5.製作側が意図しているほど高尚な作品に仕上がっているわけではありませんが、かといってB級と切って捨てられない魅力も放っており、ポール・W・S・アンダーソン監督作品においては、現時点における最高傑作だと思います。宇宙に行って気が狂うという物語は現在からするとありふれた題材ですが、本作の公開当時、エイリアンではなく精神世界を敵とするというアイデアは斬新であると評価されていました(本作の最初の脚本では、エイリアンが登場するはずだった)。また、それを表現するビジュアルは非常に秀逸で、船内の日用品がプカプカと浮く無重力の表現や、宗教的イメージと科学的合理性を両立したイベント・ホライゾン号のデザイン、死を連想させる炎の表現等はかなり目を引きます。生身で宇宙空間に放り出された人体の描写や、超高速での航行からクルーを保護するための水槽の存在等は、文系の私にはどれほどリアルなものかの判断はつかないものの、ともかく「リアルっぽい」雰囲気を出すことには成功しています。SF映画において「リアルっぽい」と感じさせることは重要であり、これに成功している時点で、本作は一定の完成度に達していると言えるでしょう。「ミッション・トゥ・マーズ」「レッド・プラネット」「サンシャイン2057」等、後に製作される宇宙映画には本作との類似点が多く指摘できる点でも、本作がSF映画史に残した功績は大きいものと評価できます。また、SFホラーであるにも関わらず地味な演技派を配置したキャスティングも当時としては異例でしたが、彼らの演技力がムダになっていない点も評価できます。製作当時若干31歳であり、代表作が「モータル・コンバット」だったアンダーソン監督が、よくぞ大人の俳優陣を使いこなしたものだと感心します。。。と、部分評価はできるものの(明確な欠点を指摘することの方が難しいほど)、全体としてそれほど面白い映画になっているわけでもないのが本作の問題点。物語は終始単調で、「いざクライマックス!」という煽りに欠けるために、不完全燃焼な印象を受けます。SFホラーなのですから、もっと爆発的な盛り上げが必要でした。 【ザ・チャンバラ】さん [DVD(吹替)] 7点(2010-08-03 20:34:19) (良:1票) |
4.《ネタバレ》 フィッシュバーンをじっくり見ることができてよかった。リーダーシップ全開の彼ははまっていてよいなあ。「My ship」ですよ。「My」っていうところに力を入れて言うのよね。ジェイソンアイザックスとショーンパートウィーなんて悪人顔を2人も揃えて、おまけにフッシュバーンの濃い顔は言わずもがなで、顔面的には迫力ありすぎ。ところで、幻覚に襲われる人とそうでない人、早めに幻覚を見る人と遅い人と最後まで見ない人。これって面白いですね。私の見たところ、これはそれぞれのキャラの「動物的な生命力の含有率」と比例するのではなかろうか。生き残った黒人の彼とスターク(女性)は最後まで幻覚を見てないらしいし。見てない人が生き残ったのね。反対にウェアー博士なんて到着前から夢に見ちゃってるし。ジャスティンを除けば博士の次は女医さんだし。どうもインテリ度が高い人から感染?していくみたい。インテリになるほど生命力は落ちるのか。 【パブロン中毒】さん [DVD(字幕)] 7点(2006-01-28 00:12:34) (良:1票) |
3.《ネタバレ》 俺はこの映画、あんま怖くなかった。ただ、つまんなくもなかった。ありがちな設定で、ありがちな映像で、ありがちなオチやけど、SFオカルトホラーってゆうんかな、そーゆうジャンルで、そんなにショボクなく、ちゃんと作ってる映画って他にちょっとしか知らんし。だから、これは、これで意外と楽しめててん。普通のオカルトホラーより、宇宙にアレンジしてるオカルトホラーって好きかもってのもあるし。でも欲を言えば、もうちょっと、ひねって欲しかったっすわ。トラウマに襲われるってのは、ほんまアリガチすぎるから。 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 7点(2005-12-31 23:26:24) (良:1票) |
2.おもしろかったです。サム・ニールのイっちゃった顔がメチャ怖くて良い! 現実では考えられないけど、宇宙だからそういうことも可能かも?ということで。 ちなみに、ワープの解説で紙と紙をくっつけるシーン、あれ、昔のドラえもん映画の「宇宙開拓史」でおんなじシーンが出てきますね。のび太も「なんだそういうことか。クーカンとかヤカンとかとんちんかんな事ばっかり言って!」と単純に理解出来てました。生き残るには純粋な心が必要なんでしょう。 【akoako】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-06-19 10:59:17) (良:1票) |
1.《ネタバレ》 小さい頃、たとえば夏の夜、見上げた宇宙の広さをふと考えて空恐ろしくなったあの感じ。とても人間の矮小さでは敵わない、あのリミットなしの存在感。あの畏怖に近い恐怖。そんな恐怖を感じた。私は結構好きです。認めます。普通はアメリカ産のホラーはいつも恐怖にオチを付けるでしょう。悪魔だとか吸血鬼だとか宇宙人だとかモンスターだとか。それでいつも安っぽくなる。最後まで得体の知れないものの怖さを大切にしない。その点でこの作品は異色。終に恐怖の正体を何も明らかにしないままで終わる。だからこそ恐怖の本質を味わえた。想像力のたくましい人ほど怖い作品ではないかと思う。「怖い」という感情でホラー映画のレベルを計るなら、私にとってはこれが1番です。見かけや表層じゃない、本当に怖いのはいつも、精神世界に抵触するものです。 【ひのと】さん 7点(2004-01-03 21:38:15) (良:1票) |