40.トムが諸悪の根源のような気がする。グレースに愛情を感じていたのは真実だろうけど、グレースを不利な状況にある逃亡者として捕らえていた一番の人物だと思う。トムはグレースが町にい続けるには見返りが必要だと感じていた一番の人物だからだ。確かにトムの意図は違うところにあったのだろうけど、結果として住人はそれによって徐々にグレースをそういう存在だと捕らえるようになっていった。だからといってトムは住人にガツンと言ってやる事もできず、ただただ傍観者であるだけ。理屈を考えているだけなのだ。それでは行き着くところにたどり着いてしまうのも当然のことだ。その上、グレースに自分の弱点を見透かされて、それを認めることもできず、マフィアに通報してしまうとはあまりにも情けない。所詮トムは小賢しく、弱いドッグヴィルの住人でしかなかったいうことだろう。またグレースはマフィアの家に育ってきたことに起因するのだろうか、逆説的に相手を理解し、そして慈悲深く、献身的で、自己犠牲的であることを正義だと感じるようになった。それに住人が甘え、つけこんでしまったのだ。グレースの父はマフィアとして生きてたからだろうか、それで生きていけるほど人間は理解的で、慈悲深く、献身的でも自己犠牲的でもないことを知っていたのだろう。むしろその他の住人のほうが一般的なのである。ドッグヴィルにひとつの理想や夢を感じていたグレースは皮肉にもドッグヴィルで真実に気付くのだ。それに気付いたグレースも極端だった。怒りや憎しみ恨みを理由として住人を殺すのではなく、世界のため、正義のために住人を殺すのだ。グレースの視点はある意味神の視点だ。それは父の言うとおり傲慢であり、独善的なんだろう。権力を手にしたグレースは今後どう生きていくのかが気になる。ひとつ映画が作れそう。北斗の拳のケンシロウのように正義のために問答無用で非情に悪に鉄槌を下すような、パロッた映画とか面白そうかな。「法で裁けない人間は私が裁く。神に替わっておしおきよ!」みたいな。あのグレースのキャラならゴッドファーザーを超えれそう。 【りょう】さん 7点(2005-01-03 09:19:12) (笑:1票) |
39.映像的に見るのがつらい映画だった。私はいくらラストがよくたって、それまでのつまらない部分も含めて映画を高評価できることはそうないのですが、これは特別かなぁと。「奇跡の海」とは逆で、ラスト一発大逆転な映画です。やっぱりこの監督の作品は私に合うようです。今まで見た中でニコール・キッドマンが一番がきれいだし。 【るいるい】さん 9点(2004-12-19 20:11:31) |
38.なんか、とても嫌な物を見てしまった感じが残るものの、途中でこの作品に引き込まれている自分が嫌になる。なんだ?この映画は?なんだ?このセットは?最後は「もういいから、ぶっ放せ!」と心の中で叫んでいる自分がいた! 【みんてん】さん 7点(2004-12-14 00:18:35) |
37.恐い映画だった。風刺童話にある様な恐怖が、本を読む如くに演劇風に撮ったことで更に強烈になったと思う。傲慢や偽善に答えが出せないのと同様に、この映画のラストも答えではないのだろう。役者陣も良かったし。あっという間に過ぎた3時間でした。 【じふぶき】さん 8点(2004-11-22 13:53:13) |
36.汚さの勘違い。ある日を境に突然態度が変わる住民たち。想像力で補わなければいけない面倒な構成。そして一見したときのしょぼい舞台。5章までの面白くなさと全体的なテンポの悪さ。そこに重なる作品の長さ。正直ほめられたもんじゃない。借りて損したと心から思えた久しぶりの作品。ニコールが綺麗。あとはみんな演技はがんばってる。ただこの映画が嫌い。 【JACK】さん 1点(2004-11-07 21:33:48) |
