数が上がっただろうにと思わせる映画だった。ところで意外だったのは中山仁、さぞかし事件に絡むのかと思っていたらあのまま消えてしまった。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-08-28 23:23:07) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 冬の日本海側、どこか陰のある過去を背負った男女・・・極めて日本映画的な設定を、まるでフランス映画のような洒落た雰囲気で撮っていて非常に新鮮さを感じました。
気品を感じさせながらもどこか陰のある岸恵子と野生的で子供っぽさの残るショーケンの組合せが非常に絶妙ですね。ストーリーもシンプルながらも奥深さを感じさせるものでした。 【TM】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2008-10-03 21:59:52) (良:1票) |
2.言いたい事全部【ミーハーおばちゃん】さんに言われてしまった、これは北陸に見えるが仏映画ですよ。岸恵子のポケットに手を入れて歩く姿がカッコいいし、おしゃれなんだなあ。岸恵子が口紅をひきオンナになり、また口紅を落とす時の彼女の心境たるや深いなあ。あどけなく無邪気だが真っ直ぐに突っ走るショーケンがいいのよ。逃げるべきか、逃げざるべきか、本気になったからこそ決断したんだよなあ。たった一日だけのすれ違いの恋なんだけどいいんだなあ。 【亜流派 十五郎】さん 8点(2004-05-19 23:24:33) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 ファーストシーン、一人ベンチに座り日本海を見つめている蛍子。そのシーンが長いので、これは何だ?と思うと、ようやく2年前の回想に入ってゆきます。そこで描かれている過去の恋。恋と呼ぶにはちょっと不完全な恋。不完全だから恋。(笑)なんだか二人の気持ちがスクリーンを越えて伝わってきました。どうにも出来ない歯痒い思い。立場。そしてラストシーン、回想を終え現実を見ると、現実は目に映る日本海の海よりも厳しかったのです。 【もちもちば】さん 9点(2003-12-09 11:12:17) (良:1票) |