35.なんてこった。飛行機に乗ったこともないのにアメリカを描いたらしいこの作品、どこがアメリカ?と、言われているとおり、最初は確かに思った。こういう「村社会」じたいは昔や今のアメリカというよりはアジアとかヨーロッパ的。しかしグレースの選択に、このほどのアメリカの選択が、ある・・・!村のえぐさに隠れて気づかないとこだった!それ一発で描き切っちまったんかい。ブッシュPV映画なんかよりいいかもしれないよ。同時に人間のえぐさももれなく付いて来ます。そしてグレースに同調して溜飲を下げてる観客たちが、こんなにもいる。たぶん。もっとやれー。やっちまへー。恐ろしいよ。恐ろしすぎて面白いよ。こんなものに賞をあげたくなかったという気持ち、わかるよ。小説のバトルロワイヤルの時みたい。点数はけっこうフィーリングというかいいかげんに付けてるものだが(ぉぃ)0~2点か10点か。でも10点もあげたくない。そんな迷いの9点。そしてもうひとつのテーマでもある、世界のそこかしこにあるドッグヴィル村に捧げる映画でもある。 |
34.途中で観るのやめようかと思ったけど最後まで観て良かった。 |
33.人間の醜い部分を見せたいがためだけに作られた映画。そんなの映画にしなくていいから。長すぎだし。 【太郎】さん 5点(2004-10-14 15:13:15) |
32.奇抜なセットでの作品が弥が上にも目だつ本作。美術演出でごまかせないだけに、出演者の演技が観客を引き込むかどうか左右するという、ラース・フォン・トリア監督からの挑発的な挑戦状。で、結果は見事引きずりこまれてしまいました。終わってみれば、やっていたことはごく一般的なことだったんですけどね。普通に撮影してたら、ごく普通の映画になっていただろうに。この奇抜な一発芸に見事はめられたね。 【tantan】さん 8点(2004-10-13 00:13:04) |
31.舞台をする予定で脚本を書いたが、あまりの出来の良さに世界中の人に見てもらいたい!と思い映画にしてみました。だったら分かるがそれ以外のつまらん理由で演劇・舞台っぽくしたのなら、そんなに目立ちたいか?って思ってしまう心の狭い俺がいる。ただ内容は素晴らしい。人間のグロい内面がてんこ盛りで非常に醜いがダンサー・イン・ザ・ダークに無いどっちもどっち的な相殺感があったように思う。 って偉そうに言ってみたけど俺にはこんな難しい映画の解釈は無理。正直これが結論。 【モチキチ】さん 8点(2004-09-25 02:49:14) |
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30.美女ゆえに村のアイドルとなり、果ては性的対象にされてしまうグレース。圧倒的な美貌ゆえに変態トリアー監督の悪趣味作品に指名されたニコール。あ~ブスに産まれて良かった! 【Bebe】さん 5点(2004-09-13 20:06:05) (良:1票) |
《改行表示》 29.天使か? 悪魔か? (キャッチコピー)と問われても ____だって、人間だもの みつを 【恭人】さん 9点(2004-09-07 01:18:23) (良:1票) |
28.主演女優に惹かれて鑑賞。ずっと昔に「キングダム」を見て以来のラース・フォントリアー監督の作品でした。いやぁ、やっぱ変態ですねこの人。人間の嫌な部分を見せる魅せる。最近の彼の映画も話だけ聞いて嫌悪感がして遠慮していたんですが、「キングダム」同様、人間の持つ静かな狂気に惹きつけられました。まさに鬼才ですね。ただ、ニコール・キッドマンだったからこそ3時間耐えれたというのも正直なところです。 |
27.私が考える、全ての露悪がありました。村人の偽善の破綻があり、そこから露呈するグレースの醜悪な傲慢があり、そしてその傲慢の表出をカタルシスと感じてしまう、救いようのない観客の脆弱がありました。私の中の愚劣の暴露がありました。全ての人間に対する、監督の嘲笑がありました。やってくれました、あの極悪人。でも爽快だった。だって私は薄っぺらい偽善は虫唾が走るほど嫌いだけれど、薄っぺらい偽善の破綻はたまらなく好きだから。たとえその悪意が私に向けられたものだとしても、甘んじて受けよう。観ながらここまで心が饒舌になり、高揚した映画は久しぶり。ビバ!尊大な露悪師、ラース・フォン・トリアー。私は今日も、自分の中の脆弱や愚劣、汚らしい「犬」を抱えて生きてるよ。 【ひのと】さん 10点(2004-08-14 14:10:18) (良:3票) |
26.舞台のようなセットは、私も始まって10分程経った頃には気にならなくなっていました。むしろ「ドッグヴィル」という閉鎖空間を表現するのには非常に効果的なんだと感じ始め、ぐっとストーリに引き込まれてゆきました。しかしながら、こうまざまざと人間の恥部を見せつけられると……。次は明るい映画をセレクトしようっと。 【ぷっきぃ】さん 8点(2004-08-14 00:05:24) |
25.物凄い仕返しをする”マレーナ”って感じ。それにしても凄まじい。トリアー監督の映画は見ればそれなりに感銘を与えてくれる映画を作るのだが”頼むからたまにはもう少し短い映画を撮ってくれ。”って感じ。上映時間を確認しただけでどうしても見るまでに時間を要するのだなあ。でもいままで見た中では一番乗り易い映画かな。まるで舞台劇を映画にしたような映画で、うー、この調子で3時間近くはつらいなあと思うのだけどあっというまに慣れて物語に引き込まれていく。こんなんじゃ映画じゃなくていいじゃん、と最初ちょっと思ったのだけど細かいカット割などでその場面場面での雰囲気作りをだしているのは映画ならでは。N・キッドマンでなければありえない映画だとも思います。彼女の美しさがあるからこそ我々は見つづけることができるように思う。 【GO】さん 8点(2004-08-12 21:09:13) (良:1票) |
24.なんという映画だろう。と、思う。この作品の核心を語る言葉など無いような気がする。ただただとめどない感情が心情を駆け回って抑えつけることができない。何が正しく、何が間違いか、何が愚かで、何が崇高なのか、そんな結論などは遠く彼方で彷徨っている。すべてが終わり、あまりにも大きな重圧に押し潰されそうになった時に残るのは、何とも言い難い疲労感と恥辱感、そして自らで認めざるを得ない屈折した爽快感だった。この映画には点数などあまり意味がない。あるとすればそれは0か10かだ。そしてそのどちらであっても本質に違いがあるとは思えない。ただぼくは10点をつけた、本当にそれはただそれだけのことだと思う。 【鉄腕麗人】さん 10点(2004-08-11 17:54:15) |
23.アメリカにも、こんなギスギスした陰惨なムラ社会的意識があるのかと、トンと膝を打った。箱庭セットだから、ムラの人間どもの心理がよりハッキリ見えたという部分があるので、予算云々ではなくこの撮り方は正解だったと思う。上から撮ったり、手持ち使ったりで、撮り方にも工夫があったしね。いやしかし、まったくの予備知識なしで見たもんで、こんなセットの作品とは思わなんだ。公開時のCMがニックのワンカットだったのが、分かったような気がした(笑)。ラストに爽快感を与えてしまった部分は、ラース・フォン・トリアー作品としてどうなんだろう?とは思うが。ま、その爽快感もものっすごく真っ黒なんだけどね(笑)。DVDで見て楽しめたけど、映画館ではどうだろう?って感じ。長いし、低予算だから。 【ダブルエイチ】さん 7点(2004-08-10 16:42:34) |
22.新鮮な感じ。3時間弱もあって長いけど、無駄に長いというわけでもなく。出来はとてもいいと思ったが、どうも展開が気に食わない。ラストも気に食わない。戦場のピアニストを観た後みたいな後味でした。 【アンソニー】さん 6点(2004-08-07 01:18:41) |
21.これ、レンタル屋さんで借りてきて10分見たところで「見んのやーめた」してしまいました。しかし、このページの皆さんのレビューを読んで、そしてラストを知ってから、性根入れて見ることにしました。そして最後まで見てよかった。そう、この映画はラスト15分のためにあったんだ。そこに至るまでの話は”溜め”だったんだ。水戸黄門だったんだ。こうくるとニコールはまさに”はまり役”。でもこういう形の暴力描写があったんですね。”暴力描写の天才”スピルバーグだったらこういう方法は採らないだろうけど。それにしてもビデオ・DVDのジャケットは「この映画が普通のスタイルじゃない」ってことを「隠してる」のが見え見えだが、それはこの映画の普及には逆効果だと思います。 【メロメロ】さん [DVD(字幕)] 8点(2004-08-04 21:13:49) |